IODP-USIO Expedition: Shatsky Rise
- 航海概要
- 乗船者追加募集(募集終了)
- 乗船募集情報(募集終了)
- 船上レポート
テーマ
北西太平洋シャツキー海台におけるプルームモデルとプレートモデルの検証
航海期間
2009年9月4日(横浜)〜11月3日(タウンスビル・オーストラリア)
掘削船
JOIDES Resolution(USIO)
Co-chief Scientists
William W. Sager,佐野貴司
乗船研究者
日本から参加する乗船研究者
| 佐野貴司 | (国立科学博物館) | Co-chief Scientist |
| 三好雅也 | (京都大学) | Core Description_Igneous Petrologist |
| 清水健二 | (海洋研究開発機構) | Igneous Petrologist |
| 松原典孝 | (茨城大学) | Sedimentologist / Volcanologist |
| 石川 晃 | (海洋研究開発機構) | Inorganic Geochemist |
| 大賀正博 | (同志社大学) | Paleomagnetist |
| 安渡敦史 | (東北大学) | Micropaleontologist (foraminifers) |
| 平野直人 | (東北大学) | Structural Geologist |
なお、本航海にはアウトリーチスタッフとして、国立科学博物館の内尾 優子さんが乗船されています。
国立科学博物館のホームページでは、関連イベント情報や内尾さんによるブログも掲載されています。
>>深海底研究最前線 地球をほる? ジョイデス・レゾリューション号の地球を知る旅234
他国から参加する乗船研究者
William W. Sager (Co-chief Scientist), Anthony A. P. Koppers, James (Jim) H.Natland, Andrew R. Greene, John Mahoney, Masako Tominaga, Amber C. Harris, Aleta M. Mitchell-Tapping,
掘削エリア

航海概要
巨大火成岩岩石区(Large Igneous Provinces: LIPs)は、巨大海台や大陸洪水玄武岩の総称であり,大規模なマグマ活動が短時間に起こった結果形成されたものである.LIPsは巨大プルームに起源があると提案されてきた.これはマントル深部から上昇してきたプルームがリソスフェアの下で広がり,大規模なマントル溶融がおきて火成活動が起こるというものである.このメカニズムは広く受け入れられているが,かならずしも全てのLIPs形成を説明できるものではない.むしろ1990年代後半から2000年代前半に掘削された1番目と2番目に巨大なLIPsであるオントンジャワ海台とケルゲレン海台は,互いに全く異なった特徴をもち,共にプルームモデルで説明できない可能性が指摘されている.そのために更なる検証が必要であるが,研究はあまり進んでいない.検証が困難となっている原因の1つとして,巨大海台の多くは形成時の中央海嶺や海洋プレートとの位置関係が明らかになっていないという問題がある.この理由は巨大海台の多くは地磁気の逆転が起きていない中期白亜紀に形成されているため,昔の中央海嶺の位置を示す地磁気の縞模様が得られないからである.
シャツキー海台は、地磁気の逆転が起きていたジュラ紀と白亜紀境界に形成された唯一の巨大海台である.このためテクトニックセッティングがよく分かっている.地磁気の縞模様を基に,シャツキー海台は海嶺の3重会合点のトレースに沿って形成されており、海嶺のテクトニクスと密接に関係していることが分かっている.1990年代には3重会合点付近に上昇してきたプルームに原因があるというモデルが提案されている.しかし一方,3重会合点のある場所にちょうどプリュームが上昇してくる確率は低いこと,ホットスポットの特徴を示さない同位体組成が数少ない火成岩試料から得られていることなどから,2000年代になってからプルームよりもむしろプレート活動に関連した形成メカニズムが示唆されている.このような特徴から,シャツキー海台はLIPsの形成メカニズムとして「プルームモデルとプレートモデルのどちらが重要か」を評価するのに最適の場所である.
本研究では,シャツキー海台の5サイトでそれぞれ基盤岩を100-300m,合計800m掘削・回収する.これにより,シャツキー海台の年代,マグマの起源および進化を検証する.得られた結果から,LIPsがマントルプルームによってできたのか,それともプレート境界における特異な火成活動なのかという疑問を解決できると期待している.この他にも,シャツキー海台の噴火にともなう表層環境への影響を評価すること,古地磁気情報からプレートの動きや火山の構造を明らかにすること,そしてシャツキー海台の噴火とジュラ紀-白亜紀境界イベントとの関係を明らかにすることも研究目的とする.
航海詳細>>USIOのページへ
乗船募集は締め切りました
下記の要領で乗船者の追加募集を行います。
※本航海の詳細な目的などについては、Original full proposalが下記IODP-USIOのページで公開されていますので、そちらをご参照ください。
募集分野
Structural Geologist (igneous rocks)
and/or
Physical Properties Specialist
募集〆切
5/10(但し、適任者の応募があり次第〆切)
航海詳細>>USIOのページへ
Scientific Prospectus>>こちら
応募する>>こちら
その他・注意事項
応募する方は全員英文CV,さらに在学中の場合は指導教員の推薦書が必要となります.
修士課程の大学院生の場合は乗船中の指導者(指導教員もしくは代理となる者)が必要です.
乗船募集は締め切りました
募集概要
この掘削計画は,IODPプロポーザル654-Full2に基づき実施され,北西太平洋のシャツキー海台の年代,起源,および進化を明らかにします.
また,この航海は主に火成岩を対象としますが,それらの研究をサポートするため,一連のIODPミニマムメジャーメントも行います.さらに,この航海の主眼ではありませんが,基盤岩の直上にあるCretaceous(Berriasian)からNeogene(Holocene)の堆積岩(サイトにより年代ギャップあり)も回収する予定です.
※本航海の詳細な目的などについては、Original full proposalが下記IODP-USIOのページで公開されていますので、そちらをご参照ください。
募集分野
本航海は基盤岩である火成岩採取が主目的のため,
・火成岩岩石学者(Igneous Petrologist)
・無機化学者(Inorganic Geochemist)
・火山学者(Volcanologist)
・変質岩岩石学者(Metamorphic Petrologist)
が主な乗船研究員となる.しかし,噴出時に海台上部は浅海に存在または陸地化していた可能性が高いため,噴出物は火山砕屑物として産出する可能性がある.このため火山砕屑物の記載を得意とする
・堆積学者(Sedimentologist)
の乗船も歓迎する.さらに,全てのサイトで基盤岩上位50mの堆積層(ジュラ紀?白亜紀)も採取するため,海台形成以降の古環境(年代・深度)を調査する
・古生物学者(Paleontologist)
も排除しない.
募集締め切り
2009年1月9日
航海詳細>>USIOのページへ
応募する>>こちら
その他・注意事項
応募する方は全員英文CV,さらに在学中の場合は指導教員の推薦書が必要となります.
修士課程の大学院生の場合は乗船中の指導者(指導教員もしくは代理となる者)が必要です.
IODP第324次掘削航海 船上レポート〜北西太平洋より〜
更新: 2009年11月4日
※日付は日本時間
■Exp. 324船上レポートインデックス
船上レポート16>>Episode16:新米同士New!
船上レポート15>>Episode15:スーパーコチーフ_ウィル・セイガーNew!
船上レポート14>>Episode14:熾烈な戦いNew!
船上レポート13>>Episode13:万国グルメの旅 in JOIDES
船上レポート12>>Episode12:トランジット
船上レポート11>>Episode11:干し草とピンセット - 国際交流の話 -
船上レポート10>>Episode10:ひと休み
船上レポート9 >>Episode9:コア記載係(ディスクライバー)の一日
船上レポート8 >>Episode8:古地磁気ラボの研究活動
船上レポート7 >>Episode7:イグニアス・ガイズ
船上レポート6 >>Episode6:ハードロック最長記録?
船上レポート5 >>Episode5:タム山塊掘削
船上レポート4 >>Episode4:Biiiiig Scramble Egg!!!!!
船上レポート3 >>Episode3:初コア採取!船上での誘惑
船上レポート2 >>Episode2:出航、そして...?
船上レポート1 >>Episode1:出航前夜の宴
■USIO Daily & Weekly Science Report (英語)>>こちら
■アウトリーチスタッフブログ「地球をほる?」>>こちら
本航海には、アウトリーチスタッフとして、国立科学博物館の内尾 優子さんが乗船しています。
船上レポート16 11月2日(月)
Episode16:新米同士
佐野貴司(国立科学博物館)
北太平洋に位置するシャツキー海台の掘削が終了した後、半月のトランジットを経て、いよいよ明日寄港地の豪州タウンズビルへ到着というところまできました。
本航海を振り返ると、寝室に居る以外のほとんどの時間はスタッフサイエンティストのヨルグ・ゲルドマッハーと過ごしていました。
私の労働時間(シフト)は午前3時に始まります。自分が寝ていた間に起こった掘削状況等を把握するために慌ただしく情報集めをしていると2-3時間はあっという間に過ぎます。そして6時になると「グッモーニング、ハウズエブリシング?(状況はどう?)」という決まった言葉と共にヨルグがオフィスに現れます。そして一日の仕事が始まります。Daily Reportの執筆、研究者達の状況把握、正午の船上サンプリング、掘削方法の微変更等、大部分の仕事を2人で相談しながら行ってきました。「今回の航海はスタッフサイエンティストとして最初の航海だし、ドイツ人だから、全ての仕事に時間がかかってしまうよ」と言うのが彼の口癖でした。その度に「僕だって日本人だし、コチーフとしての初めての航海だからウィル(米国人コチーフ)の10倍以上時間がかかっているよ」とお互いを励まし合いながら?仕事をこなしてきました。コチーフの仕事は精神的にきつく感じることもありましたが、ヨルグがいつも近くにいてくれたおかげでパニックになることはありませんでした。そして陽気でおしゃべり好きな彼と沢山の会話をしたことで英語が少し上達したような気がします。この素晴らしいスタッフサイエンティストに感謝しながら航海が終了しようとしています。
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
写真 スタッフサイエンティストのヨルグと コチーフオフィスで仲良く記念撮影 (撮影:国立科学博物館・内尾優子) |
船上レポート15 11月1日(日)
Episode15:スーパーコチーフ_ウィル・セイガー
佐野貴司(国立科学博物館)
Expedition 324の掘削は既に2週間前に終了し、北太平洋から豪州までの長距離トランジットも終わりに近づいて来ました。コチーフ(共同首席研究者)の最後の仕事は各研究グループから提出されたサイトレポートを理解し、まとめ(Summary)を書き上げることです。Summaryの半分以上はScientific Prospectus (*)や各サイトレポートの要旨をほぼそのまま使用することができますが、要旨や総合的なまとめに関してはコチーフ自ら執筆しなければなりません。このSummaryは 全研究グループからサイトレポートが提出されてから航海終了までの短時間に完成させる必要があります。本航海では6章24項目にわたるSummaryを2日間で完成させることが要求されました。そこで1人で執筆していては間に合わないので、2人が分担して執筆することになりました。米国人のコチーフであるウィルは最初(要旨)から、私は最終章の最終項目(航海の成果)部分から書き始めることになりました。今回は 様々な種類の堆積物・岩石が得られたので、全体像を把握しながら成果を書くのは大変な作業でした。睡眠時間を削りながら丸1日かけてやっと1項目を書き終え、「やっと1項目を書き終えたよ」とウィルに伝えたところ、「僕も今書き終わったところだ」という回答が帰って来ました。そこで私は「次、僕はどの部分を書こうか?」と質問したところ、「貴司が書いた1項目を除いて全部書き終えたよ」という信じられない回答が帰って来ました。私が1項目を書く間に、ウィルは23項目を書いてしまったのです。
今回の航海では経験豊かな(過去7回ODP・IODP航海に参加し、今回は3回目のコチーフ)ウィル・セイガーに運航計画、掘削のノウハウ、研究者の取りまとめ方、個人サンプリングの調整、等々、あらゆることを教えてもらいました。それだけでなく報告書の大部分(>95%)を書いてもらうという結果になりました。「ウィルのようなスーパーコチーフにはなれないだろうけど、彼を目指して成長していこう」と思いながら航海が終ろうとしています。
*航海を行う前に共同首席研究者が中心となって執筆する航海としての科学計画。各航海のScientific ProspectusはIODPのホームページで公開されている。
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
写真 ジョイデス・レゾリューション号とウィル・セイガー (横浜・大黒ふ頭にて) |
船上レポート14 10月31日(土)
Episode14:熾烈な戦い
松原典孝(茨城大学)
今回は熾烈なる3つの戦いをレポート致します。と言っても感情的なケンカではありません。
<戦いその1.パーソナルサンプリング>
航海も終わりに近づいたこの時期、個人研究のためにいかに必要なサンプルを確保できるかが重要になります。サンプリング時には、欲しい箇所に自分のコードが印字されたシールを貼っていくのですが、重要なサンプルだとこの通り(写真1)。ちなみに私の研究対象である水中火山砕屑岩類は人気があまりないのでほとんどかぶりません。それでもたまに私が欲しい箇所の近くにほかの方のリクエストシールが貼られたりします。緊張の一瞬!!で、ドキドキしながら欲しい部分を説明すると「ああ、この部分はいらないよ」と(嬉しいような悲しいような・・・)。
<戦いその2.Tシャツデザイン>
以前お伝えしたTシャツデザインですが、残念ながら私のデザインは落選してしまいました。当選したのはジュラシックパークのイメージを活用したデザイン。とてもかっこいいデザインです!(写真2)航海の記念にこれ以上のものはありません。ちなみに、私のデザインも気に入ってくれた方が多数いてくれたのは嬉しかったです(みなさん個人的にプリントしたい!とおっしゃってデータを貰ってくれました)。
< 戦いその3.ゲーム(Connect4)>
航海のまとめに忙殺されるこの時期ですが、息抜きも当然必要です。ということで、イギリスから参加しているケイトさん(堆積学者)と勝負!このゲームはConnect4というものだそうで、同じ色のコインを4つ直線で並べた人が勝ちになります。私を皮切りに連続5人が勝負を挑み、全員返り討ちにあいました…。(写真3:内尾さんが勝負を挑んでいます。ケイトさんは余裕の表情)
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
写真1 サンプルリクエストシールが集中した石灰質軟泥 |
写真2 採用されたTシャツデザイン |
写真3 (アウトリーチスタッフとして乗船している)内尾さんが勝負を挑んでいます. ケイトさんは余裕の表情. |
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船上レポート13 10月27日(火)
Episode13:万国グルメの旅 in JOIDES
平野直人(東北大学)
写真1をご覧下さい、なんとたくさんの種類のソースでしょうか!!
これは船内食堂(メスルーム)の、ある一角の風景です。このたった数十センチ幅程度のスペースには世界のグルメが詰まっています。僕は乗船してまず、このソースの種類の多さに驚きました(ワクワクしました)。ジョイデスの食堂では、様々な料理とソースで世界諸国を旅した気分に浸ることが出来てしまいます。#324航海は残りわずかになってきましたが、今日はこれまで2ヶ月間毎日三食、お世話になったソースたちの代表例をご紹介します。
やはりまずは米国のスタンダード。日本でもお馴染みですが、フライドポテト(フレンチフライ)やソーセージ、かりかりベーコンには「ケチャップ」と「マスタード(洋辛子)」ですね。もちろん粒マスタードもありますよ。そして、なんといっても米国料理の代表格・ビーフステーキには「ステーキソース」。お馴染みです。この2ヶ月間、やはりこれらの使用頻度が一番高かったでしょうか。
ビュッフェスタイルの食堂では米国料理以外にも、様々なお国の料理が選べます。野菜炒めとヌードルを組み合わせた焼きそばのような料理や、写真2のようなオレンジチキン(米国風中華)や春巻き、チャーハンなどの中華も出ます。そんな料理には「チリペッパー」や「チリソース」、「シュリンプペースト」(写真3)がピッタリです。とくに僕は「シュリンプペースト(写真左)」にハマりました。辛いだけじゃなくて、さわやかな香辛料と海老の風味が抜群で食欲が進みます。一緒に乗船している中国からの研究者、いつもニコニコ、三忠(Sanzhong)さんもお勧めです。
続いて東南アジアに飛びましょう。鶏ガラと野菜(ネギ、タマネギなど)を煮込み、若干酸味のきいたアジアンスープがあります。僕はこれにレモンを搾り、更に「ナンプラー(フィッシュソース・魚醤)」を垂らします。するとアンコールワットもびっくり!エキゾチックな東南アジアの世界が口一杯に広がります。
再び北米大陸に戻りましょう。写真4はどこのお国の料理か分かりますか?とうもろこしから作った生地で挽肉とチーズ・タマネギなどを巻いてあります。そう、メキシコ料理、エンチラーダです。このような料理が出るときは決まってカウンターにトマト、タマネギ、そして極めつけのハラペーニョ、それぞれの各みじん切りが並んでいて、新鮮なサルサソースを自分で作ることも出来ます。なんとまぁ、気の利いたビュッフェでしょうか。このエンチラーダの上にクリームチーズをボテっとたっぷりのせて、極めつけの「タコソース」!!(写真4:エンチラーダにかかっている赤茶色いソース)これでもうあなたの口の中では果てしなく陽気なメキシカンダンスです。
僕は昔メキシコとの国境に近いカリフォルニアのサンディエゴに住んでいたことがありますが、街はタコスやエンチラーダで溢れていました。時には国境を越えて食べに行ったこともあります。当時の記憶と南国の陽気な雰囲気、ハラペーニョの辛さが体中によみがえります。
お疲れ様でした、ここで万国グルメの旅は終了です。落ち着いたところで、やはり僕にとって決定打は「醤油(ソイソース)」。食堂には醤油はもちろん、わさびもありますよ。なんだかんだ言ってもこれは日本人の心のオアシスなのでしょうね。この船には様々なお国の乗船者が居ますが、食堂のこのソースの棚には、みなさんの心のオアシスがあるのだと思います。そして、乗船者皆さんそれぞれの2ヶ月間、これらソースでさぞかし癒されたことでしょう。
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
写真1 世界のグルメスペース |
写真2 オレンジチキン(米国風)や、春巻き チャーハンなどの中華には… |
写真3 チリペッパーやチリソース,シュリンプペースト 中華料理にピッタリ! |
写真4 メキシコ料理:エンチラーダと、 極めつけのタコソース |
船上レポート12 10月23日(金)
Episode12:トランジット
松原典孝(茨城大学)
最後のサイトでの掘削が終わり、現在私たちはオーストラリアに向け航行中です。それぞれのチームは記載の完了、レポートの完成に向け大忙しな日々が続いています(写真1)。
航海も残すところ僅かとなったこの時期、船上ではとても大切な会議が開かれています。個人研究のためのサンプリングミーティングです。この会議で、それぞれの研究目的、利用できる研究設備等からそれぞれの役割、持ち帰れるサンプルが決まっていきます。それぞれにやりたいこと、思惑がありますので、会議が難航することもしばしば。緊張する毎日が続きます(写真2)。
航海が終わりに近づいたこの時期、船上ではもう一つ大切なイベントがあります。それは・・・航海記念Tシャツを作ること(写真3)!デザインは乗船者が作成・応募し、それを乗船者が投票して決めます。過去の航海でもそれぞれの航海にちなんだ個性的なデザインが選ばれています (写真4) 。航海の記念にこれ以上のものはありませんね。ちなみに私も応募します!
船上ではいくつかのグッズを買うことができます。マグカップやTシャツ、フリース等々。私はフリースを購入し愛用しております(写真5)。
では最後にスイーツ情報。私はアップルパイが大好きなのですが、船上でもとてもおいしい手作りアップルパイを食べることができます。シャキシャキのざく切りりんごがたくさん入った甘酸っぱいアップルパイは疲れた頭に最適です(写真6)!
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
船上レポート11 10月20日(火)
Episode11:干し草とピンセット − 国際交流の話
安渡敦史(東北大学)
これを書いているのは10月19日,最後のサイトで基盤岩の掘削が終わり,ロギング(孔内検層)・タイムです.航海前には,微古生物学担当の私は出番が少ないと思っていましたが,予想に比べて何倍も忙しかったように思います.この最後のSite U1350では堆積物はチャートのみ,有孔虫は無産出ということで,さすがに早々に終了モードでした(レポートの山は別として).が,油断していたら,最後のコア2つには枕状溶岩の間にまたもや遠洋性の堆積物が何ヶ所も挟まってきました.そして案の定,佐野さんからいつもの一言が.「有孔虫,出ませんか?」はい,またとりあえずやってみます!
今回は,航海の楽しみの一つでもある国際交流について,印象に残ったエピソードを書いてみたいと思います.自分の出番は最後かも知れませんので,長文ですが御勘弁下さい.
(その1)海外の人達の間でしばしば話題になるのは,“全く意味の通じない変な日本語英語”です.例えば,日本語にはスキンシップという言葉があるよ,と教えてあげると,目を真ん丸にして驚かれます.しかし,たまに出くわすのが,英語で通用すると思っていたのに通じないカタカナ言葉です.例えばアシスタント・ラボ・オフィサーのゼノン(Zenon)さんに,「ペンチ持ってますか…ん?ニッパー…?」通じません.ゼスチャーを見てゼノンさんが,“Oh, pliers?”,とこんな具合です.
ある日の個人サンプリングの時,キュレイターのチャド(Chad)に聞きました.「ピンセットありますか?」しかし,“Pen?Pencil?”…全く通じません.自分で探して持ってきたピンセットを見てチャドが一言,“Tweezers!”これは意外でした.しかしさらに驚いたのは,この話をスタッフサイエンティストでドイツ人のヨルグ(Joerg)にした時で,彼もまた意外そうな顔をして言いました.“ドイツではpincetと言う”んだそうです!皆に話したところ,医療関係の言葉でドイツからきたのでは,という説が出ました.それでは,とまたヨルグに聞いてみました.「日本では胸部X線をレントゲン写真と言うよ.」彼もまた“ドイツでもレントゲンだよ…私も日本人だね!”何だか嬉しかったですね.(辞書では,pincetの語源はオランダ語だそうです.)
(その2)ロードアイランド大学のアンバー(Amber)はいつも陽気で,小さい日本語練習帳を持ってきては,「あいうえお」を覚えようとしたりしているので,色々と会話が弾みます.ある日アンバーに,「放散虫の海の中から数少ない有孔虫を探しているから大変」という話をしました.するとアンバーは,“そういう時は,英語ではlooking for a needle in a haystackと言うよ”と教えてくれました.でも,最後のヘイスタ…は何なのかちっとも分かりません.そうしたら,アンバーは親切にも絵を描いて教えてくれました(写真1・2).この何とも愛嬌のある絵はずっと自分の目の前に貼ってあり,航海中のささやかな国際交流の記念として取っておくつもりです.でも,誰がどうして干し草の山の中に針を入れたのかを聞いても(犯罪的?),それは知らないそうです.
(その3)話は全く変わりますが,自分は真夜中シフト(深夜0時〜昼12時)で,まだ一度もまともに夕日を見たことがありません!しかし,日の出はまた何とも美しいもので,天気が良い日は必ずデッキに上って見に行きます.航海の途中からは,朝誰ともなくデッキに集まるようになり,またある時には“今日の日の出はとっても綺麗になりそうだよ!”と誰かが呼びに来てくれる場合もあります.それで,皆思い思いに写真を撮ったりしています.こういう時に,あぁ航海っていいもんだなぁ,と思います(写真3・4).自分も家族にいい写真を撮って見せたいとか思い,毎回数え切れないくらいシャッターを押しています.
これからJR号に乗る人達も,360°海の景色で朝日・夕日を満喫されることと思います.しかし,私が朝日・夕日にもまして素晴らしいと思ったのは,晴天時の月夜の真夜中,月の光が真っ暗な海にキラキラ反射している様です.これは綺麗ですよ!でも暗いし船が揺れるので,写真に撮れないんですねぇ.そして一月に一度,満月の出と満月の入りが拝めます(写真5).でも水平線から雲が消え去ることは滅多にありません.次の方々の中で写真のプロ級の人がいたら,是非チャレンジしてJ-DESCのウェブ日記で紹介して下さい.
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
『干し草の山(=haystack→放散虫radiolarian)から 針(=needle→有孔虫foram)を探す』の図. |
アンバーから一言. “I’m happy to show my professional drawing of a nice cow!” |
| 10月12日の鮮やかな日の出. | 10月5日の早朝, 朝日を見に集まったサイエンティスト達. |
| 10月5日の早朝,西方に沈んでいく満月. | |
船上レポート10 10月13日(月)
Episode10:ひと休み
大賀正博(同志社大学)
10月13日
船の上では1日12時間、土日などの休日なしで働くわけですが、12時間ずっと働き続けているわけではありません。休憩も必要です。今回は休憩時間の1コマを紹介します。
なんと!いつも「焼きそば食べたい,焼きそば食べたい」といっている冨永さん(米国・ウッズホール海洋研究所)に松原さん(茨城大学)からプレゼントが!!
カップ焼きそばです!
「一人で食べるのはもったいないからみんなで食べよう」という冨永さんの提案で4人が集められて(捕まって?)一緒に食べることになりました(写真)。久しぶりに日本人同士で味わう日本食は絶品であり、研究の疲れも吹き飛んだ気がしました。このように休憩時間に食べ物で盛り上がることが多いのが本航海の特徴です。
冨永さんは私と同じ古地磁気の専門家であり、現在は船上で私の研究指導をしてくれています。海外の研究者達と盛んに議論を行っている彼女の研究スタイルからは学ぶことが多く、今後の私の研究人生の大いに参考になります。それだけではありません。 海外で生き残っていくには冨永さんの様に何でも食べる、たくさん食べる、ということが大切だということも分かりました。
このことを気づかせてくれた松原さんありがとう!そして冨永さん、様々なご指導ありがとうございます。ついていけるところまでついていきます。
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
写真1 カップ焼きそばをみんなで食べている様子. 左から順番に、 首席研究者の佐野さん(国立科学博物館), 三好さん(京都大学), 冨永さん(米国・ウッズホール海洋研究所) |
船上レポート9 10月9日(金)
Episode9:コア記載係(ディスクライバー)の一日
平野直人(東北大学)
10月9日
コアの記載・・・。掘削されたコアはおそらく多くの人々にとって、ただの「棒」にしか見えませんが、岩石好きから見れば何kmの深海底からの、しかもそこから更に何百メートルもの掘削で上がってきた、未だかつて誰も手にしたことのない、とても貴重な岩石です。なぜなら何千万年〜1億数千万年以上もの間、地球が刻んできた記録が残されているのですから。つまり、コア記載係(ディスクライバー)は、まさに1億数千万年の眠りからその記憶を目覚めさせる重要な役割を担っているのです。
さて、そんなありがたいコアをじっくり観察、記録する日々は続いています。しかも様々な種類の岩石が上がってくるわけですから、一言で記載と言っても物性記載、堆積岩記載、火山岩記載、変質度記載、構造解析記載と、それぞれ専門の研究者が己の最大限の力量を発揮して記載を行います。その眼は真剣そのものです。その真剣さが一日中継続し、しかもコアは次々と上がってくるので、体力・気力も必要とされます。
写真は、記載台の前にずらりと並べられたコアです。記載者は一日中この前に立ち、常にコアと真剣に向き合っています。知られざる地球の、その姿が現れる明日を信じて・・・
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
写真1 記載台の前にズラリと並べられたコア |
船上レポート8 10月8日(木)
Episode8:古地磁気ラボの研究活動
冨永雅子(米国・ウッズホール海洋研究所)
10月8日
皆様こんばんは。今回、アメリカからの乗船者として古地磁気ラボで研究活動を行っている冨永雅子と申します。今回乗船中の古地磁気研究者の5人を簡単に紹介します。16年越しにシャツキー海台掘削のプロジェクト(夢)が叶った共同首席研究者のウィル・セイガー(生粋のアメリカ人、写真1)、赤毛の素敵なロギング担当のヘレン・エヴァンズ(アメリカから参加、でもウェールズ人、写真2)、自転車大好きなパリジェンヌのクレア・カバッロ(フランス)、いつも椅子の上で三角座りの大賀正博君(日本から参加、同志社大学)と,私(アメリカから参加、でも日本人)。後者3人(写真3)が、船上のラボの研究から参加するスターティングメンバーで、あとの二人は、船上では異なる義務を負っているので、下船後に共同研究に参加します。
古地磁気ラボでは、主に、シャツキー海台で採取された岩石に記憶された地球の磁場の方向、すなわち太古の昔のコンパスの針の方向を様々な方法で測定しています。この情報は、いつどこでシャツキー海台が形成されたかということを知るための重要な手がかりになります。私たちは、このラボで、毎日24時間を3人で切り盛りして研究活動を行っています。といっても、8時間交代ではなく、12時間シフトで、クレアに1人で昼12時〜夜12時に頑張ってもらって、夜12時〜昼12時に私と大賀君の二人が作業をしています。これまでの調査航海での古地磁気ラボでは、大抵一人で作業をしていたので、チームメイトを得たこのクルーズは私にとってとても新鮮です。
私自身は、今回含め過去4回の掘削航海参加で、(欧米式)研究航海における研究者の心得を学んできました.そこで、今回初参加の大賀君にこの研究航海を伸び伸びと楽しんでもらうために何を伝えていったらいいのだろうかと、乗船前に考えました。私が学生の時分に参加した研究航海から学んだ事で、恐らく認識しておくべき一番大切なことは、「サイエンスパーティ(乗船研究者)のメンバーはみんな、生徒も教授も関係なく、平等に意見を言うことができる」という姿勢です。これは日本の大学院の教育方針や研究作業分担などの伝統とは少し異なる点かもしれません。もちろん、世界中から集まるシニアサイエンティスト(先輩研究者)から学ぶところは多く、貪欲に学ぶべきですが、それと同時に、自分から意見を提案するのを躊躇してはもったいない環境だと常々思いました。これだけ近い距離に、様々なサイエンスのバックグラウンド(と、文化、言語)を持ったプロの方々がいて、十分に議論出来る機会はそうそうあるものではありません。私自身、航海の度にシニアサイエンティストと接しては、育てていただいた思い出があります。そういうわけで、私が研究初日にクレアと共に大賀君に伝えた事は、クレアも私も大賀君も同等なのだから、違うと思った事は違うと意見して欲しいし、遠慮せず積極的に自分がこうだと思うサイエンスを提案して欲しい、ということでした。
緊張が残る一週目が過ぎ、、、、
2週目からは、大賀君は装置の調整、測定の段取り、トラブルシューティングに遺憾なく力を発揮しています。また、大賀君が研究内容についてとてもよく考え、素直に意見を言ってくれる度に私は毎回感心してしまいます。プレゼンテーション(英語)や、日々のコミュニケーション(英語)も、この短期間で見違えるほど成長しています。私は普段、marine geophysics(地球の表面がどのように形成され発達していくのかを、色々な物理データを用いて、海という窓からそれを覗く学問)が専門ですので、あまり古地磁気の研究のみを深く行ってはいません。ですから、細かい知識が足りなかったり、曖昧な部分があったりで、古地磁気の解析をきっちり遂行するには、いつも分厚い本と数々の論文と格闘しなければならないのですが、大賀君の知識は、本人が自分で「古地磁気おたく」と 言うぐらい、とてもしっかりしているので、あれを読んだらいいかもしれない、こう考えるといいかもしれない、と毎日アドバイスが飛んできます(大賀君ごめんなさい、あまり頼りにならなくて)。さらに、きちんと文献を調べ、読んで理解し評価する、というサイエンスの基礎が出来ていますので、解釈一つに関しても、悶々と次のシフトにやって来るクレアを待たずにリアルタイムで議論出来るのは大変愉しい事です。
大賀君の貢献は、シャツキー海台についての古地磁気ラボの運営およびサイエンスのみにとどまりません。食欲に歯止めが掛らない私に毎日様々な警告(?)を出してくれます。私が「お腹がすいた」といちいち言いすぎることとか、シュークリームを食べ過ぎだとか、朝ご飯からパスタ食べましたよね、などです。頼りがいのある大賀君とチームを組んでいる限り、研究も進み、かつ、そこまでは太らずに帰港出来そうです。航海も半ばを過ぎましたが、残りの日々も愉しく仕事をしていきましょう、ありがとう大賀君!
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
写真1 コアの高回収率に喜ぶウィル・セイガー 撮影:松原典孝・茨城大学 |
写真2 ロギングスタッフサイエンティストとして参加の ヘレン・エヴァンス 撮影:内尾優子・国立科学博物館 |
写真3 大賀君(左)と私(右). 真ん中の写真人物はクレア(撮影時はオフシフトであったため、写真参加) |
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船上レポート7 10月7日(水)
Episode7:イグニアス・ガイズ
清水健二(海洋研究開発機構)
10月7日
私は火山岩記載のグループ「イグニアス・ガイズ」に属しています。このグループは昼、夜のシフト併せて7人から構成されており、24時間態勢で掘削された火山岩の記載をしています。7人もいると様々な視点で岩石を見ることができるので取りこぼしなく記載を行えるのはとてもいいのですが、解釈など意見が違うと時間を忘れて白熱した議論が行われることもしばしばです。初めはその議論になかなか加われなかったのですが、拙い英語でも熱意を持って話せばちゃんと聞いてくれるので、少しずつですが、主張もできるようになりました。上がってきたコアを次から次へと記載して、岩石薄片を観て、サイトレポートを書くという、なかなか終わりの見えないハードな日々ですが、一番始めにコアの詳細な観察ができ、新しい発見が多いのもこのグループからなのでとてもやりがいがあります。
休日なしで毎日忙しく、へとへとになるのでシフトの後の息抜きもとても大切です。私の場合は食堂で長話をしたり、ジムで体を動かし汗を流したり、家族にメールをしたり束の間のオフの時間を有意義に使って明日への活力にしています。
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写真1 コアの前で夜12時に引き継ぎのミーティングをする イグニアス・ガイズ 撮影:内尾優子・国立科学博物館 |
写真2 船内にあるジム |
船上レポート6 10月4日(日)
Episode6:ハードロック最長記録?
佐野貴司(国立科学博物館)
10月5日
現在、本航海3地点目での掘削が始まったところです(図1)。1つ前の2地点目では、 基盤岩の掘削としては珍しく60%を超える高回収率が得られました。深く掘れば掘るほど回収率があがり、基盤岩深度120m付近では回収率109%を達成しました (写真1)。これに喜んだスタッフ・サイエンティストのJoergはアメリカの同僚スタッフ・サイエンティスト達に向けて以下のメッセージを発信しました。
「みなさん、 321航海 ではKusaliが、323航海ではCarlosが各航海で達成した掘削記録を自慢していたね。そこで僕も自慢するぞ。今日、ハードロック(基盤岩)掘削では、世界最長記録となるであろう、109%という高回収率を達成したよ。どうだ、すごいだろう。」
しかし間もなく、ある大人物から一言、以下のメッセージが帰ってきました。
「Mine is longer than yours, young man!(俺はもっと長い記録を知っているよ、まだまだお前は若い!)」
USIOスタッフ は常に情報交換をして仲良く仕事をやっているなと感じる出来事でした。
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図1 シャツキー海台と掘削地点. |
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写真1 最長コアを見て喜ぶJoerg(手前). 奥で仕事をしているのはキュレーターのChad. 撮影:内尾優子・国立科学博物館 |
写真2 コアを持って記念撮影. 右はAnthony(オレゴン州立大学) 撮影:藤根和穂・USIO-TAMU |
船上レポート5 10月3日(土)
Episode5:タム山塊掘削
石川 晃(海洋研究開発機構)
10月2日
JR号は本航2地点目の掘削作業を終え、3地点目のサイトを目指し北上しています。当初は回航にかかる時間を最小限にするため、海台北側のシルショフ山塊から南方へ順々に火山活動時期を遡って5地点を掘削する予定でしたが、“スーパータイフーン・チョイワン”(台風14号:図1)の接近に伴う強風と荒波回避のため、海台南端のタム山塊での掘削が前倒しになりました。
本航で最重要とされているタム山塊の掘削では、固い基盤岩を長く深く回収したいという我々“火成岩野郎”の欲求を満たすべく、摩耗したドリルビットを交換する作業が元々タイムテーブルに組まれていました。水深3600mの深海底に空いた直径40cm程度の穴にドリルビットを戻すにはどんな最新技術が必要なのかと思いきや、パイプに這わせて深海に下ろしたカメラからの画像とビーコンで穴の位置を確認しながら、船をコントロールしつつタイミングよくビットを下ろすという、信じられないような職人技が披露されたのでした(写真1)。
現在、この大成功によって手にした海底下300mの試料は、ICP-AES(堆積物サンプルに含まれる元素を分析する装置)による化学分析作業がなされている真っ最中です。どんなデータが得られるかは我々地球化学グループだけでなく、乗船研究者全員の共通した興味なので、今日は地球化学研究室への訪問者も多く賑やかな一日でした。
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図1 「ジョイデス・レゾリューション」と「ちきゅう」を同時に襲った スーパータイフーン・チョイワン (ロギングスタッフサイエンティスト・Gerryさん提供) |
写真1 船内モニターに映し出された フリー・フォール・ファネルとパイプの映像 (撮影:清水健二・JAMSTEC) |
船上レポート4 10月3日(土)
Episode4:Biiiiig Scramble Egg!!!!!
三好雅也(京都大学)
10月3日
早いもので船上研究生活が始まってそろそろ一ヶ月が経とうとしています。船の生活にも随分慣れてきました。ここでの僕の一番の楽しみは、食事です。厨房ではフィリピン人スタッフが毎日とってもおいしい料理を作ってくれます。肉、魚、スープなどいろんな料理が楽しめますが、朝5時〜7時の朝食の時間帯に限って卵料理を食べることができます。とにかく卵料理が好きな僕は、この時間帯が楽しみで仕方ありません。
目玉焼き、チーズオムレツなど、注文すればいろんなタイプの卵料理を作ってくれますが、中でも僕の一番のお気に入りはスクランブル・エッグです。最初のうちは、大好きなスクランブル・エッグが食べられるだけで十分幸せだったのですが、いつの頃からか「もっとたくさん食べたいなぁ」と欲が出るようになりました。そしてある日、とうとう我慢できず僕は「ビーーッグ・スクランブル・エッグ!!!プリーズ!!」と注文してみました。すると、なんと通常より3倍くらい大きいスクランブル・エッグが出てきました(写真)。さすがに今度こそ文句のつけようなく大満足です。今ではもう、食堂(Galley)に行って厨房のおじさんと目が合うだけで、巨大スクランブル・エッグを作ってもらえるようになりました。
「何個たまごを食べても健康には問題ないんや」という板東英二さんの言葉を信じて、この巨大スクランブル・エッグを糧に残り約一ヶ月間の船上研究生活を頑張ろうと思います。
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| Biiiiig Scramble Egg!!!!! |
船上レポート3 9月20日(日)
Episode3:初コア採取!船上での誘惑
松原典孝(茨城大学)
9月18日
本航海最初のサイトでの掘削&ロギングは本日無事完了しました.当初硬い堆積岩(チャート等)に阻まれ難航していた掘削も基盤の玄武岩に達してからは順調に掘り進むことができ,結果16本のコアを得ることができました(海底面から約190m掘りました!写真1、2).いくつかの興味深いデータも得られました!
コアが上がるとそれぞれの仕事が始まるのですが,その中でも特に賑やかになるのがサンプリングミーティングです.ここで薄片や化学分析等のリクエストを出します.それぞれチームごとに欲しい箇所がある訳で,被ったりすると….目つきの変わった研究者たちがコアを中心に議論する様はなかなかの迫力ですね(写真3).
船上では,必ず守らなければならないことがいくつかあります.その一つがお酒を飲まないこと!え〜お酒飲めないの!?と思ったあなた!大丈夫です.アルコールが無くても酔っ払いを体験できるのです.海が荒れて船が揺れる日はあっちにフラフラこっちにフラフラ,まるで泥酔したおじさんのよう!棚の引き出しが突然飛び出したりPCモニターががたがた言ったり,船も一緒に酔っ払ってくれます.顕微鏡のカメラまで酔っ払いおじさんになってしまうのには閉口しますが・・・.ピント合わせは揺れを読んで一瞬のタイミング勝負!です.
最後に一つ耳寄り情報.JR号の食事はとても豪華でおいしいのですが,侮れないのが手作りスイーツです.種類も豊富で毎日食べたくなるおいしさ.くれぐれも食べすぎには注意しないといけませんね(写真4).
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船上レポート2 9月18日(金)
Episode2:出航、そして...?
安渡敦史(東北大学)
9月10日
横浜を9月9日の午前に予定通り出港したJR号。初めて洋上で迎えた翌朝、日本のはるか沖を航行中と思いきや、朝日の昇る快晴の東方にはまだ房総半島が目の前に…
実は横浜に停泊中からインターネットに不具合がありましたが、それは港での衛星回線の規制によるとか聞いていました。しかし出港した後もトラブルは直らず、初日の夜JR号は急遽日本のすぐ近海まで引き返すことになりました。そして、翌早朝に専門家を小船で派遣してもらい、衛星回線を修復してもらうという珍しい事態に遭遇しました。
これを書いている9月19日は、ちょうど最初のサイトが掘り終わった所で、大した遅れはないようです。今回は基盤の固い玄武岩を掘り抜くのがメインの“ハードロック”航海で、よく“イグニアス・ガイズ”(火成岩野郎、でしょうか)とか呼ばれる人達がひしめいています。顕微鏡スペースでは、一人微古生物学担当の自分の周りで、全く違う熱気を帯びた世界が展開されています。
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写真1 出航の翌朝やってきた小船。 2人のうち左は首席研究者のWill Sager. 常に落ち着いた佇まいの人ですが、内心は 焦っていたでしょうか? |
写真2 修復を終えた衛星回線の専門家(青い服の人)が、 ちょうど船を乗り移って帰るところ. |
船上レポート1 9月16日(水)
Episode1:出航前夜の宴
大賀正博(同志社大学)
IODP第323次研究航海(ベーリング海掘削)が終わったジョイデス・レゾリューション号(JR号)は9月4日に横浜大黒ふ頭に到着しました。JR号が停泊していたのは横浜ベイブリッジのすぐ脇でした(写真1)。IODP第324次研究航海に参加する研究者は9月5日に乗船し、出航の9月9日までの5日間、船内で様々なトレーニングを行い、航海に備えました。毎夜、研究者達は横浜市内へ食事にでかけ、交流を深めました(写真2~3)。
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写真1 ジョイデス・レゾリューション号(JR号)と 横浜ベイブリッジのツーショット. IODPスタッフ:イメージングスペシャリストの ジョン・ベックさんが撮影. |
写真2 出航前夜に横浜市街で買い物をする研究者達. |
写真3 出航前最後の宴1.皆で乾杯! |
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