Expedition 320, 321: Pacific Equatorial Age Transect (PEAT)
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- プレスリリース
- 船上レポート320
- 船上レポート321
テーマ
赤道太平洋年代トランセクト
Scientific Prospectus>>こちら
Scientific Prospectus Addendum>>こちら
Preliminary Report>>こちら(7/10公開)
航海期間
2009年3月5日〜5月5日 (PEAT1)>>船上レポート(3/11更新開始)
2009年5月5日〜7月5日 (PEAT2/Juan de Fuca)>>船上レポート
掘削船
JOIDES Resolution(USIO)
乗船研究者
日本からの乗船者
Exp. 320
| 西 弘嗣 | (北海道大学) | Co-chief Scientist |
| 沢田 健 | (北海道大学) | Inorganic Geochemist |
| 山本裕二 | (高知大学) | Paleomagnetist |
| 高田裕行 | (島根大学) | Paleontologist (Foraminifer-Benthic) |
| 上栗伸一 | (北海道大学) | Paleontologist (Radiolaria) |
黒田潤一郎 |
(JAMSTEC) | Sedimentologist |
| 中村英人 | (北海道大学) | Sedimentologist |
Exp. 321
| 木元克典 | (海洋研究開発機構) | Inorganic Geochemist |
| 山本真也 | (北海道大学低温科学研究所) | Organic Geochemist |
| 山崎俊嗣 | (産業技術総合研究所) | Paleomagnetist |
| 林 広樹 | (島根大学) | Paleontologist (Foraminifer-Planktonic) |
| 大金 薫 | (東北大学) | Paleontologist (Radiolaria) |
| 飯島耕一 | (海洋研究開発機構) | Physical Properties/Downhole Tools Specialist |
| 伊藤 孝 | (茨城大学) | Sedimentologist |
| 長谷川 精 | (北海道大学) | Sedimentologist |
| 辻本 彰 | (大阪市立大学) | Sedimentologist |
他国からの乗船者
Exp. 320
Heiko Palike (Co-chief Scientist), Kusali Gamage (Expedition Project Manager), Helen Evans (Logging Staff Scientist), Margaret Delaney, Nikolaus Gussone, Zhifei Liu, William Sager, Kirsty Edgar, Lizette Leon-Rodriguez, Paul Bown, Tom Dunkley Jones, Theodore Moore, Jr., Cecily Chun, Peter Fitch, Andrea Erhardtk, Kiseong Hyeong, Sarah-Jane Jackett, Rebecca Robinson, Paul A. Wilson, Carl Richter, Thomas Westerhold
Exp. 321
Mitchell W. Lyle (Co-chief Scientist), Isabella Raffi (Co-chief Scientist), Carlos Alvarez-Zarikian (Expedition Project Manager), Alberto Malinverno (Logging Staff Scientist), Alberto Malinverno, Laura Cleaveland, Jan Backman, Ann Holbourn, Oscar Romero, Leah Schneider, Bridget Wade, William Busch, Laurent Dezileau, Steven Hovan, Appy Sluijs, Jun Tian, Roy Wilkens
掘削エリア
掘削エリア |
掘削地点 |
航海概要
赤道太平洋の東側では栄養塩に富む深層水が湧昇しているため、表層での基礎生産性が高く生物源粒子の堆積が盛んである。この赤道太平洋湧昇域での基礎生産は新生代を通してどのように変化し、始新世-漸新世境界のような環境イベントの時にはどうなっていたのだろうか?太平洋プレートは新生代の間、ずっと北上を続けているため、赤道付近で堆積した生物源粒子に富む堆積物はプレートの移動とともにゆっくりと赤道から遠ざかる。プレートの北上に伴って赤道から離れると堆積速度が急激に低下するため、古い時代の層でもそれほど深く埋没せず、深海掘削により回収することが可能である。過去のODP航海では昔の赤道に直交するトランセクトで掘削がおこなわれ、赤道を挟んで堆積物の堆積パターンがどう変化しているかが議論されてきた。これに対し本掘削計画では、昔の赤道に沿う「年代トランセクト」を切るようなコア回収を狙う。つまり、新生代の古環境学的に重要な時代(始新世の寒冷化、始新世-漸新世境界、漸新世-中新世境界など)の赤道堆積物の回収を目指している。
本航海では、始新世から中新世で保存の良い炭酸塩化石が得られる堆積物をターゲットとしている。得られたコアから、以下のような研究の進展が期待される。
(1)地質時代における赤道太平洋の基礎生産がどのように時間変化したかを理解する
(2)新生代の起動要素年代スケールを再評価し発展させる
(3)表層水温と底層水温、栄養塩プロファイルと栄養塩濃度勾配を見積もる
(4)炭酸塩の溶解や炭酸塩補償深度(CCD)の変動について重要な知見を得る
(5)赤道における生層序と古地磁気層序の理解を深める
(6)気候イベント時の急激な生物の進化とターンオーバーに関する情報を得る
(7)水塊構造が深度、時間の関数としてどう変化したかを知る(深度トランセクトを切る掘削も計画)
(8)堆積物と地震波層序との対比から赤道域における海洋循環と堆積作用の詳細なモデルを構築する
(9)南北方向のハイドログラフィックな勾配を知る
※航海概要はIFREE/JAMSTEC 黒田潤一郎氏がIODPのウェブページに掲載されている内容をもとに一部解説を加えるなど,意訳・再構成しています.
Exp. 320, 321航海詳細>>USIOのページへ
IODP第320次掘削航海 船上レポート〜赤道太平洋東部より〜
■Exp. 320船上レポートインデックス
船上レポート19 >>ホノルル到着
船上レポート18 >>最後の洋上の夕陽とイルカショー
船上レポート17 >>ブリッジ見学
船上レポート16 >>ジンベイザメ(Whale shark)登場
船上レポート15 >>Last core on deck
船上レポート14 >>ラボテク(マリン・ラボ・スペシャリスト):クロさん
船上レポート13 >>第5掘削地点コア回収中&迷い込んだ小鳥
船上レポート12 >>第4掘削地点作業終了間近&船内流行
船上レポート11 >>船上研究は24時間体制
船上レポート10 >>サイトPEAT2C(Site U1332)掘削開始
船上レポート9 >>避難訓練
船上レポート8 >>本航海&新JR号初コア採取!
船上レポート7 >>最初の掘削地点に到着!堆積学者の役割&船内生活
船上レポート6 >>微化石実験室の様子
船上レポート5 >>JR号研究室の配置・構成
船上レポート4 >>JR号船内・船外コミュニケーション
船上レポート3 >>Birthday Party
船上レポート2 >>最初の掘削地点へ - 古地磁気研究者の役割とは-
船上レポート1 >>いよいよ出航!!
船上レポート0 >>出航直前!
■Expedition 320 Ship Reports(英語)>>こちら
ホノルル到着
黒田潤一郎(海洋研究開発機構)
5月4日朝、ホノルルに到着しました。ホノルル市街地とダイヤモンドヘッドは朝霧の切れ目から突然姿を現し、乗船者を驚かせました。急に現実に引き戻された感じがします。タグボートに導かれ、船はホノルル港の2番埠頭に着岸。予定より一日早い着岸でした。パスポートコントロールを終え、いよいよ2ヵ月ぶりの上陸です。これまで2ヶ月間、苦楽を共にした乗船者とこれでお別れかと思うと淋しくなります。この後、Exp. 321 乗船者とクロスオーバーミーティングを重ね、航海は終了です。皆さんお疲れ様でした!
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
朝靄の中のダイヤモンドヘッドと ワイキキのビル群 |
入港を見守る乗船者 |
JR号をバックに 皆さんお疲れ様でした! |
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最後の洋上の夕陽とイルカショー
黒田潤一郎(海洋研究開発機構)
ジョイデス・レゾリューション号は本航海での掘削終了後、ホノルルに向けて出発しました。トランジットの間、乗船研究者は航海のサイトレポートやサマリーレポートの執筆や作図で毎日忙しい時間を過ごしています。
ラボテク(ラボ・テクニシャン、正式にはマリン・ラボ・スペシャリスト)の方々は次の航海PEAT-IIに向けて実験室の掃除や測定装置の調整をしています。
約一週間のトランジットの末、5月3日の早朝ついにハワイ島が見えました。5月3日の夕方にはイルカ(Spinner dolphin) の群れが姿を現しました。航海の成功を祝うように船の舳先で飛んだり跳ねたり。乗船者をたっぷり楽しませてくれました。イルカショーが終わると、洋上では最後となる夕陽の時間です。橙色の夕陽は水平線に静かに沈んで行きました。空が美しく紫色に変わり、星の瞬きが始まります。
明日はいよいよホノルル到着。早く帰りたい気持ちが8割と名残惜しい気持ちが2割です。
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| 舳先を泳ぐイルカ | |
太平洋に沈む夕陽 洋上で見る最後の夕陽です |
デッキで夕陽を眺める乗船者 ギターの演奏も |
ブリッジ見学
黒田潤一郎(海洋研究開発機構)
今日はブリッジに見学に行きました。ブリッジというのは船の運転席のことです。ブリッジではキャプテンが丁寧に説明してくれます。現在はホノルルに向けて自動運転で進んでいるそうです。今回のJR号改造で、コンピューター上の操作が多くなりました。掘削中に船を定点保持するために使うスラスターもブリッジのコンピューターでコントロールしています。乗船の機会があれば、ぜひ遊びに行ってみてください。(着岸中は見学不可となっています。)
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ブリッジ見学ツアー 船長の説明を聞く山本さん(高知大学) |
ジンベイザメ(Whale shark)登場
中村英人(北海道大学),黒田潤一郎(海洋研究開発機構)
4月22日の掘削中に体長約3メートルの若いジンベイザメが姿を現わしました。4匹のパイロットフィッシュをひきつれ、船の周りを悠然と泳いでいました。掘削中の船に興味があったのでしょうか。スラスターに興味があったのでしょうか。
数時間でしたが、とても貴重なショットが撮れました。
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whale-shark (中村 英人 撮影) |
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Last core on deck
黒田潤一郎(海洋研究開発機構)
4月26日深夜、ついに最後のコアが船上にあがってきました。
船内に西首席の"Everybody, last core on deck, thank you!" という放送が流れると、ラボテクや乗船研究者がキャットウォークに集まり、最後のコアが上がってくる様子を見届けました。
最後のコアが無事キャットウォークに運ばれると、コア回収が無事終了したことを祝う拍手がおきました。
本航海では合計6サイト(16孔)で掘削をおこない、回収したコアの全長は実に3600 mに達しました。毎日毎日24時間体制で休むことなくコア記載をおこない、4月27日にやっとコア記載が終了しました。
これまでの約7週間、移動時間を除くほぼ毎日コアが上がってきました。航海の中盤あたりから"core on deck"(コアが船上に回収された際に流れる船内放送)を聞くのが億劫になってきましたが、もうこれで放送を聞くこともないのかと思うと急に淋しくなります。
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キャットウォークに上がってきた 最後のコア |
最後のコアの分割を見守る 乗船研究者 |
ラボテク(マリン・ラボ・スペシャリスト):クロさん
黒田潤一郎(海洋研究開発機構)
ラボテク(ラボ・テクニシャン、正式にはマリン・ラボ・スペシャリスト)とは、船上でコアのハンドリングや分析機器の管理をおこなう人たちのことです。現在ジョイデス・レゾリューション号には約10人のラボテクが乗船しています。彼らのサポートが充実しているおかげで、乗船研究者が船上で物性計測、岩相記載、顕微鏡観察、化学分析、古地磁気測定などを円滑に進められるのです。本航海には、そのラボテクとして一人の日本人が乗船しています。今日は、そのラボテク黒木さん(通称クロ)のお仕事を紹介しましょう。
クロさんは1987年から1999年までジョイデス・レゾリューション号でテクニシャンとして活躍された後、海洋研究開発機構で地球深部探査船「ちきゅう」の設計から建造、試験掘削を担当されていました。その後、本航海で10年ぶりにJR号に戻ってこられました。コアハンドリング(コア試料の取り扱い)の他に、薄片の製作や、船上での音響探査や採泥の際の温度計測の機器整備、ハンドリングを担当しています。ラボテクは一人でいくつもの機器を担当するため、いつも忙しそうに船内を走り回っています。クロさんにインタビューしてみました。
Q. このお仕事の醍醐味は?
第一戦で活躍している世界中の研究者のお手伝いができることです。
Q. 乗船を考えている人にジョイデス・レゾリューション号の良さを教えてください
ラボがアットホームな雰囲気で、みんなフランクで楽しいところです。
Q. 乗船研究者に期待することは?
おおらかな気持ちで乗船してください。
Q. このお仕事で重要なことは何ですか?
最も大事なことは一所懸命仕事をすることです。やる気です。
コミュニケーションも重要です。
ただ、流暢に英語を話す必要はありません。気持ちを込めることが大事です。
Q. 言葉の壁をどう乗り越えましたか?
私も最初は話せませんでしたが、頑張れば何とかなるものです。
今後もジョイデス・レゾリューション号の航海がたくさん計画されています。クロさんと一緒の航海になったら、船のこと、採泥のこと、計測のことなどいろいろ話を聞いてみてください。私たち乗船研究者にとって、何か困ったことがあったら日本語で相談できる人がいるというのはとても有難いことです。
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ラボテクのクロさん |
記念すべき最初のコアの コアキャッチャーを運ぶクロさん |
第5掘削地点コア回収中&迷い込んだ小鳥
山本裕二(高知大学海洋コア総合研究センター)
ジョイデス・レゾリューション号は16日の未明(日本時間で17日(金)の深夜)から5地点目での掘削を開始して、現在まで順調にコアが回収され続けています。
この掘削サイトは本航海の中でも堆積層が一番厚い場所で、今までのサイトに比べてより大量にコアが回収されています。船上の研究室の一区画には分析前のコアを一時的にストックしておく棚があるのですが、大量のコアに対応すべく、急遽、仮設の棚が増設されました。回収されたコアの分析作業は、順次、順調にとり行われています。
この掘削サイトでは、夜になると船の周りに大量の小魚の群れがやってきます。どうやら、ジョイデス号の明かりに吊られて寄ってくるようです。小魚の群れを狙って、中型の魚や鮫の群れ、そして海鳥たちもやってきます。なかには船の甲板に飛び込んでくる小鳥もいたりします。船の周りで繰り広げられる一連の光景は、とても分かりやすい食物連鎖の一端を感じさせてくれます。乗船研究者たちは、船上の分析作業の合間に甲板に出て、この光景を眺めて一息入れています。
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
回収されたコアをストックしておく棚。 真ん中奥が仮設のラック。 青いキャップがはめてあるチューブ群が、 1.5m単位で切断された回収コア。 |
甲板に迷い込んできた小鳥。 すぐに海に帰しました。 |
第4掘削地点作業終了間近&船内流行
山本裕二(高知大学海洋コア総合研究センター)
ジョイデス・レゾリューション号は4地点目(ハワイ島から東南東へ2620km)での掘削を終えて、現在、ドリルパイプなどの回収を行っています。
水深約5000mの海底面へ降ろした機材の回収なので、この作業には約半日ほどかかります。作業が完了すると、いよいよ本航海最後の掘削地点である5地点目へ向けて航行となります。
昨日(日本時間で13日(月))、ジョイデス号の食堂では、イースターをお祝いする食事・ケーキ・デザートなどが振る舞われました。天気が良ければ甲板でのバーベキューとなる予定でしたが、あいにくの天気だったため、屋内での開催となりました。これまでも何回か屋外バーベキューの企画があったようですが、天候に阻まれて、残念ながら一度も開催となっていません。次のチャンスは来週の日曜のようなので、乗船者一同、皆ささやかな期待を胸に抱いています。
船上では、色々と流行があったりします。昼シフト(12:00-24:00)の乗船研究者の間では、綺麗な夕日の写真を撮ることがちょっとしたブームになっているようです。天気が良く夕日を見ることのできる日の夕方には、ふと気づくとラボから研究者がほとんど居なくなっていることがあります。みな甲板に出て、ベストショットのチャンスを狙っているようなのです。航海海域は天気が変わりやすいので、なかなか良い写真を撮るチャンスに恵まれませんが、本航海の残り約3週間の間にも新たな芸術作品が生まれることが期待されます。
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イースターで振る舞われた ケーキおよびデザート類 |
イースターを祝福するケーキ |
筆者撮影 夕日写真の一枚 |
一段下の甲板で夕日写真を撮っている 乗船研究者の写真を撮る西首席 |
船上研究は24時間体制
山本裕二(高知大学海洋コア総合研究センター)
ジョイデス・レゾリューション号は3地点目での掘削を終えて、現在、4地点目の掘削サイトへ向けて航行しています。
航行の間にも、3地点目で採取されたコアの分析が行われています。
乗船研究者は昼シフト(12-24時)と夜シフト(0-12時)の2チームに分かれていて、交代でコアの分析作業にあたっています。つまり、分析作業は昼夜を問わず24時間連続して行われており、スムーズに作業を進めるためにも、両チーム間の毎日の引き継ぎが重要になってきます。 航海開始から1ヶ月が過ぎ、分析作業も軌道に乗ってきています。
昨日は、ジョイデス・レゾリューション号が東に移動してきたことに伴い、深夜0時に時計の針が1時間進められました(日本との時差は18時間となりました)。夜シフトの人たちが仕事を開始したと同時に針が1時間進んだので、私を含む昼シフトの人たちは、休息できる時間が1時間減ってしまいました。全地点での掘削を終えてハワイへ帰投するときには、逆に、昼シフトの人たちに1時間のボーナスが発生することを期待しています。
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
古生物学者チームの昼シフトから 夜シフトチームへの引き継ぎの様子 |
ジョイデス号の周りにはいろいろな魚が やってきます。「マヒマヒ」という魚だ そうですが、見えるでしょうか? |
サイトPEAT2C(Site U1332)掘削開始
西 弘嗣(北海道大学)
3月20日:Hole Cの掘削開始。Hole A&Bで取り残した部分のコアを回収。
3月21日:Hole Cでこのサイトは終了し、次のサイトへ移動。
3月22日:サイトPEAT2C(Site U1332)に到着し、掘削開始(北緯11度34 西経141度、水深4923m)。
3月23日:9時35分に最初のコアを回収。
3月24日:Hole Aでは基盤まで掘り抜いて15時23分に終了。
3月25日:ロギングを開始。各人とも機器、ソフト等に慣れてきたようで、順調 に仕事をこなしています。天候は余り良くなくて雨が多く、波が常に高い状態で 船が揺れています。しかし、誰も船酔いにはなっていません。日本人乗船研究者 は皆、重要な役割を十分にこなしております。
今日からHole Bに取りかかる予定 です。今のところ、当初の目的が達成できそうなコアが取れています。
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避難訓練
山本裕二(高知大学海洋コア総合研究センター)
3月21日の10時30分(ハワイ時間)に、乗船者全員が参加しての避難訓練がありました。ジョイデス・レゾリューション号には救命艇が4隻搭載されていて、乗船者各自が緊急時に待避する救命艇があらかじめ決められています。緊急を知らせるサイレンが鳴ると同時に、乗船者全員が救命胴衣とヘルメットを装着して割り当てられた救命艇の前に集合し、その後に点呼が行われました。あらかじめ訓練が周知されていたので、全員、スムーズに集合となりました。今後の航海期間中も、週に一度程度行われる予定のようです。
避難訓練ののち、11時30分から一時間ほどサイエンスミーティングが開催されました。最初の掘削サイトについて、これまでの船上分析によって得られた結果について各研究グループが発表し、予察的ではあるものの科学的成果の共有が図られました。最初の掘削サイトから回収されたコアについては、まだ船上分析が継続されていますが、ジョイデス・レゾリューション号は最初の掘削地点での掘削を終え、第二の掘削地点に向けて航行を開始します。
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
| 救命艇の前に集合する乗船者 | 最初の掘削地点について得られた結果を 議論するサイエンスミーティング |
本航海&新JR号初コア採取!
沢田 健(北海道大学)
3月16日朝8:30頃に,新JR号になってはじめての堆積物掘削コアが採取されました。場所は赤道太平洋北緯約12度,PEAT1-Cサイト(サイトNo:U1331)です。はじめのコアがキャットウォークに運び込まれたとき(写真8-1,8-2),そこにいる全員が拍手喝采でした。その雰囲気からも,新JR号の航海と掘削の実施が心待ちされていたのだと感じました。筆者も感動しました。・・が,感動している暇はありません。すぐにサンプリングが開始され,さあ,これから本格的な作業・研究の始まりです。運ばれたコアから,分解・変質しやすい物質を対象とする研究試料が直ちにサンプリングされます。それはバクテリアなどの微生物の研究試料,堆積物中のメタンなどのガス(Head space gas; HS),おもに間隙水(Interstitial water; IW)の採取用の直径10cm程の円柱コア試料(Whole-round core; WRC)としてサンプリングされます(写真8-3,8-4)。
筆者は有機地球化学研究者(Organic Geochemist)としてJR号に乗船しています(PEAT航海での地球化学研究については,また後ほど紹介する予定です)。筆者は早速,地球化学実験室に持ち込まれたガスの分析をガスクロマトグラフで測定します(写真8-5)。この分析により,もし大量のメタンなどの炭化水素ガスや硫化水素(H2S)のような有毒ガスが検出された場合には直ちに掘削を停止または掘削法の検討を提示する,重要なモニタリングになります。また,同時に実験室に持ち込まれた円柱コア試料から直ちに間隙水(を抜き取る作業が行われます(写真8-6)。円柱コア試料を圧縮してそれに含まれる水を搾り取るという作業ですが,水を搾りとられた堆積物残渣(Squeeze cake)も勿論,捨てずに保存されます。
掘削されたコア本体は1.5m間隔のセクション(Section)に切断され,1つ1つがキャットウォークから船内のコア研究室に運び込まれます。セクションは物性等を調べた後に縦に半割され,堆積コア記載,古地磁気,微化石,地球化学などの研究ゾーンを流れることになります。すべての研究グループが活動開始です。
PEAT1-C(U1331)サイトの1本目のコア(ホールA)の掘削は,3月18日夜には深度約220m で基盤に達して 終了しました。次に2本目のホールBの掘削になります。
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
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8-1 PEATはじめての堆積物コアが キャットウォークに運びこまれた瞬間 |
8-2
堆積物コアが静置され、
拍手喝采!!
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8-3 さっそくバクテリアなど微生物研究用の 試料がサンプリングされる |
8-4 間隙水分析用,ガス分析用試料が サンプリングされる |
8-5 はじめてのヘッドスペースガス分析用試料 |
8-6 地球科学実験室にて 円柱コア試料から間隙水を抜き取る作業 |
最初の掘削地点に到着!堆積学者の役割&船内生活
中村英人(北海道大学)
ジョイデス・レゾリューション号は3月14日の深夜(ハワイ時間)に最初の掘削地点に到着しました。やぐらの足下にあるリグフロアではすでにドリルビットが海中に下ろされ,深夜には最初のコアが上がってくる予定です。最初の掘削地点では水深が5132mもあり、パイプをおろして掘削を開始しコアが回収されるまでの間にかなり時間がかかるようです。
私はこの航海に堆積学者として乗船しています。堆積学者チームはこれまで新しいデータベースを用いたコア記載方法の確認に時間をかけてきました。コアのデジタル画像や色彩データ,肉眼観察の結果,スミアスライドの観察結果などの情報はすべて船内のネットワーク経由でデータベースへと登録します。一昨日から昨日にかけて,320T試験航海で掘削されたコアを半割して実際のコアフローを練習する機会もあり,今は記念すべき第320次掘削航海最初のコアがコアデッキへと運び込まれるのを待つばかりとなりました。
船上でするのは仕事だけではありません。おなかも空くし休息も必要です。船内の食堂では6,12,18,24時の前後一時間に食事をとることができ,3,9,15,21時にはコーヒーブレイクとしておやつも出ます。毎食メニューが壁にはりだされ,カウンターで好きなものを指定して皿にもりつけてもらえます。サラダバーもあり,航海序盤の今は新鮮な野菜類もふんだんに提供されています。パンやシリアル,飲み物などは時間を問わずセルフサービスで,アイスクリームのディスペンサまで用意されているので,忙しくて時間を逃しても次の食事まで空腹でふらふらという目にはあいません。
昨晩就寝しようと船室にもどった時,航行中は船体に格納されていたスラスターの大きな駆動音を聴き、移動は終わった!と実感しました。いよいよこれからが本番です!
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
最初の掘削地点へ航行中の JR号 |
コアを観察する筆者 |
深夜、最初のドリルビットが 海面下へと下ろされました |
ジョイデス・レゾリューション号 でのディナー |
微化石実験室の様子
上栗伸一(筑波大学)
微化石(プランクトンの化石)は、古地磁気とともに堆積物が堆積した年代を決定するために使われます。今日はJR号の微化石実験室を紹介します。
微化石実験室は顕微鏡室と処理室の2つに分かれ、ともに7階にあります。顕微鏡室には壁に向かって長机が設置されており、その机の上には9台の顕微鏡が置いてあります。光学顕微鏡が4台と実体顕微鏡が5台です。それぞれの光学顕微鏡の隣にはパソコンが置いてあり、顕微鏡室のプリンターと接続されています。机の上の目の高さのところに本棚があり、その中には微化石の種類を同定するためのいくつかの本が入っています。
もう一方の処理室には、部屋の奥と入り口から見て左側に小窓がついています。この左側の窓からは掘削現場が見学できるようになっています。処理室の奥の両側には2台のドラフトチャンバーが設置されています。ドラフトチャンバーは、実験中に発生 した有害な気体を室外にもらさずに排気することで人の安全を確保する大切な研究設備です。塩酸や過酸化水素などの薬品を扱う場合には必ずこのドラフト内で作業します。処理室の入り口側には壁に向かって腰の高さくらいの台が備え付けられており、入り口から見て左側の台には2つの流し台、右側には遠心分離機が置かれています。台にはたくさんの引き出しが付いており、その中には微化石を堆積物から抽出する作業に必要な篩(ふるい)、分割器、筆やスライドガラスなどが入っています。
これからこの実験室で2ヶ月間、研究を行っていきます。その間の研究の様子もおいおい報告していきたいと思います。
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
微化石実験室 〜顕微鏡室〜 |
微化石実験室 〜処理室〜 |
JR号研究室の配置・構成
西 弘嗣(北海道大学)
現在,最初の掘削予定地点である(PEAT1-C)へ移動中。この地点は,水深5132m,基盤の深さ5319m(基盤の年代は5300万年前)。目的は始新世前期にかつて赤道であった箇所の掘削である。現在10ノットにて進行中で,船のナビゲーションパネルに掘削地点がみえてきた。3月14日の遅くに掘削地点に到着の予定。
JR号の研究室の配置に関して、Cat Work(コアが上がって来るところ)と研究室がつながり,Core Deckと同じ階にあることが大きな変化。研究室の構成は以下のようになっている。
上階から下階より:
1) Bridge Deck: TSP office, Operation office, Science office, Tech support, Planning room
2) Core Deck: Core lab, Pale lab, Microscope lab, Downhole lab, ET shop(この階にCat Workがある)
3) Poop & Forecastle: Hospital, Chemi lab, Thin section lab, X-Ray lab, Microbiology lab, Conference Room, Publication office, Imaging office, Staff office
4) Main Deck: Mess Hall, Galley, Laundry
5) Upper Tween Deck: Bulk Storage, Science store, Logistic shop. Bulk
6) Lower Tween Deck: IT office, Data Center, Developer office, Study
7) Hold Deck
そのかわり,
1)図書館がなくなり,各研究室に図書が分散された
2)会議室(Conference Room)が下位の階に移動された。そのかわり,プロジェクターなどが設置され充実した。
3)研究室と居室が広くなった分,それ以外のスペース(会議室,映画上映室など)はすべて狭くなったようである
4)居室は2人部屋が基本。Co-Chiefは個室。シャワーは常に熱いお湯が出る。トイレはかなり不安定。最初に水が流れるか確認が必要。
ジョイデス・レゾリューション号の見取り図
※画像をクリックすると、IODP-USIOのページへジャンプし、詳細をご覧頂けます。
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JR号船内・船外コミュニケーション
黒田潤一郎(海洋研究開発機構地球内部変動研究センター)
JOIDES Resolution号の船内や船外とのコミュニケーションについてお知らせします。概略を図示しています。JR号に乗船する際、各乗船研究者には船のメールアドレス(jrs_lastname(at)ship.iodp.tamu.edu)が割り当てられます。このメールは容量制限が256kBとやや窮屈ですが、外界とのやりとりが可能です。Daily reportや翌日の予定などは基本的にこのメールに配信されます。JR号には研究者が優先利用できる備え付けのパソコンが9台あり、それぞれのラボにもパソコンがあります。ここからJR号の船内サーバやインターネットにアクセスしたり、船内メールを送受信することができます。備え付けのパソコンはインターネットにアクセスできるので、自分の大学や研究所のウェブメールを使うことができます。各乗船研究者が持ち込んだラップトップは、Novell clientプログラムをインストールするとサーバや船内ウェブにアクセスすることができます。ただしインターネットへのアクセスはできません。マシンショップにラップトップを持っていくと、技師がウィルススキャンとプログラムのインストールと使用法の説明をしてくれます。自分のラップトップから船内サーバにアクセスしてデータをダウンロードしたり、メールを受信して翌日の予定をチェックしたり、自分の撮った写真を共有フォルダにアップロードしたりできるので、非常に便利です。この他にも船内から日本にも電話をかけられるようです。試していませんが、電話カードなるものを手に入れる必要があるそうです。

Birthday Party
山本裕二(高知大学海洋コア総合研究センター)
3月11日の15時(ハワイ時間)に、2名の乗船研究者の誕生日をお祝いするささやかな会が開かれました。祝福を受けたのは、堆積学者として乗船中の Jens Herrleさん(ドイツ)と、古生物学者として乗船中の高田裕行さんで、お二人はすでに3月9日に誕生日を迎えていたのですが、少し遅れてのお祝いの会となりました。二人にはささやかなプレゼントが贈呈され、参加者全員にバースデーケーキが振る舞われました。
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
プレゼントのIODP特製ボールペンを 贈られる二人(右が高田さん) |
仲良くバースデーケーキに入刀 |
最初の掘削地点へ - 古地磁気研究者の役割とは-
山本裕二(高知大学海洋コア総合研究センター)
現在もジョイデス・レゾリューション号は最初の掘削地点へ向けてほぼ全速力で航行しています。船体は大きいのですが、長周期の揺れが絶えず続いており、航海が始まったことを実感させられます。
私はこの航海に 古地磁気研究者として乗船しています。船上での役割は、掘削されて回収されるコアの残留磁気を測定し、その方位が現在と同じ向き(正帯磁)であるか逆向き(逆帯磁)であるかを決定して、コアの形成年代を調べるというものです。地球の磁場(地磁気)は、地球形成初期から現在まで逆転を繰り返してきており、過去約1億6千万年前から現在までについては、地磁気逆転の歴史がほぼ明らかにされています(地磁気極性年代表)。したがって、掘削コアに記録されている地磁気逆転のパターンを調べて地磁気極性年代表と比較すれば、コアのどの深さがどの時代(例:258万年前など)に対応するかが分かるわけです。同時に乗船して平行して掘削コアの解析を進めている古生物学者などの方々と協力して、このようにして推定した年代が妥当なものであるかどうか判断します。
掘削コアの残留磁気は非常に微弱なため、超伝導磁力計という非常に高感度な専用の装置によって測定します。測定は装置外部から絶えずやってくる電磁ノイズや周囲の磁場によって影響を受けるため、これらの影響を軽減可能な磁気シールド金属という特殊な性質を持つ金属で装置全体を囲い込みます。超伝導磁力計の外観が長い円筒型をしているのは、装置全体がこの金属で複層に覆われているためです。ジョイデス・レゾリューション号の更新にあたって、装置自体は引き続き従前からのものが使用されていますが、制御ソフトが一新されたため、現在はその使用法の習得に取り組んでいます。
日常生活の面では、一部の乗船研究者をのぞき、船室は2人で1部屋を共有します。現在はまだ開始となっていませんが、0-12時および12-24時の交代勤務が開始となれば、どちらか1人が勤務で、片方のもう一人が船室で就寝というスタイルになります。となると、船室は常に漆黒の闇となりますので、用があって船室に戻る際には懐中電灯が欠かせなくなります。日常の連絡は、船内にあるレターボックスへの配布物で行われることもありますが、船内での電子メールが基本となります。乗船研究者各人には陸上とも交信が可能な電子メールアドレスが配布され、各自が持参したノートパソコンもしくは船に備え付けのパソコンを利用して電子メールの読み書き・交信を行います。
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ジョイデス・レゾリューション号に 設置されている超伝導磁力計 |
船室は2段ベッドで、2人で1室を共有します |
船内の廊下に備え付けのレターボックス |
筆者が持参したノートパソコン(左)とジョイデス・レゾリューション 号のパソコンルームに設置のパソコン(右) |
いよいよ出航!!
黒田潤一郎(海洋研究開発機構地球内部変動研究センター)
ジョイデス・レゾリューション号は日本時間の3月11日午前10時にホノルル港を出港しました。
出港後、ワイキキビーチやダイヤモンドヘッドの沖を通って外洋に出ました。南南東に向かって順調に進んでいます。
うねりのせいで少し揺れていますが、乗船者は皆元気に準備に勤しんでいます。
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
| ホノルル港に停泊中のJR号 | 日本人乗船者の集合写真 |
| JRの船首から望むダイヤモンドヘッドとツインタワー | JRのやぐらとホノルル港 |
出航直前!
黒田潤一郎(海洋研究開発機構地球内部変動研究センター)
現在、ジョイデス・レゾリューション号はオワフ島ホノルル港の29番埠頭に停泊しています。出発に向けた準備はほぼ整い、日本時間3月11日水曜日午前10時頃に出港して最初の掘削地点に向かいます。
私はこの航海に堆積学者として乗船します。本研究航海 (Exp. 320) は太平洋の深海底に眠る赤道堆積物を掘削し、新生代における赤道太平洋の古環境変動を復元することを目的としています。太平洋プレートは少しずつ北西に動いているので、赤道から北西に向かうほど古い時代の赤道堆積物を掘り当てることができます。次の航海 Exp. 321 と併せて、始新世(Eocene) から中新世(Miocene) までの赤道太平洋堆積物が回収される予定です。本航海では、主に古第三系を回収します。堆積学者 の仕事は、回収されて半割されたコアの岩相を記載し、スミアスライド(ごく少量の堆積物を封入したスライド)を顕微鏡で観察して堆積物に含まれる鉱物や化石を調べたり、堆積物の色彩を測定したりデジタル画像を撮る作業をおこないます。いわば堆積物の「基礎情報」を得るわけです。乗船研究者は出港4日前の3月6日に乗船し、出港に向けた準備に追われていました。この航海はJR号改装後の初めての研究航海です。堆積物の岩相記載の入力方法などが大幅に変わったため、実験室での処理手順などを入念にチェックしている間に4日が経ってしまいました。ようやく船内での要領がわかってきたところで、いざ出港です。
この航海には、共同主席研究者である西 弘嗣さん(北海道大学)をはじめ、合計7人の日本人研究者が乗船しています。交代でジョイデスから情報をお送りしていきます。お楽しみに。
IODP第321次掘削航海 船上レポート〜赤道太平洋東部より〜
■Exp. 321船上レポートインデックス
船上レポート29 >>ジョイデス・レゾリューション号に乗船して思ったこと その3
船上レポート28 >>ジョイデス・レゾリューション号に乗船して思ったこと その2
船上レポート27 >>ジョイデス・レゾリューション号に乗船して思ったこと
船上レポート26 >>古生物学グループからのメッセージ
船上レポート25 >>日本人ラボ・テクニシャンの藤根和穂さん
船上レポート24 >>ミクロなガラス細工
船上レポート23 >>船上で食べるカレーの素晴らしさについて
船上レポート22 >>IODP研究航海ロゴコンテスト
船上レポート21 >>記録達成と最後のコア・オン・デッキ
船上レポート20 >>ジョイデス・レゾリューション号の室温
船上レポート19 >>ロギング(孔内計測)
船上レポート18 >>乗船研究者の仕事:サイトレポートの作成
船上レポート17 >>船上での重量測定
船上レポート16 >>ジョイデス・レゾリューション号から国際宇宙ステーションを見つめる
船上レポート15 >>ジョイデス・レゾリューション号での生活を伝えるサイエンス番組
船上レポート14 >>堆積学者グループの仕事
船上レポート13 >>船上の研究を支えるテクニシャン
船上レポート12 >>研究者の日々の習慣
船上レポート11 >>小さな化石の大きな役割
船上レポート10 >>船上のハッピーバースデー
船上レポート9 >>マルチセンサーロガー測定とその意義
船上レポート8 >>地球化学研究室での研究の様子
船上レポート7 >>素晴らしき掘削のプロフェッショナルたち
船上レポート6 >>ジョイデス・レゾリューション号でのスイーツ
船上レポート5 >>食堂のソフトクリームマシンについて
船上レポート4 >>Exp. 321初コア採取!
船上レポート3 >>“サイエンス・トーク”開催
船上レポート2 >>船上研究生活で大切なもの
船上レポート1 >>第321次航海開始
■Exp. 320船上レポート>>こちら
■USIO Daily & Weekly Science Report (英語)>>こちら
船上レポート29 7月1日(水)
ジョイデス・レゾリューション号に乗船して思ったこと その3
長谷川 精(北海道大学)
ジョイデス・レゾリューション号の航海を終えて早1週間が経ちましたが,最後に乗船若手研究者3人衆(山本,辻本,長谷川)で,本航海に参加しての感想文を書こうという話になったので,航海の感想~その3~として,僕がIODP321航海に参加してとても良かったと感じた点について述べたいと思います.
まず第一に思ったことは,何よりも,得られた堆積物コア自体がサイエンスとして非常に面白かったことです.今回のIODP320/321 PEATの航海では,特に古第三紀から新第三紀を通じた連続した堆積物記録を得て,そこに記録される地球軌道要素の変動(オービタルサイクル)に伴う表層環境変動を,高い解像度で復元することが主な目的でした.今回の航海では,そのような目的も意図して,赤道太平洋東部の活発な湧昇に伴う高い生物生産の地点を掘削サイトとしていた為に,得られた堆積物コアの岩相は,石灰質ナンノプランクトンの卓越する層準と,珪藻や放散虫などの珪酸質の生物群集が卓越する層準とが繰り返して変動していました.以前の乗船レポート(乗船レポート4,14)にもあるように,堆積学者は掘削された堆積物コアの半割面の岩相・堆積構造を,乗船研究者の中で最も早く,つぶさに見ることが出来ます.したがって,得られた堆積物コアが,明らかな周期性(数10cm,数m,数10mのサイクル)で色や岩相が繰り返している様子をこの目で直に見ることができ,地球軌道要素の変動が実際に赤道太平洋の表層生物群集の盛衰をコントロールしていたことが実際に感じられ,地球の営みの面白さに改めて感動しました.半割されたコアがコア記載テーブルにやってくると,共同主席のMitchやIsabellaも常にやってきて,コアを見て皆であれこれ議論をしたため,新しい知識もたくさん得ることが出来たことも大変勉強になりました(写真1).自分がこれまで研究対象としてきたような,陸上の地層からは得られない,未固結で新鮮な“生”の海洋堆積物をこの目で見ることが出来たことは,今後色んな研究を行っていく上でのインスピレーションにも大きく影響を与えるのではないかと思います.
もう一点,乗船して特に楽しかった点は,乗船研究者たちはまさに一つのチームとして,仲良く共同生活を営むことが出来た点です.国際学会などの参加を通して,これまでにも海外の同分野の研究者と議論することは何度もありましたが,ジョイデス・レゾリューション号に乗船中ほど,親密に議論したり,冗談を言い合ったりと,仲良く海外研究者達と過ごしたことは一度も有りませんでした.欧米の研究者とのユーモアあふれる会話は,実際楽しくてしょうがありませんでした(アメリカンジョークは,たまによく意味が分かりませんでしたが).約2カ月という長期にわたる航海も,本当にあっという間に過ぎたような気がします.乗船中仲良くなった研究者とは,今後も研究面で密接に関わっていくでしょうし,何より今後国際学会等で会ったときに楽しく飲んだり話したり出来る仲間が何人も出来たことは,本当に良かったと思います.
航海最後のサンディエゴに入港するときには,大陸沖近くに生息するたくさんのクジラやイルカの群れを見ることが出来ました(写真2).自然のイルカを見るのは初めてでしたので,大興奮しすぎて皆さんから笑われてしまいましたが,最後まで本当に楽しいことの尽きない航海でした.機会があれば,またぜひ乗りたいと思っています.学生さんをはじめとして,IODPに興味があって参加してみたいと思っている方は多数いらっしゃると思います.IODP航海を経験した直後の感想としては,研究面や様々な理由で二の足を踏んでいる方も少なからずいらっしゃるかと思いますが,航海自体が楽しいだけではなく,新たな研究や出会いの機会が溢れているIODP航海に,まずは一度乗船参加してみることを強くお勧めします.参加した者にしか味わえない醍醐味がきっと待っていると思います.
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写真1 半割された堆積物コアを前に作業・議論する, 共同主席のIsabella(向かって右手前)とMitch(右から2番目), 堆積学者のAppy(左手前)とDan(左から2番目). 奥にいるのはスメアスライド作成中の辻本さん. 堆積物コアの色が数10cm〜約1m毎に変化している. |
写真2 サンディエゴに帰港する途中には, イルカたちが船と戯れにやってきました. (辻本さん撮影) |
船上レポート28 6月29日(月)
ジョイデス・レゾリューション号に乗船して思ったこと その2
辻本 彰(大阪市立大学)
山本さんのレポートにあるように,22日のサンディエゴへの入港によって一ヵ月半に及ぶ私たちの研究航海が終了しました.陸の接近とともに航海の終了を実感し,乗船研究者一同感慨深い思いで陸を眺めていました(写真1).サンディエゴに到着した日の夜には,乗船研究者一同で航海の終了を祝う打ち上げを行いました(写真2).この打ち上げを最後に一ヵ月半寝食を共にした研究者仲間ともお別れです.航海を終えた達成感もありますが,航海が終わってしまう寂しさも覚えました...
航海が始まる前は,長期間に及ぶ慣れない船上生活・作業や英語でのコミュニケーションへの不安,何よりも地球科学の中で重要な役割を果たしてきたジョイデス・レゾリューション号の乗船研究者としての役割に対する不安感等が航海への期待感にも匹敵するほど強かったように思います.しかし,そのような不安は乗船後数日で杞憂に終わりました.船上での生活はケータリングスタッフの方々のおかげでいつも快適で,研究だけに専念できます(写真3).研究設備に関してはラボテクニシャンの方々がいつも親切に対応してくれますので(船上レポート2,13,25を参照してください),一生懸命頑張ることで船上での仕事も次第にこなせるようになってきます.船上には,冗談を言って場を和ませてくれる仲間もいます.様々な分野の研究者と話をすることで,新たな発想につながるヒントも得られます.このような環境のもと研究漬けの生活を送れたことは,私の人生にとって確実にプラスになったと思います.
船上には素晴らしい経験が待っています.地球環境に興味のある皆さま,ぜひ一度乗船されることをお勧めします.
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写真1 そろって入港を見守る乗船研究者達.皆いい顔しています. |
写真2 サンディエゴで航海終了を祝う打ち上げが行われました. こちらも皆いい顔. |
写真3 部屋の掃除をしてくれるMichaelさん.いつも笑顔. |
写真4 本航海参加者の集合写真.皆様ありがとうございました! |
船上レポート27 6月26日(金)
ジョイデス・レゾリューション号に乗船して思ったこと
山本真也(北海道大学低温科学研究所)
6月21日深夜になると,ジョイデス・レゾリューション号の航跡を標したスクリーンには北アメリカ大陸の一部が写り始め(写真1),翌6月22日17時15分,予定より一日早くサンディエゴ港に着岸しExp321航海が終了しました。帰国した今,本航海を振り返り,思ったことをまとめてみました。
私がこの航海に参加することが決まったのは今から2年前のことです。それから乗船までの間に,何人もの乗船経験者の方からお話を伺う機会があり,航海のスタートは,待ち受ける航海への期待と,自分は本当に乗船研究者という大役を果たすことができるのだろうかとの不安を抱きながらものでした。
航海中の日常の研究業務は忙しいものでしたが,赤道太平洋そして海底から船上に回収された堆積物は,それらを忘れさせてくれる程美しいものでした。
52日間の航海の後,航海を終えた達成感や日常生活へ戻れる開放感,そして何よりも,過去2500万年間の赤道太平洋への好奇心,そして本航海で採取された堆積物によって今後何が明らかにされるのであろうかという期待感が航海前に比べてより一層高まったと感じています。
図1は,航海初日のオリエンテーションで説明された赤道太平洋年代トランゼクトプロジェクト(PEAT)の概要のスライドの抜粋です。ここに示されているように,航海(Expedition)は,4年半のプロジェクトの一部であり(たった2ヶ月),通過点に過ぎないのです。むしろこれからが本番と言えるのかもしれません。航海の成功自体大きな成果ですが,乗船することで,採取した試料への愛着が深まり,またPEATにおける自分の研究の位置づけを明確にすることができたことも,大きな収穫だったと思います。
最後に,航海を通じてお世話になった乗船した28人のサイエンティスト,25人のラボテクニシャン,55人のクルー,15人のケータリングスタッフ,陸上のIODP関係者の皆様へ感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。
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写真1 北アメリカ西岸に向かうJR号の航跡図 |
図1 プロジェクトのタイムテーブル(航海スケジュールのスライドより抜粋) |
船上レポート26 6月24日(水)
古生物学グループからのメッセージ
林 広樹(島根大学)
私たち古生物学グループは総勢7名で,2グループに分かれて交替しながら,地層に含まれる小さな化石の分析を行いました。この小さな化石には,私が専門としている浮遊性有孔虫(レポート11参照)以外にも様々な種類があります。有孔虫と同じく動物プランクトンの放散虫,植物プランクトンの珪藻,そして石灰質ナンノプランクトンがその代表的なものです。今回,古生物学グループの研究者から,日本の若い皆さん向けに熱いメッセージを頂きました。日本人以外の方からは英語ですが,ぜひ読解に挑戦してみて下さいね!
Jan Backmanさん(スウェーデン,石灰質ナンノ化石担当)
Please study marine geoscience well and you can go to sea with international scientists, exactly what Hiroki-san has been doing over the past 6.5 weeks.
Best wishes from a swedish calcareous nannofossil biostratigrapher!
Ann Holbournさん(ドイツ,底生有孔虫担当)
Hi, we had a great cruise in the middle of the Pacific, very close to the equator. We found millions of beautiful, tiny fossils that will help us to retrace the early history of the equatorial Pacific and to understand how climate changed on earth before ice caps grew at the poles. Also we met many new friends!!
Bridget Wadeさん(アメリカ,浮遊性有孔虫担当)
We've had a great time sailing on Expedition 321. The sediments contained lots and lots of microscopic fossils and it was great to be the first to see them since they died and sank to the sea floor 20 million years ago.
Leah Schneiderさん(アメリカ,石灰質ナンノ化石担当)
Hi! I am a graduate student at Pennsylvania State University in the USA. I sailed on the JR as a nannofossil biostratrigrapher and it was a great experience! I learned a lot and met so many nice, interesting people!
Oscar E. Romeroさん(スペイン,珪藻化石担当)
Sailing on Joides Resolution is always an exciting experience. On IODP Exp
321 we recovered hundreds of meters of microfossil-rich sediments which
will allow us to reconstruct the paleoceanography of the equatorial
Pacific. The work done by micropaleontologists is of prime importance and
I hope you feel encouraged to pursue your career as one too!
大金 薫さん(日本,放散虫担当)
ジョイデス・レゾリューション号に乗船したことは、私にとって非常に新鮮で、しかもよい経験となりました。
いろいろな意味で、一つ成長できたのではないかと思います。地質学に興味のある皆さん、是非一度乗船してみてください。
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写真1 古生物学ラボのメンバー。 左から,テクニシャンのZennonさん,大金さん,Annさん,Bridgetさん,筆者, Leahさん,Janさん,Oscarさん。 |
船上レポート25 6月22日(月)
日本人ラボ・テクニシャンの藤根和穂さん
木元克典(海洋研究開発機構)
ジョイデス・レゾリューション号よりこんにちは。航海も最終段階、乗船研究者の皆さんはすべての研究業務を終えてリラックスしており、それぞれの時間を過ごしています。
今日はこのPEAT II航海を遂行するにあたって、我々日本人みんなが大変お世話になった、ラボテクニシャン(正式にはマリン・ラボ・スペシャリスト)の藤根和穂さん(カズさん)をご紹介したいとおもいます。
藤根さんは北海道のご出身で、東京大学にて博士号(理学)を取得後、海洋研究開発機構で深海掘削船「ちきゅう」のキュレーターとして、日本の深海掘削研究の初期の段階から関わっておられました。その後渡米し、現在はテキサスA&M大学(TAMU)に所属してジョイデス・レゾリューション号のラボテクニシャンとして化学実験室を担当していらっしゃいます。ちきゅうとジョイデス・レゾリューション号のどちらについてもよくご存知でいらっしゃる、とても経験豊富な方なのです。
私はこの航海中にいくつかの化学実験設備やコンピューターの不具合に遭遇しましたが、その都度的確に対応いただき、たいへん快適な研究生活を送ることができました。とくにエンジニアの方々との細かい英語でのやりとりの場面で助けられたことは言うまでもありません。藤根さんは船の上でも勢力的にご自身の研究論文を書かれていて、この航海の最中にめでたく受理されるなど、まわりのみんなが驚くほどの頑張り屋さんです。
私は、前回の航海で乗船された黒木さん(クロさん)同様に(PEAT Iのレポート参照)、日本人の方が世界の最先端の現場で一生懸命に働いている姿をみて、たいへん勇気と感動をいただきました。
藤根さんは常に元気で明るく、おしゃべり大好き、いつも笑顔を絶やさない方で、化学実験室はきょうも和やかな雰囲気に包まれています。この航海に堆積学者として乗船している長谷川精さんとは大学院の先輩後輩の関係であり、ふたりのやりとりはいつ見ても微笑ましいです(写真)。そんな藤根さんに、現在のお仕事について質問してみました。
Q1. この職種を選んだ理由について教えてください。
良い研究を生み出すために研究を知る者がやるべき仕事のひとつと思ったからです。
Q2. この職種に就くために必要なこととは?
現場:やる気、体力、集中力、打たれ強さ。
マネージメント:現場経験、研究経験、情報収集・分析力、粘り強さ、語学力。
Q3. 仕事のどのようなところについてやりがいを感じますか?
壊れていた機械の調整が上手くいってデータが出た!
友達の輪が世界中に広がる!
Q4. 船内での楽しみ(娯楽)は何でしょうか。
スウィーツの味とレシピチェック。
嵐の中を航行中の船内で行うダンスパーティー。
Q5. 将来このような仕事に就きたい人に対するメッセージなどお願いします。
何故この仕事に尽きたいの?、将来目指すものは何?、自分は確実に前へ進んでる?を折に触れて考え、自分に厳しく、何事にも真剣に取り組むことが重要でしょう。「無理だ」と言い訳をしていては何も起きません。
言葉でいっぱい説明しても足元は固まらず、弱点は克服されません。頑張れば、結果は後からついてくる!
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写真左側がラボテクニシャンの藤根和穂さん。右側が北海道大学の長谷川精さん(堆積学者)。 堆積物のすりつぶし作業にチャレンジしたヒトシくんに、カズさんがやさしく?!指導してくれています。 |
船上レポート24 6月22日(月)
ミクロなガラス細工
大金 薫(東北大学)
私は、ジョイデス・レゾリューション号に微古生物学者として乗船しています。微古生物学者は、掘削したコアの中に含まれる微化石と呼ばれる顕微鏡サイズの化石を観察し、化石を含む堆積物の年代を決定することが仕事です。今回の航海では、有孔虫、珪藻、石灰質ナンノプランクトン、放散虫の専門家が乗船しています。私の専門は、放散虫です。
放散虫は海にすんでいるプランクトンの一種で、非晶質シリカ、平たく言えばガラスの骨格を持っています。写真1と写真2は、今回の航海で見つけた放散虫です。ガラスですので殻は無色透明で、非常に美しい形をしています。まさに、天然のガラス細工、天然のシャンデリアです。このサイズは概ね100マイクロメートル程度、1ミリの約10分の一です。このようなミクロで精巧な形を作る自然の造形力には、驚くばかりです。
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写真1 Dorcadospyris dentata (Haeckel) |
写真2 Rhopalastrum elegans (Ehrenberg) |
船上レポート23 6月19日(金)
船上で食べるカレーの素晴らしさについて
林 広樹(島根大学)
今日はジョイデス・レゾリューション号で食べるカレーの美味しさについて,皆さんにご紹介したいと思います。私の中では,まちがいなくジョイデス・レゾリューション号で出される食事のナンバーワンだと思っています。
ジョイデス・レゾリューション号の食事では毎食ご飯が提供されていますが,このご飯はいわゆる長粒米で,日本的なおかずにはあまり合いません。ですから,私はご飯を食べるたびに,日本の短粒米への恋しさをはげしく募らせていたのです。しかし,この長粒米はまさに,カレーにはぴったりと合うのです。たっぷり煮込まれたチキンやラム肉のカレーがご飯にしっかりと絡み,絶品の味わいを生み出します。さらに,レーズンや刻んだ薬味,ナンなどがズラリと提供されていますので,かなり本格的にトッピングを楽しむことができます。
ジョイデス・レゾリューション号でカレーが提供される頻度は,週にいちど程度です。私はカレーが提供されていると,まず2種類のルーをミックスして一皿食べ,さらにデザートとしてもう一皿を食べるようにしています。大好物であることを厨房スタッフの皆さんに印象づけ,カレー提供の頻度をせめて1日1回程度にまで上げて頂こうという作戦なのですが,まだ私の力不足もあって目標到達には至っておりません。
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ジョイデス・レゾリューション号で提供されているカレー。 サフランライスと合わせてみました。 |
船上レポート22 6月18日(木)
IODP研究航海ロゴコンテスト
大金 薫(東北大学)
IODPの研究航海は、2か月に及びます。その間、ずっと狭い船内にいるので、ともすると生活が単調になってしまいます。そこで、航海中にはいくつかイベントが開催されます。その一つが、ロゴコンテストです。
研究航海では、ODP時代から現在のIODPに至るまで、航海ごとにロゴが作られています。このデザインは、航海中に船内で募集されます。応募されたロゴは数日間船内に掲示され、船内の人が一人一票ずつ投票します。最後に、得票数の最も多かったロゴが、その航海のロゴとして採用されます。採用されたロゴは、後日Tシャツにプリントしてもらえます。ジョイデス・レゾリューション号の階段の踊り場には、改装された後の航海の歴代ロゴが貼ってあります(写真1)。
さて今回、私もロゴコンテストに応募してみました。デザインのテーマは、「24時間休みなく掘削を続けるジョイデス・レゾリューション号と海と空」(写真2)。私がこの航海で印象的であったものを詰め込んだようなイメージです。応募締切の翌朝、食堂に行くと、壁に私のロゴが張り出されていました。いよいよ投票。投票している人を見るたびに、どきどきしました。そうこうするうちに、3日間の投票期間が終わりました。結果は・・・私のロゴが見事に採用となりました!そして、多くの方に”I like your logo.”と言っていただけました。
数日後、踊り場に歴代ロゴにならんで私のロゴが貼られました(写真3)。たくさんの方に気に入っていただけたようで、本当にうれしいです。
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
写真1 階段の踊り場。 改装後のジョイデス・レゾリューション号航海の ロゴが貼ってあります。 |
写真2 私がデザインしたロゴ。 |
写真3 私のロゴが追加されました! |
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船上レポート21 6月17日(水)
記録達成と最後のコア・オン・デッキ
木元克典(海洋研究開発機構)
みなさんこんにちは。今日はうれしいお知らせです!ジョイデス・レゾリューション号は、改装後の2つ目の研究航海にしてなんと新しい記録を打ち立てました! 6月14日のお昼前に、U1338 Hole C掘削孔において、APC(アドバンスド・ピストン・コアラー。コア回収時の乱れが最も少なく、良質の堆積物試料が採れる)だけを用いて採取された堆積物の総延長が、これまでの最長記録を抜いて414.4mとなったのです!これは現在実施されているIODP(統合国際深海掘削計画)、および前身のODP(国際深海掘削計画)を含めた歴史の中で、もっとも長い記録となるのだそうです(これまでの最長記録は、ODP時代の1992年、Leg145(北太平洋)のHole 882aで、長さは398.3m)。達成した瞬間には周囲から一斉に拍手がわき起こりました。このような記念すべき航海に乗船することができた幸運をかみしめると同時に、困難な掘削作業に携わった本船のテクニシャンの皆さんの尽力に感謝の念でいっぱいです。
そしてその翌日、5月19日に開始されたこの航海の掘削作業も、ついに最終日を迎えるときがきました。このU1338掘削点における4つめの掘削孔、Hole Dから最後のコアがあがってきたのは15日のちょうど深夜1時。「イッツ・ショー・タイム!」 スピーカーから弾んだ声のアナウンスが流れます。そして、テクニシャンの皆さんがコアをキャットウォークに運んできました。これでもう堆積物があがってこないのかと思うと、少し寂しい気がしました。最後の堆積物は、いつものように手際よく1.5mおきにカットされ、一時保存しておくラックに静かに収められました。
現在ジョイデス・レゾリューション号は、進路を真北にとり、南からの追い風を受けながら12.5ノットという速い速度で一路サンディエゴめざして進んでいます。掘削が完了しても研究者たちの仕事は終わりません。私たちは最後のサイトレポート作成に向けて、これまでの実験データをまとめる作業を行っています。まだまだ気は抜け、、、、、
気がつけば実験室には私一人。みんなどこに行ったの????
(聞けば、皆で船内のシアターで映画鑑賞をしていたとのこと。乗船予定の皆さん、船の生活もぜひ楽しんでくださいね。)
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
写真1 記録達成の瞬間を一目見ようと集まった研究者たち。 |
写真2 記録達成時のコアラーの先端部(コアキャッチャー)の堆積物。 まるでソフトクリームのような乳白色の石灰質軟泥でした。 |
写真3 そして最後のコア・オン・デッキ。 この光景もこれで見納めです。 |
写真4 コアの長さを記録したホワイトボード。 右下のTHE ENDの文字が感慨深いです。 |
船上レポート20 6月16日(火)
ジョイデス・レゾリューション号の室温
伊藤 孝(茨城大学)
現在わたしたちは,ほぼ赤道上にいるはずです。しかし,室内で仕事をしている限り,全く南国気分を味わうことはできません。むしろ寒い。そう,ジョイデス・レゾリューション号のなかの空調は快適を通り越して寒いのです。温度計の表示をみると21度。
なぜ21度なのでしょうか?輝ける深海掘削40年間の歴史,紆余曲折と永年の議論の結果,この温度にきっと落ち着いたに違いありません。航海が始まってすぐ,実験室の管理責任者のCさんには,(私のヒアリングが正しければ)「実験室についている空調の温度コントローラーは飾りであり,一括管理されている。しかるがゆえに,それを調整しても意味はない!」と有無を言わせぬ口調で先手を打たれてしまいました。なるほど,やはり深海掘削40年の歴史で落ち着いた温度。研究者は甘んじてこの室温を受け入れねばならない。
そもそも,この21度という室温はどういう温度なのでしょうか。昼に働いている研究者14名の服装をチェックしてみました。結果,バラバラ(写真1)。具体的には,半袖半ズボン(半ズボンは死語ですか?)が3名,半袖長ズボン(もしくは長袖半ズボン・長袖スカート)が5名,長袖長ズボンが6名。出身地別に見てみると半袖半ズボン組は3人ともアメリカ人,長袖長ズボン組は全員アジア系でした。なるほど,体感温度の違いが如実に表れています。
しかし,私が知っている限り,半袖で頑張っている日本人研究者が一人います。飯島さん。シフトが違うので,四六時中いっしょに働いているわけではないですが,引き継ぎの時間に会うといつも半袖です。ジョイデス・レゾリューション号での測定項目の都合上,半分に分割する前のコアをどんどん運ばなければならないので,きっと身体が温まるのでしょう(話はちょっとそれますが,飯島さんがコアを大量に運びすぎて,かなりの筋肉質になったことは,掲示版でも報じられています:写真2)。
結論。ジョイデス・レゾリューション号の船内は寒い。乗られる予定のみなさま,ぜひぜひ長袖をご持参下さい!!
(後日談:実験室の一角にあるエアコンの通気口に,誰かが完璧な詰め物をして冷風を遮断していたという事実が発覚し,ちょっとした騒動に。先のCさんからも注意を喚起するメールが届きました。しかし,その実力行使が功を奏したのか,翌日から室温がなんと22度に修正。21度は深海掘削40年の歴史の結果ではなかったのか・・・)
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
写真1 昼シフトで堆積物の記載をしている三名 仲良く仕事はしていますが, 服装はまちまち。 |
写真2 実験室内の掲示板 飯島さんが職務を全うしている結果,筋肉質になってしまったことを 報じている掲示(向かって左上)。 都合により,小さく表示しています。 |
船上レポート19 6月13日(土)
ロギング(孔内計測)
山崎俊嗣(産業技術総合研究所)
ジョイデス・レゾリューション号では数日前に、2日間かけてロギング(孔内計測: downhole measurement)が行われましたので、そのご紹介をします。
深海掘削船は、海底を掘ってコア(柱状試料)をとるだけではありません。掘った穴(掘削孔)の中でセンサーを上下させて物理的な方法で地層を調べるロギングも、重要な研究手段です。ロギングにより得られる密度、比抵抗、自然放射能などの物性値から地層を知ることができるのです。
掘削して実際に試料をとっているのに、なぜロギングのようないわば間接的な方法が必要なのでしょうか。
第一に、地層を連続的に調べるためです。掘削では、どうしてもうまく試料をとれない部分が残ってしまうことが多いのです。そこに何があるのかは、ロギングにより知ることができます。写真1は、FMS(地層微細スキャナー)と呼ばれるツールです。羽根のように広がっている部分は掘削孔に入れる時(写真の左が下になります)は閉じられますが、孔底で広げて孔壁に密着させて電流を流し、孔内を引き上げながら比抵抗を連続的に測定します。図1のような孔壁のイメージが得られます。
第二に、地球上では点にすぎない掘削地点で得られた情報を、面的に広げるためです。現在掘削している地点を横切って、地震探査(音波探査とも言います)という方法で地層がどう重なっているかの断面がすでに得られています(図2)。図で縞々のように見えるのが、物性の異なる地層の境界で地震波が反射されたもので、それがどの時代のどういう地層なのかを知ることができれば、その地層の広がりを追跡できます。掘削した試料の深さと地震探査の反射面を正確に対応させるためには、地層を伝わる地震波の速度を知る必要があります。そのため、船から音(地震波)を出して(写真2)、掘削孔内に入れた地震計にそれが到達するのを測定するVSP(垂直地震探査)という観測が行われました。
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船上レポート18 6月12日(金)
乗船研究者の仕事:サイトレポートの作成
山本真也(北海道大学低温科学研究所)
分析が終わるとサイトレポートの作成です。
サイトでの掘削作業中,船上では,堆積学・微古生物学・古地磁気学・地球化学・物理特性・層序対比・ロギングを専門とする各グループによってコア解析が進められるわけですが,それらが終了すると,乗船研究者は,グループ毎にサイトで得られた成果をサイエンスミーティングで発表し,レポートを作成することになります。私のいる地球化学研究室でも,現掘削サイト(U1338)での作業の傍ら,サイトU1337の成果報告のためのプレゼンテーションの準備やサイトレポートの作成が,夜を徹して行われました。地球化学の分析は,無機・有機各分野によって分析内容が異なっていますから,各々が自分の分析結果の執筆を行い,最終的にそれらをまとめることでひとつのレポートを完成させます。グループリーダーであるブレーメン大学のエド・ハソーン博士を中心に,レポートをまとめる様子は,さながら学生実験のようです(写真1)。そうです,船上研究では常にチームワークが重要なのです。しかし,多忙な船上では,こうしたレポート作成に慣れている研究者といえども,普段では考えられないようなミスをしてしまうことがあります。なんと,私たちが提出したU1337のレポート原稿は,共同首席研究者によるレビューの後,図2が添付されていないぞ!といった注意書きとともに一日足らずで戻ってきてしまいました(写真2)。再提出です。念入りに原稿を修正し,昨日無事最初のサイトレポート提出を終えたところです。
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写真1 一丸となってレポート作成を進める地球化学研究室の 研究者たち (写真左からエドさん, 木元さん,筆者). (撮影:長谷川氏) |
写真2 共同主席研究者によるレビューから戻ってきたレポート原稿 |
船上レポート17 6月11日(木)
船上での重量測定
飯島耕一(海洋研究開発機構)
海洋研究開発機構の飯島耕一です。今回は、船上での重量測定(秤量)についてご紹介します。
堆積物の含水率の計算や密度測定の目的でサンプリングされた試料は、湿潤状態での重量と、乾燥後の重量を測定します。この時、陸上の研究室と同じように電子天秤を使うのですが、船上ならではの工夫が必要になります。
なぜなら、船は常に揺れているからです。この揺れはエンジンやダクトからの細かな振動だけでなく、波浪による大きな揺れもあり、これらの揺れによって正確な重量を知ることが難しくなります。例えば体で感じる波浪の揺れは、体が軽く感じた後に逆に重く感じる、という繰り返しになります。これが電子天秤にも同じように作用しますから、重さの表示は軽くなったり重くなったりの繰り返しになります。
そこで、天秤の示す重さを繰り返し記録して、その平均を取るようにします。実際には電子天秤をPCにつないで、ソフトウェアで自動的に300〜400回の秤量を記録し、その平均を取ります。写真1はそのソフトウェアの画面で、大きく波打っているグラフは実際の秤量結果、真ん中の少し波打っているグラフが平均値です。
写真1.
さらに、船上は常にふわふわしているような状態なので、ある重量が実際に天秤で何グラムとして秤量されるか、という情報が必要になります。このため、電子天秤を2台並べて、一方の天秤には分銅を載せて基準値とし、もう一方の天秤には試料を載せて、その基準値からの差異で実際の重量を算出します。載せる分銅の量は、試料の重量にできるだけ近い量を載せます(そのため、最初は1〜2回、試し量りをします)。写真2の左には分銅が、右には試料が載っています。
写真2.
こうして試料の重量が出ると、乾燥前後の重量差で含水率が計算でき、さらに写真3の体積測定装置(ガスピクノメーター)で体積を量ると、密度が計算できるようになります。船上ではこの一連の分析をMAD(Moisture And Density)と呼んでいます。
写真3.
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写真1 秤量ソフトウェアの表示 |
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写真2 2台の電子天秤 |
写真3 体積測定装置に試料をセットする筆者 |
船上レポート16 6月10日(水)
ジョイデス・レゾリューション号から国際宇宙ステーションを見つめる
木元克典(海洋研究開発機構)
ジョイデス・レゾリューション号からこんにちは!
船上での研究生活は約2ヶ月におよぶ長丁場、しかも船内での娯楽は限られますので、どんな些細な出来事でもビッグなイベントになります。今日はジョイデス・レゾリューション号から国際宇宙ステーション(ISS)を観察したことについてお話ししましょう。
星の観察がお好きな微古生物学者のBridgetさん(林さんの写真を参照)が、現在我々がいる掘削地点の緯度経度情報をもとに、ISSが観察可能な時刻と方向を調べて全員にメールを送ってくれました。そこでみなデッキにあがって観察してみることになりました。我々の勤務時間中に観察可能な日は6月4日から7日の4日間。2日目の5日は雲も少なく絶好の観測日和で、多くの研究者やテクニシャンの方たちが早夜の空を見上げました。船長が右舷側の照明のいくつかを消してくれるなど気を利かせてくれ、準備は万端です。
太陽もすっかり西に沈んで、その時刻となりました。知り得た情報は大まかな方角だけですが、この広い海原では邪魔するものはなにひとつないため、問題はありません。南には南中近い南十字星が美しく輝いています。と、そのとき、西の方角にひとつの明るい点が突然浮き上がるように現れました。一見すると星のようです。比較対象がないため、目を凝らして見ても動いているか、動いていないかの判別が難しいのです。近くの明るい星の位置と比較して、ようやくそれが移動していることが分かりました。ISSです!その光は肉眼でもとてもはっきりと力強く、赤く光って見えました。あの光の中には国の枠を超え、協力し合って働いている人たちがいる、しかもそのうちの一人は日本人の宇宙飛行士........。宇宙と深海、場所や目的は違っても、 ひとつの目的に向かって協力し合って仕事をするという意味では、今まさに我々が参加しているIODPも同じです。私にとっては少しだけ、宇宙が近くなったような気がしました。
ISSは南西方向にゆっくり移動し、だんだん小さな光となってやがて見えなくなりました。地球の陰に入ったのでしょう。観察できた時間はわずか2分足らずでしたが、デッキ上の人たちは私同様に満足げな様子で、とびきりの夜のイベントとなったようです。
そうそう、長く船に乗船していて、夜空の星を見上げたときに、星が上下左右に揺れているような不思議な感覚に陥ることがあります(本当は船が揺れているのですが)。これは身体が船上生活になじんだ証拠。みなさんもこんな経験、いかがですか?
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3日目にISSを見ようと集まった皆さん。 残念ながらこの日は部分的に曇って見えませんでした。 「見えた!!」「ほんとだ!」とかいって指差している方がいらっしゃいますが、、、 あのう、、、今日はその方角じゃないんですけど。。。(笑) |
船上レポート15 6月9日(火)
ジョイデス・レゾリューション号での生活を伝えるサイエンス番組(PNN: PEAT NEWS NETWORK)の紹介
長谷川精(北海道大学創成研究機構)
ジョイデス・レゾリューション(JR)号での生活も早1ヶ月が過ぎました.今日は,JRでの研究者達の楽しい日々を伝えてくれるサイエンスドキュメンタリー番組について紹介します.我々の航海(PEAT2)には,オランダのサイエンステレビ番組のカメラマン兼ディレクターのマーティンさんが同乗しており, JR号での楽しい日々を伝えるドキュメンタリー映像が毎週作られています.
このドキュメンタリー映像は,PNN(PEAT NEWS NETWORK)という名のニュース番組形式となっており,僕と同じ堆積学者として乗船している,オランダ人研究者のアッピーさんがレポーターとなって,乗船研究者,テクニシャン,船のクルーにインタビューをし,船上での各々の仕事や生活を面白おかしく紹介してくれています(写真1, 2参照).
これまでにPNNレポートは4回放映されており,JR号のホームページのトップページ上に最新のレポートがアップされています(図1と下記URL参照).過去のPNNレポートもYouTubeのホームページに行くと見ることが出来ます(下記URL参照: JR号のホームページからもリンクがされています).
日本でもNHKなどで「ちきゅう」についての紹介が何度か放映されましたが,日本のサイエンス番組とは少し異なる,欧米人のユーモアに富んだ視点でのサイエンス番組を見ることが出来るという点でも面白いと思います.PNN Special Reportには,前航海のPEAT1(Exp. 320)で共同首席研究者を務められていた北海道大学の西さんも登場しています.興味がありましたらぜひ参照してみて下さい.
JOIDES Resolutionのホームページ>>こちらをクリック
PEAT NEWS NETWORK (PNN) 4th Report>>こちらをクリック
PEAT NEWS NETWORK (PNN) 3rd Report>>こちらをクリック
PEAT NEWS NETWORK (PNN) 2nd Report>>こちらをクリック
PEAT NEWS NETWORK (PNN) 1st Report>>こちらをクリック
PEAT NEWS NETWORK (PNN) Special Report>>こちらをクリック
※「PEAT」とは、Exp. 320と321の航海名称であるPacific Equatorial Age Transect(赤道太平洋年代トランゼクト)の頭文字を取った略称です。Exp. 320をPEAT1、321をPEAT2とも呼びます。
この航海の目的は>>こちら(航海概要)とこちら(文部科学省発表文書PDF)
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図1 JRのホームページ. 我々PEAT航海の現在の様子について随時更新されています. 中央右側にあるのがPNNレポートの映像です. |
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写真1 PNN撮影時の様子1. レポーターのアッピーさん(右)が堆積学者の スティーブさん(中央奥)にマイクを向けています. カメラを向けているのがマーティンさん(左)です. |
写真2 PNN撮影時の様子2. マーティンさん(右奥)が,層序対比の仕事について 説明しているロイさん(左)にカメラを向けています. 右前にいるのはPNNレポーターを担当している いつも陽気なアッピーさんです. |
船上レポート14 6月8日(月)
堆積学者グループの仕事
辻本 彰(大阪市立大学)
ジョイデス・レゾリューション号は6月3日に2地点目の掘削地点(にして本航海最後の掘削地点:U1338,写真1)に到着し,その翌日から順調にコアが採取されています.6月7日現在Hole Aの掘削はすでに終了しており,Hole Bのコア試料が続々と船上にあがってきています.
私は本航海に堆積学者として乗船しています(といっても私の専門は“底生有孔虫”と呼ばれる化石です.有孔虫については本航海の船上レポート11を参照してください).堆積学者グループの役割は,船上にあがってきたコア試料の“中身”を観察し,堆積物がどのようなものから構成されていて,それが時代とともにどのように変化しているのかを明らかにすることにあります.
本航海の堆積学者グループは,アメリカ,オランダ,フランス,日本の4カ国7人の研究者の集まりです(写真2).船上ではこの7人が昼シフト(12-24時;Steve,Catherine,伊藤さん)と夜シフト(0-12時;Appy,Dan,長谷川さん,筆者)に分かれてコア試料の観察を行っています.7人の研究者が同じ“コア試料の観察”を行うわけですから,それぞれの考え方・主張を合わせ,7人が連携して円滑に作業を進めることが重要です.私たちのグループは,リーダーSteveのもと皆で協力し合って作業を進めています.
堆積学者グループの作業には,コア試料の肉眼観察・スミアスライド観察(堆積物試料を極少量スライドガラスに取って顕微鏡下で観察し,その構成物を調べること:スライド観察の様子は本航海船上レポート4の写真を参照してください)による岩相の判定(堆積物の命名)・コア観察で得られた結果のレポート作成などがありますが,航海が進むにつれてそれぞれの役割分担ははっきりしていきました.スミアスライド観察は日本人乗船研究者の伊藤さん,長谷川さん,そして私の3人が担当していますが,5月20日に本航海で掘削したコア試料の分析が始まってから現在までに3人合わせて約800枚のスライドを観察しました.周りの乗船研究者はこの枚数にいささか驚いているようです.
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写真1 現在地点 |
写真2 堆積学者グループのメンバー. 後列左より時計回りにHitoshi(長谷川さん),Steve,Appy, Takashi(伊藤さん),Dan,Catherine,Akira(筆者). 気さくな人ばかりで日々楽しく研究を続けています. |
船上レポート13 6月5日(金)
山崎俊嗣(産業技術総合研究所)
船上の研究を支えるテクニシャン
ジョイデス・レゾリューション(JR)号は浮かぶ先端研究室です。船上にはさまざまな分析装置があります。各航海にはIODPのスタッフとして、研究者の数に近い数のテクニシャン(技術専門職)が乗船していて、これらの装置を最良の状態に保ち、すぐに研究に使えるようにすることが彼/彼女らの任務の一つです。船上は、揺れる、振動する、狭い、多湿で塩分を含む外気に囲まれるなど、分析機器の設置や運用にとって過酷で特殊な環境であり、いろいろトラブルが発生します。船上では何が起きるかわかりません(木元さんによる船上レポート7のように)。そして、トラブルが起きても、ここは陸から遠く離れた洋上です。メーカーなどに修理に来てもらうことはできません。すべて自分たちで解決するほかないのです。
先日化学実験室で起きたことです。ICPという精密で高価な化学分析装置の内部に、何とびっしり水滴が!(写真1) 排気ダクトから本来入るはずのない外気が入り、結露したのでした。まさに
Anything can happen!(何があってもおかしくない!)すぐにテクニシャンにより原因の究明と対策(写真2)、そして装置の分解整備・再調整(写真3)が行われ、数日後に無事復旧しました(写真4)。彼/彼女たちはジョイデス・レゾリューション(JR)号と実験室を隅から隅まで知りつくしていて、彼/彼女たちの技術と経験が研究を支えています。研究者が航海ごとに入れ替わっても同じように分析データが出るのは、彼/彼女たちがいるからです。テクニシャンには、大学や大学院で地球科学を学んだ後、海洋地球科学の現場で働きたい!とこの職を選んだ人がかなり多いそうです。
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写真1 分析装置になんと結露が。 |
写真2 天井裏につながダクトに問題が。 |
写真3 分解整備中のICP。 ふつうは覗けない装置内部ですが。 |
写真4 化学実験室担当テクニシャンの Lisa(左)とKazuこと藤根和穂さん(右) |
船上レポート12 6月4日(木)
伊藤 孝(茨城大学)
研究者の日々の習慣
船のなかの勤務は12時間体制ですが、もちろん12時間無言で働いているわけではありません。食事を一度取りますし、気分転換のためコーヒーブレークも必要です。そこで雑談もするわけですが、印象に残ったことの一つは毎日の習慣。陸上での日常、乗船中を問わず、それに結構な時間を割いている人がいること。毎日1時間以上のヨガを何年も続けていて、それを乗船しても継続している人が二人おりました。特に、居室が私のとなりのパワンさん(インド)は船では朝10:45になると始めるらしく、その気配が私の部屋まで伝わってきます。忙しい生活のなかで毎日1時間それに割り当て永年継続する、ということは並大抵のこととは思えず、はじめたきっかけを聴いてみたのですが「別に理由はなく、なんとなく」と素っ気ないものでした。ほんとかなあ。「40過ぎの人が集まると健康の話になる(50過ぎでしたか?)」とよく言いますが、健康マニアの私は、各国の研究者がどうやって体調管理をしているのか、興味津々。航海はあと約半分残っていますので、他の人にもいろいろと聴いてみます。
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船上レポート11 6月3日(水)
小さな化石の大きな役割
林 広樹(島根大学)
左側の写真が,今回ご紹介する「小さな化石」です。白くて貝殻のようですね。よく見るとカタツムリのように巻いていますが,カタツムリと違って,なんだか平べったいような印象を受けます。そしてカタツムリとの最も重要な違いは,その大きさです。実は,この化石の大きさは,わずか0.5ミリぐらいしかありません。そう聞くと,なんだかとても可愛らしい気がしませんか?
この白い殻は,「浮遊性有孔虫」という,海にすむ小さな生物の化石です。浮遊性有孔虫には何百もの種類があって,それぞれ生きていた「年代」が違います。このことを逆につかうと,例えば1000万年前に生きていた種類の化石が地層の中から見つかれば,その地層が1000万年前のものだということが分かります。そうやって調べた年代が,過去の気候変動を復元するための重要な手がかりになります。
私は,浮遊性有孔虫化石を使った年代決定を担当しています。海底から地層を取ってくるとすぐに,その地層から浮遊性有孔虫の化石を取り出し,顕微鏡で観察して種類を調べます。この分析は,アメリカ人のBridget Wadeさんと交代しながら,24時間体制で進めています。顕微鏡を見ながらの作業は目が疲れて大変ですが,笑顔の素敵な相方と楽しく研究を進めています。
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写真1 今回の航海で見つかった 浮遊性有孔虫化石の顕微鏡写真。 |
写真2 微化石ラボにて, 林(手前)とBridgetさん(奥)。 |
写真提供:Bridget Wade 博士(テキサスA&M大学)
船上レポート10 6月2日(火)
船上のハッピーバースデー
大金 薫(東北大学)
東北大の大金です。ジョイデス・レゾリューション号乗船中の6月1日に、誕生日を迎えました。
さて、誕生日といっても掘削は続くわけで、その日も朝からずっと顕微鏡を覗いていました。夜の8時 ごろだったでしょうか、テクニシャンの方が私を呼びに来ました。なんだろうと思ってついて行ったら、なんと、厨房の人たちがバースデーケーキを持ってきて くれてました。そして、ラボにいた皆さんが、ハッピーバースデーを歌い、お誕生日を祝ってくれました。もう、本当にびっくりでした。
航海も半分がすぎ、次々と上がるコアに、かなり疲れもたまっていました。しかし、ハッピーバースデーの歌声と美しいケーキに、疲れが吹っ飛びました。素敵なサプライズを考えてくれた皆さん、祝ってくれた皆さん、ケーキを焼いてくれた厨房の皆さん、本当にありがとうございます。
??
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写真1 皆でケーキを囲んで。 右端にいる私は、あまりにもびっくりしすぎて、 わけがわからなくなっています。 |
写真2 とても手の込んだバースデーケーキと、 バースデーカードと、プレゼントをいただきました。 |
船上レポート9 6月2日(火)
マルチセンサーロガー測定とその意義
飯島耕一(海洋研究開発機構)
海洋研究開発機構の飯島耕一です。私は物理特性の担当として乗船していますが、船上では、コア試料の密度・含水率・帯磁率・弾性波速度・自然ガンマ線強度などを測定しています。これらに加えて、コア試料の分光反射能(試料の色を示す値)データも扱っています。これらのデータは、
・掘削孔間、掘削サイト間の対比
・岩相との対応関係、沈積流量の計算、固結度などの評価
・試料の状態の評価
といった目的のために、基礎的で不可欠な情報です。これらの物理特性は堆積物の種類や構成物と密接に関連しているので、堆積物を様々な角度から総合的に理解できることが、物理特性担当の醍醐味です。
さて今回は、物理特性担当者が船上で行っている、マルチセンサーロガー(MSL: Multi-Sensor Logger)測定とその意義についてご紹介します。
MSLでは、コアを一定間隔で横に動かしながら、全岩密度、帯磁率、弾性波速度を測定します。掘削孔間の対比を迅速に行うために素早く測定するSTMSL(Special Task Multi Sensor Logger)と、測定間隔を短くして(空間分解能を上げて)測定するWRMSL(Whole Round Multi Sensor Logger)の、役割の異なる2台のMSLが搭載されています。写真1で筆者がコアに手を載せているのがSTMSL、背中側にあるものがWRMSLです。
これらのMSLは、検出器等の部品の選択、装置としての全体の組み立て、制御するソフトウェアまで、乗船している技術者たちが組みあげたシステムです。彼らはこのシステムを熟知しているので、測定中に何か不具合が起きても、すぐに対処してくれます。
写真1.マルチセンサーロガーと筆者(写真をクリックで拡大)
掘削航海では、一回の掘削で完全に欠損のないコア試料を得ることは事実上不可能なので、同じ場所(一つの掘削サイト)で少しだけ位置を変えて複数の掘削孔を掘り、最初の掘削孔Aで採取できなかった欠損部分を次以降の掘削孔B、Cで採取する(欠損部分を埋める)ことが一般的です。
図1に、掘削孔Aと掘削孔Bの密度データを掘削深度で並べた例を示します。ごく近い場所で掘っていますから同じようにデータが変動していることが分かりますが、掘削孔Bのデータで、掘削孔Aにはないピークがあるのが分かります(図中の矢印)。この部分が、掘削孔Aで回収できなかったギャップです。
このギャップの有無を知るには、掘削孔Bのコアが船上に上がってきたら、できるだけ早く掘削孔Aと対比する必要があります。このために、約30分で9m分のコアのデータを取得できる、STMSLが活躍します。このような地層の対比を専門に行う研究者(層序対比者:Stratigraphic Correlatorといいます)が乗船していますので、彼らと協力してMSLの測定をしています。船上に上がったコアは全てMSLにかけられるので、第321次航海では、既に1200m以上のコアの測定をしました。
図1.マルチセンサーロガーのデータ例(画像をクリックで拡大)
船上レポート8 5月31日(日)
地球化学研究室での研究の様子
山本真也(北海道大学低温科学研究所)
地球化学研究室では、2名の無機地球化学者と1名の有機地球化学者により、堆積物中の揮発性ガス・間隙水の分析及び無機・有機炭素含有量の測定が行なわれています。中でも、私が担当している仕事は、ガス分析と無機・有機炭素含有量の測定です。ガス分析では、採取直後の堆積物を実験用の容器(グラスバイアル)に入れ密封し、オーブンで加熱し発生したメタン等の揮発性ガスをガスクロマトグラフ装置で分析します。この作業は、コアの回収と同時に行わなければならず、最初の掘削孔で掘削が終了するまでの間(サイトU1337では約2.5日間)、休むことなく続けられます(ガス分析の詳細については前航海Exp. 320のレポート8で沢田さんも紹介しています)。コアが半割され、無機・有機炭素分析用の試料が採取されると私たちの次の仕事が始まります。私たちはまず、研究室に届いたこれら試料を凍結乾燥し、メノウ乳鉢で粉末にした後、クーロメーターを使って無機炭素含有量の測定を行います。そして、この粉末試料を塩酸に浸し無機炭素を除去した後、CHNS元素分析計で有機炭素含有量の測定を行います。このようにして測定されたデータは、LIMSと呼ばれるデータベースに登録され、すべての研究者へ公開されます。実験室には10台以上の分析機器類が設置されていますが、これらは、専属のテクニシャン(ラボラトリー・スペシャリスト)によって常に最適な状態が維持されており、万一問題が発生した場合にも即座に対処してくれます。また、乗船後すぐに、機器の使い方や測定方法の説明がありますので、これら分析の経験がなくても何も心配することはありません。
現在、研究室では、本航海最初の掘削サイトU1337Aでの有機炭素含有量の測定が終わり、無機炭素含有量の測定を海洋研究開発機構の木元さん(写真2)と進めているところです。船上での分析は、陸上に比べ不便な点も多く、多くの時間を要しますが、ここでは、一日のすべての時間を研究・分析に費やしてもよいのです。ジョイデス・レゾリューション号は、日常を忘れ研究に没頭できる素晴らしい場所といえるでしょう。
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写真1 無機炭素含有量の測定を進める筆者 |
写真2 ICP-AESの前で笑顔の木元さん |
船上レポート7 5月28日(木)
素晴らしき掘削のプロフェッショナルたち
木元克典(海洋研究開発機構)
海洋研究開発機構の木元です。この数日、U1337、Hole Bという孔で掘削を行っています。掘削孔が深くなるにつれ、堆積物が固くなってくるため、先端部分をXCB(山崎さんのレポート1参照)に変更して掘削を行っていましたが、昨日よりドリルビット(先端部分)の内側のコアバレル(コアを回収するための筒)が引っかかって動かなくなってしまいました。これでは掘削が続行できないため、掘削中のドリルパイプをすべて船上に引き上げ、先端部分を回収するという試みが行われました。この作業には約半日を要しました。ついにあがってきたドリルビットは、あえなくバーナーで焼き切られてしまいましたが、珍しい光景のため、研究者たちも多く集まってこの夜のショーを見守りました。
掘削の現場では予想もしない、思いがけない出来事が起こるものです。しかし海面下4,500m以上もあるドリルパイプをすべて回収するという大変な作業を、いとも簡単に行ってしまうドリラー(掘削にあたるテクニシャン)の方々の、迅速で的確な作業には感銘を受けました。彼らがいてくれるおかげで、我々は貴重な研究試料を手に入れることができるのです。
このHole Bでの作業は中断し、新たにHole Cの掘削を行うことを決定しました。早ければ明日の午後(日本時間の29日)には新しい掘削孔からコアがあがってきます。
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
写真1 ついに回収された ドリルビット(写真中央)。 なにが始まるかと思いきや... |
写真2 なんとバーナーで焼き切り 始めました!豪快!! |
写真3 引っかかってしまった内側の コアバレルも焼き切ります。 |
写真4 切り落とされたドリルビット。 ありがとう。そしておつかれさま |
船上レポート6 5月27日(水)
ジョイデス・レゾリューション号でのスイーツ
大金 薫(東北大学)
東北大学の大金です。私がジョイデス・レゾリューション号に乗船して一番うれしいと思ったこと!それが食堂にいつもあるケーキです。そこで、今回はケーキの話を書きます。
ジョイデス・レゾリューション号では、食堂で毎日2,3種類のケーキクッキーなどのお菓子が供されます。食堂の入り口近くのキャビネットに入っていて、24時間、自由に食べられます。その気になれば、毎日ケーキバイキングができるほどです。このお菓子は、どれも厨房で作っているのだそうです。クッキー、キャロットケーキ、チーズケーキ、チョコレートムース、ミルフィーユにエクレアまで、本当にたくさんの種類のお菓子が日替わりで出ます。船上の限られた材料で、ここまで何種類もお菓子を作るのは、本当にすごいです。ちなみに、私の一押しはキャロットケーキ。見た目は地味ですが、シナモンのよい香りがたまりません。人気があるらしく、いつもすぐに無くなります。船内生活は不自由なことも多いですが、いつでもおいしいケーキが食べられると思うだけで癒されます。
| ケーキの入った冷蔵庫。数種類のケーキが常備。 | 船上バーベキューにて。今日はケーキも沢山。 見ているだけでうれしくな ります。 |
| フルーツも豊富。きれいなカッティングがされていて、職人魂を感じる。 | |
船上レポート5 5月26日(火)
食堂のソフトクリームマシンについて
林 広樹(島根大学)
ジョイデス・レゾリューション号の食堂は,午前と午後のそれぞれ5時から7時,11時から1時まで食事を提供しています。それ以外の時間にも開いていますので,ケーキやパン,今回紹介するソフトクリームは24時間いつでも食べることができます。
それでは,ソフトクリームマシンの正しい使い方についてご紹介しましょう。左上の写真で示したものが,ソフトクリームマシンになります。マシンの右側にはアイスクリーム用のコーンが積んであります(写真右上)。ただ,このコーンは小さいのでうまく盛るのが難しく,あまりおすすめできません。ベテランは最初からリスク回避のため,サラダ用のボウルを使って豪快に盛ります(写真左下)。レバーを引くと「どばっ」と勢いよく出ますので,コーンだとこぼれる心配がありますが,ボウルならだんぜん安心です。食堂が開いている時間なら,パイナップルやマンゴーなどのフルーツが提供されていますので,ボウルにあらかじめフルーツを盛っておくと豪華です。
豪快に盛ったソフトクリームは,ぜひ外に出て食べましょう(写真右下)。赤道直近の強い日差しと輝く青い空のもと,果てしない水平線を眺めながら食べるソフトクリームは最高です。ここに来るまでの10日間あまり,360度どこまでも,島影はおろか船すらも見えませんでした。おそらくここから半径1,000kmぐらいの範囲内で,この瞬間にソフトクリームを食べているのは私ひとりにちがいありません。そう思うと,なんだか壮大な気分になりますね。
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
撮影協力:大金 薫(東北大学)
船上レポート4 5月25日(月)
Exp. 321初コア採取!
長谷川 精(北海道大学)
19日昼に最初のコアサイト(PEAT-7C; 図1参照)に到着した後,すぐにコア採取作業が始まりましたが,ちょっとした機械トラブルもあったようで,20日昼になってようやく321航海で採取された最初のコアが我々のもとに上がってきました.最初2つ目までのコアは,コアパイプが想定していた海底面に達していなかったようで,コアバレルには海水しか入っていませんでしたが,3回目になってようやく堆積物が充填されたコアが上がってきて,コアデッキに詰めかけた研究者達から歓声が上がりました(写真1).
コアが上がってきたら,まず各1.5mのセクションに分割し,含水化学組成などの諸分析に使われるサンプルが採られます(写真2).そして,セクション毎にコア全体のガンマ線および帯磁率測定が行われ,その後コアは半割されて岩相記載や含有化石鑑定,物性データ解析などが始まります.
僕は堆積学者グループに属しているので,堆積物コアのイメージデータや色データの採取,スミアスライド観察による岩相判定などのコア記載を担当しています(写真3).僕らがコア記載を行っているすぐ隣では,物性データ(P波や乾燥重量など)の測定が同時平行で進められています(写真4).コア記載および物性データ解析は順調に進んでおり,作業が始まって3日目(24日)の今日昼の時点で,既にHole Aの約450mのコア記載がまもなく完了しようというところです.
今日のレポートでは僕と同じ深夜0時から昼12時までのシフトを担当している日本人乗船者の方々を主に紹介しましたが,昼12時からのシフトの方々の紹介は追って致したいと思います.
※写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。
| 図1掘削サイト | |
写真1.手前にいる笑顔の方は 共同首席研究者のMitch Lyleさん |
写真2.最初のサンプルを手にして 笑顔の有機地球化学者の山本さん 後ろは同じく笑顔の伊藤さん |
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写真3.スミアスライド観察を行っている 同じ堆積学者グループの辻本さん |
写真4.何時もきびきびと作業している 物理特性担当の飯島さん |
船上レポート3 5月20日(水)
“サイエンス・トーク”開催
辻本 彰(大阪市立大学)
ジョイデス・レゾリューション号は5月9日にホノルル港を出港してから10日間のトランジットを経て5月19日にようやく最初の掘削地点PEAT-7C (U1337)に到着しました.この地点は,水深4462m,基盤の年代は2400万年前です.いよいよ本航海で最初のコアが船上にあがってくるわけですが,その模様は追ってお伝えしたいと思います.
さて,トランジットの間には有志の乗船研究者によって1人20分〜30分程度の“サイエンス・トーク”が行われました.ジョイデス・レゾリューション号には世界各国から様々な分野の研究者が集まっているわけですが,“サイエンス・トーク”では各研究者が現在行っている研究に関するフリートークが行われます.分野を超えて最新の研究トピックスを聞くことができ,たいへんよい刺激を受けました.
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サイエンス・トークの様子 |
日本人乗船研究者の長谷川さんも 発表を行いました |
船上レポート2 5月15日(金)
船上研究生活で大切なもの
伊藤 孝(茨城大学)
みなさん,こんにちは。茨城大学の伊藤孝と申します。「ジョイデス・レゾリューション号の研究航海に参加する!」というのは,私の大学生の時分からの夢で,それがやっとかなったわけです。40も半ばになって新しいことに挑戦できているということはやはり嬉しいことですね。この航海へ快く送りだして下さった職場の皆様,学生さん,そして家族に感謝の気持ちで一杯です。
出航して約一週間,閉ざされた空間での生活が始まったわけですが,少しずつ恋しいものが出てきました。一つは湯船。一日の終わりに,ゆっくりと時間をかけて湯に浸かり仕事と無関係な本を読む,というのが,私のお気に入りの一つなのですが,それができないのが結構つらくなってきました。そこで活躍しているのが,携帯用の足湯グッズです。ちょっとだけお風呂気分を味わって,ベッドにもぐり込んでいます。
もう一つ改めて,実感していること。それは笑顔の大切さです。私のここでの役割は,海の底から上がってくる堆積物を記述することですが,その過程で,たくさんの機器を使います。そのメンテナンスをして下さるスタッフの一人がゼノンさんです。彼の笑顔は本当にチャーミング,まさに絶品!自分の部屋から研究室へ出勤?して,彼の素敵な笑顔をみると,「さあ,今日も頑張るぞ!」という気持ちが湧いてきます。笑顔にはすごい力があるのですね。つくづく。
さて,そろそろ出勤の時間となりました。ゼノンさんの笑顔に励まされつつ,そして,できるならば私も仏頂面で周りの方々を不快にすることなく仕事をしたいと思います。行ってきまーす!!
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写真1 自慢の足湯グッズ |
写真2 何度同じことを聞いても,いやな顔一つせず, 丁寧に機器の使い方を教えてくれるゼノンさん |
船上レポート1 5月10日(日)
第321次航海開始
山崎俊嗣(産業技術総合研究所)
第321次航海は、9人の日本人研究者(写真1)を乗せて、5月9日未明にホノルルを出港しました。(筆者を除いて)新進気鋭の若手研究者からなる チームです。第320, 321次の2つの航海で、始新世(約5000万年前)以降の赤道太平洋域の地球環境変動を明らかにするという一つのプロジェクトであり、第321次航海は 年代の若い方を担当して、中新世(約2300万年)以降の堆積物を掘削する予定になっています。最初の掘削地点到着まで約1週間かかりますが、第320次航海の最後に採取された試料の処理が我々に託されているので、到着までにまずそれを行います。
私にとってジョイデス・レゾリューション号乗船は1997年以来2回目です。今回の改装により、研究室、ブリッジ、居室区画などは全く新しく生まれ変わり、ずっと快適になっています。居室は以前の一部屋4人から2人になっていて、シフト(働く時間帯:0〜12時または12〜24時)が異なる人との組み合わせになっていますから、オフの時間帯には実質的に一人で使えます。食堂は窓がある気持ちのよい場所になりました。
今日は掘削管の先端部分のご紹介をします。写真2の左側は、固い岩盤の掘削に用いられるもので、ビットが回転して周りを削りとることにより真ん中に 円柱状の試料(コア)が入ります。写真2の右側は、水圧ピストンコアラー(HPC)と呼ばれるものの先端部で、比較的柔らかな堆積物に基本的には突き刺すことによりコアを採取します。今回の航海では堆積物が研究対象のため、主としてこれが用いられます。中央はHPCでは突き刺さらないようなやや固い堆積層の掘削に使われるもので、左右の2つを組み合わせたような形をしています。
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写真1 第321次航海の日本人乗船研究者。 後列右より、木元(JAMSTEC)、長谷川(東大)、 辻本(大阪市大)、伊藤(茨城大)、林(島根大)、 前列右より、山本(北大)、大金(東北大)、 飯島(JAMSTEC)、山崎(産総研) |
写真2 掘削ビット。左より、ロータリー・コアバレル(RCB)、 伸長式コアバレル(XCB), 水圧ピストンコアラー(HPC)の それぞれ先端部。 HPCの手前の短い筒状のものは、 採取した堆積物を船上まで落とさずに 引き上げるためのコアキャッチャー。 |







