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Category 

Expedition 329: South Pacific Gyre Microbiology

  • 航海概要
  • 船上レポート

テーマ

地球で最も海水の透明度の高い南太平洋環流下の地殻内生命圏に関する掘削調査

(IODPでの大テーマ:Deep Biosphere and Subseafloor Ocean)

プロポーザル#662-Full>>こちら(PDF)

 

航海期間

2010年10月9日〜12月13日

 

掘削船

JOIDES Resolution(USIO)

 

乗・下船地

乗船:パペーテ(フランス領ポリネシア、タヒチ)

下船:オークランド(ニュージーランド)

 

掘削エリア

 

共同首席研究者

Steven D'Hondt、稲垣史生

 

乗船研究者

稲垣史生 (海洋研究開発機構) Co-chief Scientist
浦本豪一郎 (千葉大学) Sedimentologist

下野貴也

(筑波大学) Paleomagnetist
白石史人 (九州大学)

Sedimentologist

鈴木庸平 (産業技術総合研究所)

Microbiologist

光延 聖 (静岡県立大学) Inorganic Geochemist
諸野祐樹 (海洋研究開発機構) Microbiologist
山口保彦 (東京大学) Organic Geochemist

 

航海概要

Based on IODP Proposal 662-Full3, this expedition is intended to define the physical and chemical limits of subseafloor microbial life in tectonic and oceanographic settings not yet explored. Science objectives include

(1) documenting habitats, activities, composition and biomass of microbial communities in subseafloor sediment with very low total activity and very low biomass,

(2) determining oceanographic controls on sedimentary habitats, activities and communities from gyre center to margin,

(3) constraining the extent that the subseafloor communities are nourished by hydrogen produced in situ by water radiolysis, and

(4) determining how basement habitats, potential activities and communities vary with crustal age and hydrologic regime and evolve over 100 m.y. in a region of fast seafloor spreading and very low sedimentation rate.

Coring will target sediment and oceanic crust.

 

航海説明PDF>>こちら

航海詳細>>USIOのページへ

 

プレス発表

海洋研究開発機構発表(9月1日)

 

追加募集要項(4/7Up:終了)

募集分野

1) Geochemist, 2) Sedimentologist, 3) Petrologist

 

募集人数

若干名

 

募集〆切

適任者の応募があり次第〆切

終了しました

 

応募する>>こちら

 

その他・注意事項

乗船支援について>>こちら

乗船研究者のためのガイドライン>>こちら

※応募する方は全員英文CV、さらに在学中の場合は指導教員の推薦書が必要となります。

※修士課程の大学院生の場合は乗船中の指導者(指導教員もしくは代理となる者)が必要です。

 

お問い合わせ

J-DESC事務局

E-mail: infoの後に@j-desc.org

Tel: 045-778-5271

 

 

募集要項(終了)

募集分野

地球化学、岩石学など

 

乗船者募集〆切

2010年1月15日(金)

適任者の応募があり次第〆切

終了しました

 

応募する>>こちら

 

その他・注意事項

乗船支援について>>こちら

乗船研究者のためのガイドライン>>こちら

※応募する方は全員英文CV、さらに在学中の場合は指導教員の推薦書が必要となります。

※修士課程の大学院生の場合は乗船中の指導者(指導教員もしくは代理となる者)が必要です。

 

お問い合わせ

J-DESC事務局

E-mail: infoの後に@j-desc.org

Tel: 045-778-5271

 

 

IODP第329次航海 船上レポート〜南太平洋より〜

更新: 2011年9月6日

※更新の日付は日本時間

 

Exp. 329船上レポートインデックス

レポート21>>Exp.329を振り返る

レポート20>>最後のcore on deck

レポート19>>Kite flying contest:最後のサバイバルの幕開け

レポート18>>嵐の後

レポート17>>嵐接近(というより嵐に向かっている?)

レポート16>>感謝祭と誕生日

レポート15>>玄武岩サンプリング

レポート14>>サバイバルスーツの着用練習

レポート13>>海の青さチェック

レポート12>>昼シフトとよるシフトが逆転!?

レポート11>>新鮮な食材の謎に迫る

レポート10>>Bit on deck

レポート9>>サバイバル・マンス突入

レポート8>>トイレットペーパーの使い方注意!

レポート7>>サンプリングに見る研究手法の違い

レポート6>>寿司祭り

レポート5>>ふと思った船上のSedimentologistの仕事について

レポート4>>First core on deck

レポート3>>JOIDES Resolution号の変化2

レポート2>>JOIDES Resolution号の変化

レポート1>>真夜中の乗船

 

船上レポート(12月12日)

Exp,329を振り返る

Exp.329日本人乗船研究者一同

早いもので二ヶ月が過ぎました.

Exp. 329は南太平洋還流域を移動しながら次々と掘削していく航海で(図1),もはやどれだけ移動したか分からないくらいの長大な船の旅でしたが,明日でいよいよ航海も終了です. Exp. 329の船上レポートもこれが最後ですが,最終回の今日は,日本人乗船研究者全員で「航海を振り返って思うこと」ということでメッセージを頂き,浦本がまとめました.それぞれの立場からコメントや経験など,多くのコメントを頂いたため,少々長いですが,項目分けして紹介いたします.

 

 

図1 Exp. 329の掘削サイトの位置図(USIOの原図に一部加筆).

 

楽しかったこと・面白かったこと

稲垣さん

ピンポイントサイトの航海では味わえない、グローバルなサーベーの醍醐味がありましたね。例えば、Gyre centerに近づくにつれて海が青く透明度を増し、陸に近づくにつれて海の色が濃くなり、アホウドリなどの動物が多くなったような傾向は、まさしく地球を横断しながらの航海ならでは感覚で、それが掘削したコア試料にも色濃く反映されていのは、この航海の大きな特色であったと言えるでしょう。また、私はこの航海を含めて4回JR号に乗船していますが、今までで一番食事がおいしかったのではないかと思います。パエリアがもう少しもよかったのに、という思いと、航海後半に新鮮野菜がなくなりましたが、全体としては非常によかった。デザートはODP時代のほうが良かったです。

諸野さん

南半球の星空を移動中にゆっくり眺められたことが思い出に残っています。シフトが終わったあと、ゆらゆらと揺れる船の上で天の川を眺め、とてもリラックスできました。流れ星!と思い願い事を唱え、6回繰り返しても消えないので何かと思ったら実は人工衛星でがっかりしました。

 

山口君

 海底下生命圏研究が新たな時代に突入したことを肌で実感しました。有機地球化学分析でかなり忙しかったのですが、きれいな地球化学プロファイルが得られたときの感動、船上分析データを前に皆であーだこーだ議論する楽しさ、議論の中で新たなサイエンスの種が見つかったときの興奮、などが非常に密度濃くやってきて、自分自身大きく成長できた2ヶ月間でもありました。


得られた経験

稲垣さん

国際チームの中でいかに貢献し、役割を果たすか、という経験でしょう。経験があるとないとでは、全く物の見方・感じ方が違うと思います。航海中に日本のサイエンスや日常を考えると、視点全く違っている事に気づきます。また、この航海はMicrobiologyの研究と思われていますが、正確に学際的なSubseafloor Lifeの研究であり、様々な分野が協力しながら海底下生命の実態と生息可能域を探るミッションです。とりわけ、表層世界と海底下との相互作用を意識しながら、海洋学・生物地球化学的な議論がなされ、幅広い知識を獲得する事ができました。また、英語力・交渉力・議論力などが自ずと成長しているのは、まず間違いありません。でも、コチーフ業務は大変。毎日の英文読解ドリルで、私の速読術もだいぶ(勝手に)上達しました。

鈴木さん

サンプリングにおける周囲の研究者とのネゴシエーション,コチーフやキュレーターとのコミュニケーションの重要性です.今回の航海では,堆積物と基盤岩の界面など,各ホールで一度しか回収するチャンスがない貴重なサンプルなどは,回収されるごとにサンプリングに関するミーティングが行われました.そうした中で,自分が必要とするサンプルを確実に得るためには,自分の研究について日頃から周りの研究者と話し合い,また,サンプリングの決定権を持つ,コチーフやキュレーターとのコミュニケーションを大事にすることで,自分の研究の重要性を周囲に理解してもらうことが,非常に重要になると感じました.

諸野さん

同じシフトの微生物チームをまとめるような役割を担いましたが、全員国籍の違う研究者と共同で作業することの難しさ、そして最終的にうまくまとまって仕事が円滑に進んだときのいい気持ちは忘れられません。また、他の分野の研究者とコアという共通項を通じて話をし、知識が広がったのと同時に分野横断的な知識を持つことの重要性を再認識させられました。

 

光延さん

長かったような短かったような、いややっぱり長かった航海でした。IODPという国際プロジェクトに参加して、その中でやっていくのに必要なことを学ばせてもらった気がします。とにかく反省点の方が多いですね。この経験を胸に刻んで日本での研究生活に活かしていきたいと思います。

山口君

研究以外の面でも、様々な国の人々(今回は10カ国以上)との交流は楽しく、おそらく普通の留学でもなかなかできない、IODPならではの経験だったと思います。こうした貴重な経験を積めたこと自体が、個人的には最大の収穫で、D1という時期に乗船を果たせて本当に良かったと思います。

下野君

コア研究では様々な分野の研究者が様々な手法で一つのコアを幅広く観察・解析するので,周辺の分野についても,できるだけ幅広く興味・関心を持つことも大事なのかなということを,今回の経験を通して実感しました。また,IODPに参加するにあたって事前にJ-DESCコアスクールへ参加したことが役に立ったと思います。僕が初めてコアスクール(コア解析基礎 コース)に参加したのは大学3年生の3月で、"コア"という言葉にもあまりぴんとこないまま受講したのですが、今回D1IODPの航海に乗船し,当時理解しきれなかった部分や講師の方が伝えたかったことが分かった気がします。今思うと最初にコアスクールで基礎を学んだことで、コアを見る目も養え、今回の乗船研究にも生きてきたように思えます。

 

乗船する際にあるといいもの

稲垣さん

コーヒー豆を持参する事。ジョイデスのコチーフオフィスのそばには立派なコーヒーマシンがあり、朝晩のコーヒーはコチーフのレポートワークには欠かせません。昆布茶なども良いと思います。

 

諸野さん

コーヒーが好きな人は挽いていない豆をたくさん持ってくると楽しめます。また、チョコレートなど、小さくて、気軽に食べられるものがあると色々役に立ちます。また、何か人をあっと言わすことの出来る特技(ジャグリングとか)が出来ると、他の国の人とのコミュニケーションが円滑になります。

 

光延さん

JR号の食事は

欧米風なので、航海の終わりのほうは日本食が恋しくなってきましたね。これから乗船される方はインスタント食品など日本の味が感じられるものをお守り代わりに持ってこられるとよいかと思います。また,船に酔いやすい方なので、ひどい船酔いに悩まされるんじゃないかと不安だったのですがそれは杞憂でした。日本の酔い止め薬は素晴らしいです。後半は体が慣れたのか,特に薬を飲まなくてもやっていけるようになりました。

 

これから乗船する人へのメッセージ

稲垣さん

「ちきゅう」と「JR」では、掘削する深度や目的などの使い方が違います。どちらも掘削地球科学には欠かせない存在ですが、夢を現実にかえてくれる道具として、どんどん使ったらよいのです。それには、アイデア(好奇心)とやる気さえあれば、ひとまずは何とかなります。

特に若手の人には、国際的なサイエンスの現場に是非飛び込んで欲しいと思います。そこで得た苦労や感覚は、サイエンスのみならず、人生の色々な局面で役に立つと思います。本来、日本人はチームワークが得意な人種です。様々な国の乗船チームの一員として活躍できれば、一気に国際的な研究へと視野が広がります。みなさんの活躍を期待しています。

 

これからコチーフとして乗船する人にちょっとしたアドバイス:コチーフは常に中立的な立場を保たねばなりません。研究者のみならず、ドリラーやラボテク、ケータリングチームにまで、挨拶やちょっとした気配りは非常に重要です。また、重要なディシジョンが必要な時には、一人でせず、必ずパートナーのコチーフを叩き起こす事(どれが重要かは見極める必要がありますが)。コンセンサスは非常に重要です。この航海では、掘削・研究に関わる全ての作業工程の決定は、二人のコチーフとEPMの合意を逐一得て進めました。また、どんなにレポート業務が波に乗っていても、コアオンデッキには必ずコアをキャットウォークに毎回見に行く事。何か起こってからドリラーやチーフマネージャー捜すようでは、コチーフとして失格です(以前乗船した航海では、あまりコチーフがキャットウォークに現れなかったのですが、これは完全に間違ってます)あと、コチーフはキャビンが個室で、キャビンから電話がかけれます。

諸野さん

乗船の体験は他では得がたい貴重なものになるのは間違いないですが、自分のやりたいこと、果たしたい役割をきちんとみんなの前で主張したり、自分の意見をしっかり表明できないとその意義も半減してしまいます。意見を強硬に主張しすぎるのも逆に問題ですが、自分に課せられた仕事をきちんとできる人の意見はみんなしっかり聞いてくれます。たくさんの研究者と交流し、国際的なIODP掘削航海だからこそ得られる何かをつかめるように頑張ってほしいと思います。

白石さん

私は普段毎日の飲酒を欠かさないので、乗船に際しては2ヶ月間もの禁酒と聞いて少々尻込みをしたのですが、意外と何とかなるものだということが今回の航海でわかりました。禁酒によって腹回りも乗船前に比べてすっきりした気がします。2ヶ月間の強制禁酒ダイエット、興味ある方はぜひどうぞ。

 

僭越ながら,最後に浦本が書かせて頂きたいと思います.

といっても,私からのメッセージは,これまでに書いてきた一連の船上レポートがメッセージそのものです.Exp. 329だからこその経験(南太平洋還流域という地域の堆積物のことや地球上で最も青い海が見れたこと)や,Sedimentologistという研究者の立場からのコメント,あるいは船上生活のことなど,多少のことは書けたのかな,と思っています.今回は,34日のペースで船上レポートを書こうとしましたが,どうしても忙しい時,あるいは2ヶ月の船上生活ですと気持ちの波もあって,中々コンスタントに書くのは難しかったです.航海中は,当然のことながら研究が第一ですが,二ヶ月間,船上で生活するわけですから,日常生活も含めた全ての中から何かを学ぶのがIODPに参加することではないか,ということを,私の船上レポートを通して伝われば幸いです.

 

以上で,Exp.329の旅を終えたいと思います.

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船上レポート(12月7日)

最後のcore on deck

浦本豪一郎(早稲田大学)

早稲田大学の浦本です.

昨日,ついにExp. 329における最後の堆積物コアが回収されました.メモリアルコアを見るべく,多くの研究者の皆さんがキャットウォークに集まり(写真1),皆さん,感慨深げ(!?)にコアを眺めていました.

 

写真1 大賑わいだった最後のcore on deck

写真2 閑散としていた最初のcore on deck

 

 

振り返ると今回の航海は,最初のコアが上がってきた,ほとんど人がこなくてキャットウォークはとても閑散としていたものです(写真2「もしかして今回の航海の参加者は,コアには興味がないのだろうか?」と,その時は思いましたが,今回の航海における研究者の多数を占める微生物学者や地球化学者の皆さんは,研究の対象として捉えているものが違っていることが,後で話を聞いて分かりました.微生物学者の皆さんは,堆積物内に存在する微生物,地球化学者のみなさんは特定の元素といったものが研究の対象です.そのため,研究対象に興味はあるけど,コアそのものはちょっと・・・という方も,中にはいました.船上でコア記載を行う堆積学者の私などは,研究の対象として堆積物コアそのものが興味の対象ですので,自分のシフトの最中にコアが上がってきた時は,コアを見に行くことが多いです.話を聞いた時は,同じ掘削研究でも,研究の対象が違うと,興味もずいぶんと違ってくるものだ,と感じたものです.しかし,最初のコアが上がってきた日から,毎日のようにコアと接してきた皆さんが,最後のコアを感慨深げに眺めていた様子を見れたことは,「IODPの研究というのは,コアが上がってくる様子をちゃんと見届けてから始まるんだ」と,もはや航海が終わろうとするこの時期になって,一人感じ入りました.

船は,昨日の23時半から動き出し,オークランドに向けて最後のトランジットの最中です.外は波が非常に高く,この航海が始まって以来,最も船が揺れている状態で,最後のサイトで回収されたコアの処理とデータをまとめています.まとめの作業そのものが大変であることに加えて,大揺れで,大変な状況になっておりますが,航海を無事に終わらせるべく,最後の作業を続けているところです.

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船上レポート(12月2日)

Kite flying contest:最後のサバイバルの幕開け

浦本豪一郎(早稲田大学)

早稲田大学の浦本です.

4番目のサイトでの掘削が終わって以降は,掘削とトランジットの繰り返しが慌しく続き,途中経過を書けませんでしたが,今日,最後となる7番目の掘削サイトに到着しました.Exp. 329の航海は,海洋表層の一次生産が少ない南太平洋還流域の掘削ということで,これまでは還流域内を移動しながら掘削してきました.しかし,最後のサイトは,還流域の外側に位置しており,現在の海洋表層における一次生産が他のサイトに比べると多いです.こうした現在の表層環境の違いが海底堆積物中の生物圏にどう影響するか,あるいは,地質時代における還流域の範囲や規模の変遷がどのように海底堆積物に記録されているか,他のサイトとの比較を基に探究することになるでしょう.また,このサイトは,最後のサイトにして,掘削される堆積物コアが最も長い.堆積学者の我々は,戦々恐々としながら,このサイトに着くのを待ってました.航海終了までに仕事が終わるのだろうか・・・という不安の中,最後のサバイバルが始まろうとしています.そんな今日,船上では,最後のサイトにおけるサバイバルの幕開けを告げるかのように,Kite flying contest(凧揚げ)が船の後方にあるヘリデッキで盛大に開催されました(写真1).

 

写真1 盛り上がった凧揚げ

 

 

JOIDES Resolution号の凧揚げは話に聞いていたものの,私が前回参加した航海で凧揚げはありませんで,また,通常,JOIDES Resolution号では,航海が始まってから6週目くらいに凧揚げが開催されるようですが,今回の航海では,掘削の日程や天候,特に風のコンディションの関係で,開催が今日となりました.日本人研究者では鈴木さん(産総研)や山口君(東京大学)が凧を作ってコンテストに参加していましたが,なかなか上手く揚がらず・・・.一方,これまでの航海で相当な経験を積んでいると思われるテクニシャンや船員の皆さんの凧は圧倒的に揚がっていました.特に,船員の皆さんの凧は,写真2で点のように写っていますが,もはや反則なんじゃないかというくらい揚がっていて,コンテストを盛り上げていました.

 

写真2 船員の皆さんが揚げていた凧(矢印)

 

 

航海も残すところあと9日となりましたが,今日,盛り上がった勢いで,最後まで乗り切りたいものです.

 

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船上レポート(11月28日)

嵐の後

浦本豪一郎(早稲田大学)

早稲田大学の浦本です.

一昨日の船上レポートで嵐が近づいている話を書きましたが,昨日の時点で,雨が時おり降るものの,激しかった風がおさまり,波もだいぶ穏やかになりました(写真1).

 

写真1 穏やかになった海面に浮かぶアホウドリ達.一昨日の船上レポートの写真1と比べると,ほとんど白波が立っていないので,風が弱くなったことが分かります.

 

船内の様子としては,一昨日は船の揺れはいつも以上だったと思いますが,予想していたほどではありませんで(少なくとも夜シフトの仕事時間は),昨日と今日はほとんど揺れを感じなくなりました.嵐の前に送られてきたStaff ScientistのCarlosさんのメールには「揺れが酷くなる前にドクターに相談して,rocking and rollingに備えよう」と書かれており,“本当のrocking and rolling”を経験したい気持ちもありましたが,残された期間も短いですから,オペレーションを考えるとホッとしたところです.ただ,一昨日は,予想ほどではなかったものの,船が揺れて,私は,若干テンションが下がったというか,船酔い気味でした. そのため,仕事が一段落した後,机の上に突っ伏していたところ,テクニシャンのZenonさんが来て,「下のデッキに行った方がいい」と言われました. これは,船が揺れて,寝込むほどではないにしても,軽い船酔い気味のときの対処方法の一つですが,船酔いを悪化させないためのいくつかの方法を聞いたので,ご紹介します.

できるだけ下のデッキに行く

船の揺れというのは地震と同じで,船の下の方ほど揺れませんで,船の上のデッキと下のデッキでの揺れの違いは驚くほどです.Sedimentologistが仕事をするCore deckは上から二番目のデッキで揺れやすいですが,Core deckが揺れていても,コンピュータールームや船室の一部がある下からの二番目のUpper tween deckではほとんど揺れていないこともあります.船酔いを悪化させないために,下のデッキに行くのは非常に効果があります.

外に出て遠くを眺める

大海原のど真ん中にいる我々にとって,外の景色というのはほとんど変わることがない360°海という世界ですが,逆に,こうした何も変わらない,遠くの動かない景色を眺めていることが,効果があります.

船が揺れている方向に体を向ける

これは今回の航海で初めて聞いた方法ですが,Zenonさん曰く,人間は横方向からくる揺れに弱いということで,船が揺れている方向を向いて,じっとしているというのも効果があるということでした.基本的には上の二つの方法が非常に効果的で,私自身は,まだこの方法を試しておりませんが,仕事がたまって,ラボから出ている時間がないときなどは,この方法を試してみるのが良いと思っています.ただ,この方法を試す上で重大な問題があります.それは,ラボの中にあるパソコンや顕微鏡など,ほとんどが船の横方向を向いているということです.そのため,横方向の揺れがきたときは,問題なく仕事ができると思いますが,では,縦方向の揺れがきたときは・・・? 体だけ前を向いて,首を回して横を見ながら仕事をする・・・? うーん,実際に,こうした状況になったときに考えたいと思います.

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船上レポート17(11月26日)

嵐接近(というより嵐に向かっている?)

浦本豪一郎(早稲田大学)

早稲田大学の浦本です.

今日のレポートは,まず図1をご覧頂きたいんですが,2日前に船長から送信された今日11月26日の南太平洋の予想気圧配置図(若干,加筆)です.

 

図1 11月26日のJR号周辺海域の予想気圧配置図.H:高気圧,L:低気圧

写真1 強風吹きすさぶ中,荒れた海を見つめる光延さん

 

船は現在,図1の右端「JR-SPG11A」という掘削地点に向けてトランジットしている最中です.と,同時に,異常に気圧が低い嵐の方向に向かっております.「嵐が接近している」というより,嵐に向かって突き進んでいる状況です.昨日までは,海は比較的穏やかでしたが,今日は船の周りの波が高くなってきて,外に出ると雨風共に強いです.過去のJOIDES Resolution号の航海では,嵐の際は,例えば,嵐が来ると予想される掘削サイトを後回しにして,嵐から離れている他のサイトを先に掘削するなどの対応をしたと言う話はあります.しかし,残りの掘削サイトが二箇所となった我々の航海は,今,まさに嵐が向かっている方向にのみ,掘削サイトがあります.残された時間も限られていますし,選択肢はありませんので,嵐に向かって突き進んでいるのです.昨日の情報ですと,当初予想されたほど天候は酷くはならないということだったんですが,嵐は嵐.おそらく,これから風が更に強まり,海は荒れ,雨も強くなるでしょう. どんな状況になるか,全く想像できません.

一体どうなってしまうのか.続報をお待ち下さい.

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船上レポート16(11月25日)

感謝祭と誕生日

浦本豪一郎(早稲田大学)

早稲田大学の浦本です.

本日は,11月の第4木曜日ということで,アメリカの感謝祭Thanksgiving dayであったことに加え,恐縮ですが,私の誕生日ということで,研究者・テクニシャンの皆さんにお祝いをしていただきました.私にとって,二年連続のJOIDES Resolution号での感謝祭,誕生日です.船上の感謝祭は,イベントがあるというわけではありませんが,夜シフトの朝食時間(23時〜1時)からレストランの入り口にメニューが貼り出されていたことに始まり(写真1),夕食時間(11時〜13時)に七面鳥や大量のケーキ(写真2)が出て,どことなくお祝いムードが漂う一日となります.

 

写真1 感謝祭の食事のメニュー

写真2 レストランの真ん中のテーブルにはケーキと寿司が.

 

ただ,今日は,仕事の合間にレストランで休憩していたら,ケーターリングスタッフのJoelさんから,

「今日は早めにランチを食べに来てよ.Japanese food出るから!」

と言われて,何が出るのかなと思っていたら,写真2に写っていますが,寿司が出てました.今回の航海では,何かと和食が出て,しかも,とてもおいしい!です.前回参加したExp.317では,和食が出るということがなかったんですが,JR号で和食が出るかどうかは,調理を担当するケーターリングのスタッフさんによるのでしょうか.そして誕生日.JR号では乗船者の誕生日のお祝いでケーキが出る習慣がありますが,「感謝祭で大量のケーキが出るし,どうなるのだろう」などと考えながら,今日の仕事をしていたところ,仕事の終わり間際になって,周りの皆さんから急に「Happy birthday」と言われだしました.そこに,Yeoperson(※)のJamieさんがやってきて,

「みんなに誕生日の連絡をしたけど,ケーキは何時にする?」

というわけで,感謝祭とは別にケーキが出ることが発覚.ケーキ尽くしの一日になることが分かりました.去年の感謝祭では,須藤さん(名古屋大)の船上レポートで「ケーキの男・浦本」と書いて頂きましたが,今年はケーキの男を極めた感があります.JR号式のお祝いでは,たくさんの研究者・テクニシャンの方に来て頂き(写真3),

 

写真3 誕生日のお祝い.たくさんの方に来て頂きました.どうもありがとうございました

 

感謝祭の誕生日なだけに,本当に「感謝」の一言に尽きる誕生日となりました.航海は残りが約二週間となり,疲れはたまっていますが,今日,皆さんから頂いたエネルギーで,乗り切ろうと思います.

※Yeoperson(ヨーパーソン):船上生活(衣・食・住)のお世話をしてくれる人

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船上レポート15(11月22日)

玄武岩サンプリング

浦本豪一郎(早稲田大学)

早稲田大学の浦本です.

これまでの船上レポートで,今回の航海では,基盤岩(玄武岩)の掘削は,4番目のサイトまでということを書きましたが,現在,掘削された玄武岩のサンプリングが行われているので,その報告をしたいと思います.私自身は堆積学者なので,ポストクルーズ研究用のサンプルは堆積物のみをサンプリングしておりますが,玄武岩のサンプリングと堆積物のサンプリングの違いや,気づいたことなどを書いてみたいと思います.

玄武岩のサンプリングは,微生物研究用を除いたGeochemistやPetrologistによるサンプリングが,これまでにサイトで掘削されたコアが一括して行われています(写真1).

 

写真1 サンプリングのために,テーブルに並べられた玄武岩のコア.

 

堆積物がコアごとにサンプリングされるのと違っていますが,これは,玄武岩の記載が全て終了し,全体の特徴を把握してからサンプリングするためとのことです.掘削された玄武岩は堆積物に比べると回収率が低く,コアは短いですが,不均質であるため,全体の特徴が大きく変化します.おそらく,コアごとにサンプリングすると,少し変化が認められる部分にサンプリングの興味が集中することが想定されます.そうなると,コアごとにサンプリングの調整が行われることになってしまい,時間も労力もかかることになりますし,混乱を避けるために,コアごとではなく,全体の記載が終わってから,ということになったのでしょう.例外となる微生物研究用のサンプリングは,何といっても生き物を扱っていますから,記載が終わるのを待っているわけにはいきません.記載のためにコアが半割されると,空気に触れてしまうため,コンタミネーションしてしまうという問題が一つ.また,写真1のようにテーブルに並べられているコアは,乾燥しているので,玄武岩内に微生物が存在していたとしても,微生物の研究には使えないということです.したがって,微生物用のサンプリングは,コアが回収されるとすぐにリーファーに運ばれ,ホールラウンドサンプリング→サブサンプリングとなります.玄武岩のサブサンプリングは,ハンマーとタガネを使った肉体労働で(写真2),

 

写真2 ケミラボ内でサブサンプリングを行う鈴木さん(Microbiologist,産業技術総合研究所).撮影:光延さん.

 

ホールラウンドで採取された玄武岩サンプルを30個に小分けにします.小分けされたサンプルは研究者のリクエストに合わせて,薬品処理が施され,冷凍・冷蔵保存されます.玄武岩のサブサンプリングはケミラボ内で行われますが,ラボの中でハンマー・タガネを使うと,さすがに音が大きい.他の研究者のみなさんは,静かにラボから出ていきます.

堆積物のサンプリングは,研究手法(Microbiology, Geochemistry,その他)によってサンプリング方法が異なることを報告しましたが,今日の報告では,コアの回収率の良し悪し,堆積物・岩石の特徴の違いによって,サンプリングの仕方が異なることをご理解頂けたらと思います.

 

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船上レポート14(11月21日)

サバイバルスーツの着用練習

浦本豪一郎(早稲田大学)

早稲田大学の浦本です.

今日は日曜日ということで,毎週恒例の避難訓練です.

現在,我々は少しずつ南に向かっておりますが,南半球にいますから,徐々に船の周りの海水温も下がっています.そういった変化に対応するためか,「今日の避難訓練ではサバイバルスーツを用意する」という連絡が事前に船長からあったんですが,サバイバル・スーツは避難訓練前の夜シフトの時間に,船員の方から用意が完了したとお話があったので,これは,絶好のシャッターチャンス!,・・・,あ,いや,サバイバルスーツを着る練習の機会ですから,ラボにいたBryceさんとJin-wookさんの三人で,サバイバルスーツを着るために(カメラを持って)Bridge deckに行ってみました.すると,我々三人を待っていたかのように,ちょうど三着のサバイバルスーツ(写真1).

 

写真1 Bridge deckに用意されたサバイバルスーツ.

 

 

これは着るしかありませんので,さっそく着ようとしましたが,これらのサバイバルスーツ,何とサイズが体重別(身長が書かれているものもありますが).日本人は,基本的にAdult Immersion Suitと書かれた中くらいのサイズのものが相当と思いますが,三着しかないので,三人で一番大きい私はJumbo Immersion Suitと書かれた特大サイズのサバイバルスーツを着ることになりました(写真2).

 

写真2 ジャンボサイズのサバイバルスーツを着た筆者.

 

実際に着用した感想は,すごく重い!サイズが大き過ぎるためではなく,どのサイズも,本当に驚かされる重さです!

着用するだけでも時間がかかります!そして,重いので,着用しても動きにくい・・・.

このサバイバルスーツ,どうやら海に飛び込んで,プカプカ浮いていることを目的として作られているようなんですが,余計な動きをしない/できない作りになっているものと思われます.

いずれにしても,分かったことは,JOIDES Resolution号のサバイバルスーツは緊急時にいきなり着るのは無理です!実際の避難では,各自が船室に用意されているサバイバルスーツを着用することに加えて,船室から避難することも考えなければなりませんが,慣れていないと,サバイバルスーツを着て,船室から避難するよりも,船が沈む方が早い可能性があります!サバイバルスーツは日頃から着用する練習をして,いざという時に備えましょう!!

 

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船上レポート13(11月15日)

海の青さチェック

浦本豪一郎(早稲田大学)

早稲田大学の浦本です.

航海は4番目のサイトにおける掘削が終了し,5番目のサイトに向けて,トランジットの最中です.実は,4番目のサイトは,我々がいる南太平洋還流(Gyre)域のGyreの中心に位置する地点だったんですが,どうしても気になっていたことがあります.それは「海の青さ」.南太平洋還流域は,海洋表層における生物の一次生産が地球表層で最も低い海域ですが,その中でも最も生物生産が低いのが,実は,前のサイトです(詳しくは,この航海Exp.329のScientific Prospectusを参照).

このことは,「地球表層において最も青い海が見られる」ということに他なりません.

そういうわけですので,今日は,これまでのサイトで撮影した海の写真を振り返りながら,海の青さを比較してみたいと思います. 航海の出発地であるタヒチのパペーテから順に,掘削サイトごとに見ると写真1〜5のようになります(いずれも,晴れた日の10時から15時くらいに撮影).

どうでしょうか?

Gyreの中心である四番目サイトの海水(写真5)が一番青い!!,,,かというと,現場で見てきた自分には分かりません(泣).パペーテの港(写真1)

 

写真1 タヒチ島パペーテ港.

 

 

はさすがに人間活動の影響があるものと思われますが,Gyreの縁辺から中心にかけて(写真2〜5),

 

写真2 最初の掘削サイト(Gyreの縁辺).

写真3 二番目の掘削サイト.

写真4 三番目の掘削サイト.

写真5 四番目の掘削サイト(Gyreの中心).

 

 

日のあたり具合による多少の違いはあるものの,どこのサイトも,とても青い海です.もはや人間の視覚の限界を超えています. 直感的な話では終わらないよう,Staff ScientistのCarlosさんから聞いた話を書きますと,船では海水の透明度も調べているということで,これまでの地点では,場所によっては透明度が40〜50 mになるそうです. 普通の海水の透明度は,良くて10 mくらいということですから,南太平洋の海はおそろしく青く,綺麗だということをご理解いただけると思います.

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船上レポート12(11月15日)

昼シフトとよるシフトが逆転!?

 

浦本豪一郎(早稲田大学)

 

早稲田大学の浦本です.

4番目の掘削サイトで掘削中です.このサイトはExp. 329で最も東に位置する掘削サイトですが,このサイトにきたことで,船上では,昼シフトと夜シフトが逆転しつつあるという状況になっています.仕事の時間が変わったわけではありませんが,いきなり「昼夜逆転」といっても分かりにくいかと思いますので,以下で,状況を説明いたします.

現在のサイトで,船上での日の出は3時過ぎ,日没は1630分過ぎとなっています.日の出・日没の時間の関係を考えるとどちらも早過ぎて奇妙な時刻ですが,このような現象が起こっているのは,船上の現在時刻が,出港地であるタヒチ島にいた時と同じためです.タヒチ島は西経150°に位置していますが,現在,我々がいるのは西経124°.今回の航海は東西方向の移動距離が大きく,標準時間帯Time zoneを横切る形でトランジットしてきたので,本来の標準時で考えると,現在地はタヒチ島よりも約2時間,標準時間が早い地域にいることになります.しかし,船上生活というのは,船が設定する時間で動きます.時間の設定に関しては,前に船長からお知らせがあって,オペレーション(掘削)をしている間は船内の時間変更をしないということでした.これは,掘削が始まっている状態で時間を変更すると,12時間交代の仕事が,13時間あるいは11時間になるなど,変則的になってしまうことへの配慮と思われますが,時間を変更しないまま東に移動してきた結果,日の出・日の入りの時間が非常に早くなったのです.毎日,一緒に日の出を見る韓国人のJin-wookさんや中国人のGuo-liangさんとは,トランジットに伴った日の出時間の変化に驚くと共に,「もうすぐ昼と夜の仕事が逆転だ」と,ここ数日盛り上がっておりました.昼シフトの仕事時間は12時〜0時,夜シフトの仕事時間は0時〜12時ですので,完全な昼夜逆転ではありませんが,昼シフトは夕方から,夜シフトは明け方から仕事をしているような状態なのです.

というわけですので,今日のレポートでは現在の状況を象徴する,南太平洋の日の出と日の入りの写真を掲載したいと思います.日の出は今日の写真(写真1)で,昼シフトの方の中には,日の出の時間まで起きている方もいて,たくさんの方が日の出を見るために外に出ていました(写真2).一方,日没は三日前の写真です(写真3).

 

写真1 今日の日の出

写真2 日の出を見に出てきた研究者の皆さん.

 

写真3 三日前の日没

 

 

 

“早過ぎる日没”をこの目で見ておきたいと思って,自分で撮りましたが,夜シフトの人間が16時を過ぎて起きていると,さすがに疲れますし,周りから心配されるので,休みの時間は早めに寝て,次の日の仕事に備えてくださいね.

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船上レポート11(11月10日)

新鮮な食材の謎に迫る

 

浦本豪一郎(早稲田大学)

早稲田大学&“Exp.329報道担当(=船上レポート執筆係)”の浦本です.

今日は諸野さん(Microbiologist,海洋研究開発機構)から振って頂いた話を,浦本が(勝手に)話を膨らませて報告いたします.昨日の午前2時ごろ,レストランで佇んでいたとき,あとから来られた諸野さんが発した一言から,今日の話は始まります. 諸野さん「何で港を出てから一ヶ月以上経ったのに,生野菜が出てくるんだろうねぇ?」

 JOIDES Resolution号に乗っていて,普段,レストランに行くと,たいていレタスをはじめとした生野菜が用意されています(写真1).

 

写真1 いつもレストランで提供される新鮮野菜.案内はケーターリングスタッフのJoelさん.

 

 

また,朝57時の食事では卵料理をオーダーできて,目玉焼きも出てきます(写真2).

 

写真2 朝5〜7時は目玉焼きも頼めます.

 

 

我々の航海が始まってから一ヶ月以上経過しましたが,こうした食材は普通に出ます.

 ただ,生野菜は,いつもあるのですが,私は,基本的に生野菜を食べないため,新鮮な野菜を気に留めることがありませんでした.また,卵料理は,私は普段,スクランブルエッグを頼むため,新鮮な卵だから作れる目玉焼きのことは気にしていませんでした.ですので,普段,「新鮮な食材」があることを気にしていなかった私は,諸野さんの問いかけに何か思い浮かぶはずもなく,


浦本「う〜ん,何でですかねぇ」

 

と,反応し,その後は以下の会話が続きます.


諸野さん「何か特別な保存方法があるのかなぁ?」

浦本「この船なら何かありそうですねぇ」

諸野さん「そうだよねぇ」

浦本「うーん」

諸野さん「何でだろう」

浦本「・・・,あっ,いいこと思いつきました」

諸野さん「?」

浦本「そのへんを調べて,船上レポートに書いたらどうでしょう?」

諸野さん「そうか,じゃあ,(報道担当の君に)任せた!」

浦本「・・・そうですよねぇ」

 

 以上のやり取りで,今日の船上レポートの内容は決まりました.

 

「新鮮な食材が何故出てくるのか?」

 

他のExpeditionの船上レポートでも新鮮な野菜が出てくることは折に触れて書かれていたと思いますが,何故,こうした食材が出てくるか,という点は明らかにされていなかったと思います.そこで,Exp.329報道担当は今まで明らかにされてこなかったJOIDES Resolution号の謎に迫ってきましたので報告します.

 というわけで,さっそく,報道担当は,いつも笑顔のケーターリングスタッフJoelさんに食材の謎を聞いてみたところ,冷蔵庫や冷凍庫を案内してくれるということになったので,潜入してきました.まずはレストラン奥の冷蔵庫に入ると・・・,そこにはたくさんの野菜がありました(写真3).

 

写真3 レストラン裏の冷蔵庫内.

 

 

ただ,何か特別なのかというと,普通の冷蔵庫を大きくした感じで,特別な仕掛けは無さそう.野菜は裏で自家栽培,というわけでもありません.レタスなどは表面が傷んでいるものもあって,こうした野菜は表面を除いて,内部の新鮮な部分を利用しているとの事でした.傷みやすいレタスなどの野菜は,もってあと二週間くらいということで,必ずしもずっと出てくるわけではないようです.この点はご注意下さい.そして,冷凍庫は・・・(写真4),

 

写真4 レストラン裏の冷凍庫内.

 

 

肉や冷凍野菜がたくさん置かれていましたが,これも特別な様子はなく,当たり前ですが,寒い.報道担当が写真をバシャバシャ撮っていると「寒いから早く出よう」ということで,冷凍庫の見学は終わりました.この後は,Forecastle Deckにある,その他の食材(米,麺類,小麦など)や飲み物などの保管庫と,シリアル類や洗剤などの保管庫を案内してもらいました.全般に特別な仕掛けは無いようで,食材は大きな冷蔵庫,冷凍庫に保管しているという感じです.そして,基本的には傷みやすいものから徐々にレストランで提供されなくなっていくということが判明しました.

 そして,最後に,

「今日は冷蔵庫を見せたから,次に乗船するときはボンサイ持ってきてね」

とJoelさん.

「!? ナゼ,ボンサイ?」

 いきなり盆栽と言われたら,疑問に思わざるを得ませんが,実は海外では,意外と盆栽人気のようです.Joelさんによると,「Japanese Night(白石さんのレポート参照)」などの飾りとして,盆栽が欲しいと言うことでした.というわけなんですが,私が盆栽をもっていく機会は中々無いかもしれませんので,今後の航海に参加される奇特な方,是非,ケーターリングスタッフのみなさんのために盆栽を宜しくお願いします.と言っても,海外では植物の持込ができない国が多いですし,本物の盆栽ではなく,盆栽風の飾り物(プラスチックでできている物など)が良いと思います.

 以上で本日の報告を終わりたいと思います.

 

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レポート10 11月10日(水)

Bit on deck

浦本豪一郎(早稲田大学)

 

早稲田大学の浦本です.

航海は3番目のサイトでの掘削を終え,4番目の掘削サイトに向けて,南太平洋をひたすら東に移動しています.  今回の航海では,7つある掘削サイトのうち,1,3,4番目のサイトで基盤岩(玄武岩)を掘削しますが,昨日,3番目のサイトでの掘削終了後,Co-chiefのSteveさんから「ドリルビットがキャットウォークに上がってきた(Bit on deck)から見よう」と誘われ,見せてもらいました.

 ドリルビットは,シップツアーなどで見学する,使用前のきれいなビットは見たことがありましたが(写真1),

 

写真1  掘削前のロータリーコアビット(RCB).

 

使用直後のビットは見たことがなかったので,興味津々,キャットウォークに行ってみると―.

ありました.変わり果てた姿のロータリーコアビット(RCB)(写真2).

 

写真2  掘削を終えてキャットウォークに上がってきたRCB.矢印の説明は本文参照.

 

 

写真1と写真2を比較すると,何と言いますか,言葉にならない変化です.  RCBは基盤岩のような硬い岩石を掘削する際に使用されるビットで,地下では,ビットを回転させながら岩石を掘り進みます.  ビット自体は,金属でできていて頑丈なわけですが,回転させるうちに磨耗して傷つき,表面はデコボコになります.  また,回転させることによって発する摩擦熱による変形も見られます.写真2の矢印は,ビットとコアバレル(回収されたコアを通す管)の接合部を指していますが,曲がっているのが分かりますか? これは元々こうなのではなく,掘削している間に変形してこのようになったとの事です.  我々が想像もできないような過酷な海底下での掘削を終えて戻ってきたドリルビット.  本当にお疲れ様でした.

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レポート9 11月1日(月)

サバイバル・マンス突入

浦本豪一郎(早稲田大学)

 早稲田大学の浦本です.
 航海は,三日前の夜に到着した二番目の掘削サイトでの掘削が早くも終了し,次のサイトに向かっています. 二番目のサイトでは,堆積物の厚さが17mほどで,すぐに基盤岩に達するというのが事前の推定で,掘削は17mの堆積物のみを二日間で4つのホールで掘って,IODP史上“最短”のコアが得られるということでした. 実際の掘削は,最初のホールは試し掘りで,2番目のホールでは,ほぼ予定どおりの長さのコアが得られて順調に掘削が進むかにみえましたが,3番目のホールで予定より厚い20m以上のコアが掘削され,4つ目のホールでは正体不明のもの(硬質なもの?)があって,ホールの基底で掘削が進まず,5番目のホールは表層の5mくらいで掘削を終了し,6番目のホールでは30mくらいのコアが掘削され…. 6ホールまで掘るのは二日もかからず,予定よりも早かったくらいですが,まさか6ホールまで掘り,しかも,ホールによっては予定よりも倍くらい長いコアが得られるとは・・・. 地球相手の掘削ですから,何が起こるか分からないものです.

さて,船上の時間では,日本より19時間遅れですが,11月を迎えました. 船内では,最近,私と同じ夜シフトの光延さんが発するオーラに陰りが見えていたので,航海が終了するまでのカウントダウンカレンダーを作り,ラボに貼ってみました(写真1).前回の航海でも他の方が作ってましたが,今回は,光延さんの様子を見て,今こそカウントダウンカレンダーを作るべきタイミングだ,と思ったためです. 自分で作ってみて,改めて眺めてみると,まだ×がついていない11月が,何だか長いですね.10月,12月の航海期間と比較して長いというのもありますが,一ヶ月という時の長さを感じます.

 

写真1 カウントダウンカレンダー:目指せ!オークランド!!(←我々の航海の終着地)

 

 

カウトダウンカレンダーを見た,研究者の皆さんの反応は,
「11月になったら早いよね」(韓国人のJinさん) という前向きなコメントや
「私は航海が終わったら南島に行くんだ」(アメリカ人のBryceさん) と早くも航海後の話をしている方や,
「Good luck for you」(Co-chiefのSteveさん(アメリカ人)) …,特に自分のために作ったわけではなかったので,誤解された気もしますが,押しなべて,みなさん笑ってました.

自分が「11月長いな」と思ったことと比較すると,何となく国民性が垣間見えるような気もしないでもない話ですが,いずれにしても,船上では休みなしで毎日仕事です. 二ヶ月の船上生活というのは一ヶ月を過ぎてからが勝負なので,この11月は,Exp. 329において,勝負の一ヶ月となるでしょう. まさに,サバイバルな一ヶ月の始まり. みなさん,頑張っていきましょう!

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レポート8 10月29日(金)

トイレットペーパーの使い方注意!

浦本豪一郎(早稲田大学)

 

早稲田大学の浦本です.  掘削とは関係ありませんが,緊急事態が発生しています.  最近,船内共用部のトイレの詰まりが頻繁に発生するということです.  特に,ケミラボのあるForecastle deckの共用部トイレの詰まりが相次いでいるようです.  自分が見た限りだと,Bridge deckの共用部のトイレも,一昨日,昨日と詰まっていて使えなくなっていました.  いずれにしても,船内のあちこちで共用部のトイレの詰まりが頻繁に発生している状況です.  「Out of order」の貼り紙がされたトイレの扉は,いつもの光景ですが,何となく哀愁を漂わせています(写真1).  トイレの詰まりについては,これまでの航海の船上レポートで取り上げられていますが,昨日,船内ではトイレットペーパー(TP)の使い方の注意書きが貼り出されました(写真2). 現在乗船中の我々だけでなく,今後,Joides Resolution号に乗る方も,以下のTPの使い方を心に留めて,トイレを使ってください.

 

写真1 物悲しい雰囲気が漂うトイレの扉の「Out of order」の貼り紙 写真2 トイレットペーパーの使い方

(写真をクリックして拡大)

 

「1回当たり,トイレに流して良いTPは8 squares写真2参照)まで」

以上です.

トイレの詰まりはTPの使い過ぎが主な原因だそうで,↑の原則を守れば,トイレが詰まる可能性は低くなるそうです.
そして,何より,トイレの修理を担当する船員の方の負担が減ります.

より快適な船内生活のために,ご理解とご協力のほどを.

 

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レポート7 10月26日(火)

サンプリングに見る研究手法の違い

浦本豪一郎(早稲田大学)

 

早稲田大学の浦本です.最初の地点における掘削が最終段階に入りました.コアラボでは,Sedimentologistによる堆積物の記載は全て終わりが,Petrologistによる基盤岩の記載は,今日から本格的に始まったばかりで,掘削終了後もラボの中は慌しくなりそうです.さて,IODPでは,それぞれの航海で,新しい試みが行われているのが常と思うのですが,今回の航海では,研究手法によって異なるホールで堆積物コアを掘削しています(基盤岩の掘削は一本のみ).今回は,コアラボの研究者(Sedimentologist,Physical Property Specialist, Paleomagnetist)による半割したコアからのサンプリングと,GeochemistとMicrobiologistによるホールラウンド・コアからのサンプリングがありますが,それぞれの研究のために,今回は一地点で合計四つのホールから堆積物の掘削が行われます(Microbiologist用が2本).その結果,コアがどのようになるか,今日はその比較をしてみたいと思います.

 

写真1 コアラボでのサンプリングの様子。
お馴染みと思いますが,それぞれの研究者がワーキング・ハーフと呼ばれるサンプリング用に半割したコアの希望するところに旗を立てて,サンプリングしていきます.半分にカットされたコアからサンプリングするのがここでの特徴です.
   

写真2 Geochemistによるサンプリング後のコア.

写真3
船上における間隙水の分析や研究者用に,上がってきたコアはすぐにコアの保管庫に運ばれ,ホールラウンドの状態でサンプリングされます.写真2では,ホールラウンドでサンプリングされた部分が欠落しています.また,多くのGeochemistは,個人研究用のサンプルを,注射器を使って,コアの断面からサンプリングします(写真3の矢印で指した穴).そのため,見た目にはだいぶ連続してコアが残っていますが,中身の一部が“空洞”になっているのが,Geochemistによるサンプリング後のコアです.
   

写真4 Microbiologistによるサンプリング後のコアを半割したものです

(注:写真のコアは左の四本のセクションのみのコアです).

微生物解析用のサンプリングも,Geochemistと同様,ホールラウンド・コアからサンプリングが行われますが,生き物を扱っているので,取り扱いは慎重です.船上研究や個人研究用のサンプルは全て,ホールラウンドの状態でサンプリングされるため,残される部分はだいぶ少ないです.

 

GeochemistやMicrobiologistによってホールラウンドでサンプリングするのは,サンプリングされた後のコアは,物性計測やSedimentologistによる記載,古地磁気の測定のために最終的に半割されるため,空気に触れるなどの汚染(コンタミネーション)を防ぐのが目的の一つです.また,微生物は生き物ですが,物性計測ではγ(ガンマ)線を使う測定もあるので,γ線を当てれば,コアの中の微生物は死滅してしまいます.微生物を解析する以上,生きている状態のサンプルが必要ですから,物性計測などが行われる前に,ホールラウンドでのサンプリングは行わなければならないのです.

しかし,ここでサンプリングにおいて,注意しなければならない点として気付いたことがあります.それは,採取されたサンプルを管理してくれるのはキュレーター(サンプリングの調整やサンプルの管理を担当するテクニシャン)の方ですが,サンプリングは,あくまでも研究者自身で行うことです.サンプルを「誰が,どこから,どれだけサンプリングしたか」という情報は,最初に,研究者自身が情報をデータベースに入力します.ただ,入力された情報を管理するのはキュレーターなので,入力された情報にミスがあり,コアの一部の情報が欠落していたり,逆にコアの情報が多くなっていると,キュレーターが情報を再確認しないといけなくなります.特にホールラウンドのコア試料は,コアを複数の断片に切り分けることになるため,順番が入れ代わったり,うっかり情報の入力を忘れると,元の情報を確認するだけでも大変なことです.実は,我々Sedimentologistは,こうしたサンプリングの情報を確認しながら記載を行うので,時々こうした「missing interval」を発見することになり,キュレーターの方に報告していますが,その度に,多大な労力を強いることになってしまいます.

サンプルの管理はキュレーターが適切にやってくれます.また,船上において研究者は,研究に専念できるように配慮されています.そのため,我々研究者はついついこうした状況に甘えてしまうことがあるように思います.しかし,最終的にサンプルを分析し,研究するのは研究者自身です.今回のようにサンプリングが複雑になってくると,適切なサンプルの管理のために,我々研究者自身も,より一層注意深くサンプリングを行わなければなりません.

 

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レポート6 10月24日(日)

寿司祭り

白石史人(九州大学)

 

九州大学の白石です.私にとっては今回が初のIODPということで,期待と不安の入り混じる中での乗船となりました.私の船上での役割はsedimentologistで,浦本君と実質2人で堆積物の記載を行っています.私の専門は炭酸塩堆積学なのですが,最近では専ら地球化学的・微生物学的な研究をすることが多く,純粋な堆積学からはしばらく離れていたために,当初は仕事内容に戸惑うこともありましたが,IODPの先輩である浦本君にアドバイスを頂きながら,何とか仕事をこなせるようになってきました.しかし,やはりコアスクール等で前もって基礎知識を得ておくと乗船してからの苦労が小さくなるのだろうなと感じました. さて本航海の進捗状況はというと,出港から2週間ほどが経過した現在までのところ,最初の地点で4本の堆積物コアの採集が無事に終わり,いろいろと重要な発見がなされました.その後,この地点で最後となる5本目のコアを掘削していたのですが,掘削機器にトラブルが発生したため,ニュージーランドにいったん寄港して修理することが検討されました.私は不謹慎にも「これで2週間ぶりに酒が飲める」と内心喜んでいたのですが,船を運航するTransoceanの優秀な技術者たちは速やかに打開策を見出したようで,私の飲酒への希望ははかなくも散ってしまいました.そんな状況を知ってか知らいでか,ケータリングスタッフが本日の夕食(昼シフトの昼食)に寿司祭りを開いてくれました(写真1).いつもは無愛想な給仕のおじさんたちも今日はやけにフレンドリーで,落胆している私を慰めてくれているのだと勝手に解釈しておきました.しかし食事の度に驚かされるのは下野君の食欲です.しかも今日は日本食ということで,半端なく盛っています(写真2).しかも彼はこの後デザートも平らげたというからびっくり.あの華奢な体のどこに食べたものが収まっているのか非常に謎深いです.ちなみにもう一人の大食漢の浦本君はというと,夜シフトで寝ているはずの時間にもかかわらず,起きてきて寿司をほおばっていたようで,眠気より食い気の方が勝っている様子でした.

写真1 寿司祭り 写真2 下野君の食事

 

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レポート5 10月21日(木)

ふと思った船上のSedimentologistの仕事について

浦本豪一郎(早稲田大学)

 

早稲田大学の浦本です. コアが上がり始めて5日. 少しずつですが,船上の研究は進行しており,今日は私のシフトの時間で,コア14本分の記載をしました. 1人で. こう書いて,事情をご存知の方がどういった印象を受けられたか分かりませんが,今回の航海はSedimentologistが3人. そのうち1人は物理特性との兼務となっているため,実質的にSedimentologistとしての仕事をしているのは,もう1人のSedimentologistである白石さんと私の二人で,それぞれ昼と夜のシフトに分かれているため,1人で仕事をしているというのは,本当の話です. ただ,前回の船上レポートにチャート層をピストンコアで掘削したと書きましたが,今日,記載したのはチャート層の層準で,回収されたコア一本あたりの長さが1〜2mほどだったため,実際に記載したのは,非常に破片化したチャート20mほどですが. いずれにしても,コアの肉眼観察,スミアスライド観察,そして,これらの記載結果をデータベースに入力するという作業を,今回は1人でやるので,仕事量は意外とあります. 実は,船にコアが上がり始めた当初,なかなかSedimentologistの記載までコアが回ってきませんでした. 何が起こったのかと思いきや,ホールラウンド・コアで行う物性の測定器が故障. Sedimentologistがコアの記載をするのは,ホールラウンド・コアの物性計測の後,半割されてからとなるので,故障している間,我々の手元にコアはきません. 最終的に,コアが上がり始めてから30時間以上経って,サンプリング・テーブルとディスクリプション(記載)・テーブル(←Sedimentologistが仕事をする場所)までコアがきました(写真1). その間,掘削されたコアは順調にたまっていく一方でしたので,このままだと終わらないんじゃないか…. 早くもそんな不安に駆られたものでした. しかし,思い返せば,Exp. 317の航海に参加した時も,最初はそんな不安を抱えながらやっていました. Exp. 317の場合は,水深の浅い大陸棚の掘削から始まったため,掘削のペースが非常に速く,各シフトでSedimentologistが5人体制でしたが,船上での仕事が追いつかず,コアがたまっていく一方でした. 最初はそういう状況でしたが,最後は問題なく記載が終わっておりました. ということは,もしかしたら,船上におけるSedimentologistの仕事というのは,最初に追い込まれるものなのかもしれない. ふと,そんなことを思いつつも,次から次へとやってくるコアに追い込まれながら,今日の仕事をしたのでした.

写真1 サンプリング・テーブルに乗せられた最初のコアの周りに集まる研究者の皆さん.

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レポート4 10月18日(月)

First core on deck

浦本豪一郎(早稲田大学)

早稲田大学の浦本です.

今朝,本航海における最初のコアが上がってきました.掘削地点に到着してから約30時間. 掘削する水深が5,700 mと深いため,海底までコアを上げたり下げたりするだけで時間がかかることと,最初はピストンコアによる掘削が始まりましたが,海底下30〜40 mのところに硬い堆積物(チャート層)が存在していたようで,掘削するのに時間がかかりましたが,無事にコアが回収されました. キャットウォークに上がってきたコアは,すぐさまセクションに分割され(写真1),ケミラボに運ばれて分析作業に入るとともに,コアキャッチャー内の堆積物(写真2)は,これも地球化学の分析用と,また,Staff ScientistのCarlosさんが微化石の分析用に堆積物を回収しました.Staff Scientistは船上の研究における実務面を統括する研究者ですが,今回は化石年代スケールを検討するPaleontologistがいません.ただし,堆積物の年代を決めることは,時間スケールを考慮して研究を行うという,この先の研究における基礎情報となるので,本来は微化石の研究者であるCarlosさんが化石年代スケールを検討も行うということです.一方で,我々Sedimentologistはというと・・・,ケミラボの分析とホールラウンドコア(半割していないコア)での物理特性の分析が終了し,コアが半割されてから記載に入ります.それまで数時間,Carlosさんが分けてくれたコアキャッチャーの堆積物から作ったスミアスライドを観察して(写真3),どんなコアがやってくるかな〜,と想像しながら,ひたすらコアを待ちます.それにしても,写真2の堆積物を見ると,非常に赤茶色い. 私にとって,生の遠洋性堆積物を観察するのは初めてですが,大陸縁辺の堆積物とは全く別世界を思わせる雰囲気が漂っています.この成因は何なのか. そして,この堆積物にはどんな微生物が存在しているのか.船上での研究は時間との勝負ですが,探究していきたいと思います.

 

写真1 キャットウォークに上がってきたコア 写真2 取り出されたコアキャッチャーの堆積物
   
 
写真3 スミアスライドを観察する古地磁気学者の下野君  

 

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レポート3 10月16日(土)

JOIDES Resolution号の変化2

浦本豪一郎(早稲田大学)

早稲田大学兼Exp.329広報担当の浦本です.
 航海は最初の掘削地点に到着しました.ここでは,水深5,700 mの海底を掘削するということで,コアが上がってくるまでだいぶ時間がかかるようですが,順調にいけば,今日の夜には最初のCore on deck(コアが取れた際に流れる船内放送)の放送が入るとのことです. 一方,研究者は,ラボごとに船上における研究手法(Method section)の原稿をまとめると共に,来るべくCore on deckに向け,ラボの準備に勤しんでいます.

さて,前回に引き続き,今日もJOIDES Resolution号の変化と題して船上レポートを書きたいと思いますが,今日はラボの変化をご紹介します. 私がまず気づいたのは,Sedimentologistが作業するコアラボ内ですが,前回と比べると写真1のようになりました.

 

写真1 コアラボの変化(画像をクリックして拡大)
 
写真2 Forecastle deckの通路奥の扉を開けると・・・ 写真3 コンテナが出現

 

Exp. 329の写真では手前にサンプリング・テーブルが出現し,ディスクリプション(記載)テーブルが左に移動し,また,Exp. 317では液晶モニターがたくさん並んでいるテーブルがありましたが,他の場所に移動しました.液晶モニターは今回も前回もたくさんありますが,非常に大きい(30インチ).そして,前は30インチのモニターが3台繋がっているパソコンが4台あったんですが,さすがに誰も3台のモニターは使いこなせていなかったような・・・.今回は1台のパソコンにつながっているモニターは2台までで,仕事をやる分には,正直,モニター2台がやりやすいです.ただし,コアラボは基本的には物の移動のみで,変化としては序の口. 今回の航海における決定的な変化はケミラボ(コアの化学分析を行う実験室)のあるForecastle deck(フォクスル・デッキ)のラボが並ぶ通路の奥の扉(写真2)から出たところに出現した巨大コンテナ(写真3)! 以前,この場所はいくつか椅子が並んでいたり,ハンモックがあったりするなど,休憩場所でした.今回は地下微生物の研究を行うために,放射性同位体を用いた作業を行うということで,このコンテナが積み込まれたそうです.コンテナを積むために,船も若干の改装が行われたということでして,研究船としてのJOIDES Resolution号は変化,というより“進化”しているのです.この進化には,驚かされると共に,今回の航海にかける意気込みを感じます. 実際にここでどのような研究が行われているか,という点は,後日,改めてMicrobiologistの方にリポートしたいと思います.

 

参考:JR号の間取(英語ページ)>>こちら

 

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レポート2 10月13日(水)

JOIDES Resolution号の変化

浦本豪一郎(早稲田大学)

早稲田大学の浦本です.

Co-chiefの稲垣さんからのお達し,あ,いや,日本人研究者の話し合いにより,“Exp. 329広報担当(簡単に言うと,船上レポート執筆係)の浦本”となりました.
これからは,航海での出来事を積極的に報告していこうと思いますので,よろしくお願いします(もちろん他の日本人乗船研究者の皆さんも船上レポートを執筆されると思いますが・・・).

航海ですが,昨日,さっそくタヒチのパペーテ港を出航しました. 前回の航海では,船内設備の使い方に慣れるためのトレーニングなどで出航まで数日ありましたが,今回は航海期間中の約半分の日程がトランジットにあてられ,とにかく移動に時間を費やすため,各種トレーニングもトランジットしながらということでスケジュールが組まれており,早ければ今週末にはコアがあがってくる予定ですし,急ピッチで航海が進んでいる印象を受けているのが現状です.

さて,そんな航海ですが,前回と比べると変化している点にいくつか気づいたので,JOIDES Resolution号の変化ということで,何回かに分けて報告をしたいと思います. 今日,報告したいのは,安全面での配慮に関してです.昨日は出航前に船長から船上生活の注意点に関するプレゼンテーションがあり(写真1),出航後に初めての避難訓練が実施されましたが,船長によるプレゼンテーション自体が前回の航海ではなかったと記憶しています. また,避難訓練では,前回は希望する乗船研究者が救命ボートに乗ることはありましたが,今回は初めての避難訓練から,まず救命ボートの乗り方の説明がなされ,乗船研究者が4台ある救命ボートに分乗して,救命ボート内で,避難の仕方について解説を受けました(写真2). 避難訓練が実施されることは変わりないですが,初回から救命ボートに乗ることは考えていなかったので,驚いたというか,何というか. 今回は南太平洋の真ん中で航海が実施されるので,万が一,何かが起こったら救助は時間がかかりますし,備えは万全にということでしょうか. 安全面での配慮が細かい点まで行き届いているな,と感じた第一回目の避難訓練でした.

 

写真1 船長によるプレゼンテーション 写真2 救命ボートに乗り込んだ乗船研究者たち

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レポート1 10月10日(日)

真夜中の乗船

浦本豪一郎(早稲田大学)

早稲田大学の浦本です.
 前回参加したIODP Exp. 317の航海が終わってから,早くも9ヶ月が経過した,あるいは,まだ9ヶ月しか経っていない,色々と捉え方はあると思いますが,掘削して得られた堆積物コアの記載を担当するSedimentologistとして,再びIODPの航海に参加することとなりました.今回参加するのはIODP Exp. 329 South Pacific Gyre Microbiology(SPG).

研究のテーマが「南太平洋の海底堆積物中に存在する微生物の研究」を行うことが主な目的となっており(詳しい航海の概要はJ-DESCのホームページを参照下さい),前回のExp. 317のテーマ(ニュージーランド南島東方沖のカンタベリー堆積盆地における海水準変動の復元)とは対極に位置するような航海のテーマとなっております.317の航海は,まさにSedimentologistが主要な役割を果たす航海だったため,Sedimentologistが10人いましたが,今回のSPG航海では3人となるなど,Sedimentologistに求められる役割も変わってくるものと思われます. 今回の航海における船上レポートでは,こうした航海ごとの違いなどにも触れながら,船上生活の様子をレポートしていけたらと思っています.

さて,航海の開始は今日ですが,日本人研究者は,昨夜までに,無事に乗船しました. 通常ですと,乗船研究者は航海開始の前日に現地入りしてホテルに泊まり,航海開始日に乗船,というのが一般的な乗船の流れです.ただし,今回はフライト・スケジュールの関係で,乗船地のタヒチに着くのが夜となるため,空港からダイレクトに船まで来て,乗船となり,この時点で既に前回と違ってきています. 昨夜は,やぐらが真っ暗で,空港からタクシーで移動している時,「JOIDES Resoltion号はやぐらがあるから分かるだろう」などという話になっていたんですが,近くに来るまで分かりませんでした. 航海を前に,まだ船も眠っているかのようなもの静かな雰囲気です.しかし,航海が始まると,24時間フル稼働で,遠くからでも分かるくらい,夜もやぐらは明るくなります. 今回は,これから三日間,タヒチに滞在し,その後,四日間のトランジットを経て,掘削が始まるので,おそらく一週間後くらいの船上はいつも通りの賑やかな雰囲気になることでしょう.

今回の航海では,どんな地下世界が見えてくるだろう,そんなことを考えながら,静かに航海は始まりました.

 

 

 

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